鎮痛効果より副作用の方がきつくて、二日目には服用を止めたりして。
だけど薬を使わないと体のあちこちが痛むし、飲んだら飲んだで副作用に襲われるし、その辺のバランスが難しくて、いちばんきつい時期だったのかもね。
辛い話をしないといけないんだ。
君の実家に行った時、Kおばさんが行方不明になった話を聞いた。
おばさん、ずいぶん前に鬱病になって、だけどその後良くなってたじゃん。ここ何年かは遊びに行っても元気そうで、時には畑で採れた野菜を送ってくれたりして。
でも去年の年末に肺癌が見つかって、抗癌剤治療をしていたんだけど、その中でまた鬱病が再発したらしい。
何日か前に姿が見えなくなって、息子のK君が警察に連絡したんだけど、その次の日、観光名所の滝壺から靴と荷物が見つかって。
警察犬とビデオの映像から、普段とはまったく違う道で駅まで行って、反対側の電車に乗った後に折り返し、駅からタクシーで観光名所まで行ったことが分かったんだ。
ゴールデンウィーク、Mちゃんの家でバーベキューをした日も、義理の息子のC君は昼間、観光名所へKおばさんを探しに行っていたんだって。
そして昨日、おばさんの遺体が見つかったと連絡があったよ。
バーベキューの時は笑顔で冗談ばっかり言ってたけど、みんな裏には何かを抱えて生きているんだよね。もちろんぼくらも。
肺炎で入院しているぼくの父親は、その後順調に回復していて、管も全部取れたし、食事も三食きちんと食べているみたい。