漫画造形雑考

自分がまんがを描くための、おぼえがきです。

「当たり前じゃないか」ということでも、敢えて文字にすることが大事かなと思いました。

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トーンの後片付け

・原稿アップの後、床や机やそこらじゅうに落ちている、トーンの切れ端を拾う作業。めんどくさい。

・61番の台紙に細かい残り部分がたくさんついている。捨てるか捨てまいか迷う。めんどくさい。

・面倒くさくて放置しておくと、机からはがれにくくなったり、はがしたあとの糊(ワックス)が残ったりして、がっくりする………でも、めんどくさい。


・トーンの細かい切れ端を、とことん退治するには。セロテープ!もちろんセロハンでなく、プラスチックのテープでも良い。

・糊が残って汚くなった後には、溶剤。

手軽なものでは、ボトルタイプの修正液(油性水性両用)のうすめ液が便利だ。もっとガバガバ使いたい人はミツワペーパーセメント除去用のソルベントの缶を購入しよう。ただし、揮発性なのでフタの閉め忘れに注意することと、「いい匂いだ」と夢中にならないことが肝要。換気をしよう。

・かつての勤め先は、画材を扱う会社のクセに、ソルベントを専ら床掃除に使っていた。ロウを落とすにはアルコールを使っていたような記憶もある。試してみてはいかがだろう。


・また、61番など影に使うトーンで、あまり細かい面積しか残っていないものは、ばっさり捨ててしまおう。次に使う時、「無駄のないように使えるシートはどれか」と、残りのシートをいちいち検討する時間が無駄だ。

左右のデッサン狂い…円が歪むのは

・右利きの人、丸を描いてみよう。
・正円になればいいけど、そんなに力まないで、自然に……。
・次は、素早く描いてみよう!なんとなくテストの採点でつけるような、そんな丸になったのではないかな?それが、右利きの人の、手クセだ。いいとか悪いとかではない、ごく普通の人の習性だ。


・しかし。漫画造形において「デッサンがおかしい」場合。
この手クセによる変形が要因のひとつではないか、と思えるのだ。


・正円を描く。
右上が膨らみ、左下がとがる。

縦長の楕円を描く。
右に傾く。

・垂直に立った棒を描く。
右に傾く。


・こうした手クセが、人物の顔や全身を描く時にも現れる。
頭部の右が膨らむ。あごは左向きだととがる。右の肩が高くなる。全身が右に傾く。


・もっとも、手クセというかストロークを生かしてイラストを描くアーティストもいる。クセが諸悪の根源だ、と言うつもりはない。

・しかし、絵を裏返して透かしてみて、やっぱりおかしいとガックリして、なのにどこを直せばいいのやら……という人は、自分のクセが分かれば、修正も楽になるはずだ。その際、右利きのストロークによる手クセの特徴がヒントになるかもしれない。


・左利きの人は左右逆の現象がおこるのだろうか……?

トーンの指定(3) トレスで指定&エロ蛇足

・人体の影など、トーンの指定が水色では、やはり見にくいと感じたことはないだろうか。
・輪郭線に囲まれた部分を塗りつぶすように貼るのなら楽だが、輪郭がない部分に貼るのは難しい。
・影に貼る場合、トーンの境界線とは、ものの形の稜線をあらわす。このラインが適確に出ていれば、見る人もかたちの立体感、空気感、奥行き、ダイナミズムなどを感じることができる。したがって、明瞭な線で指定しなければならない。ところが水色の線では曖昧に見えてしまい、意図した通りにトーンを切ることができない、という問題が出てくる。

・このような場合、原稿の裏からトレス台で透視し、トーンを切る線を黒のシャープペンで指定すると良いだろう。いざ貼る時には、黒で描いた線が透けて見える。水色よりは、かなりはっきり見ることができるはずだ。
・他にもメリットはある。水色の粉がトーンについて圧着されず、はがれやすくなる問題点や、色鉛筆を何度も描いては消して…を繰り返して、ペンの描線まで薄くなってしまう事態を避けることができる。


・あまり品のよくない話題だが……
いわゆるエロ漫画では、身体の影をつけることが、ほぼ必須である。裸の状態では、服にトーンを貼れないため、画面が白っぽくなってしまいがちなのだ。また、服のトーンでごまかしが利かない分、身体の立体感を出さなければ、売りである「エロシーン」の迫力には繋がらない。よほどデッサン力があるか、描線の美しさが出せる人でなければ、何がどうあっても影のトーンを貼らねばならないのだ!

・そうした場合には、裏からのトーン指定は本当に便利だ。また、輪郭線を使わずに、トーンだけで形を表したい時にも良い。

・そう、エロ漫画には必須の。
例えば、乳輪。
例えば、男性器のシルエット。
これらを貼る時は気合が入る(よな!な?)。失敗の少ないよう、裏からバッチリ描いておいて臨もう!

・ちなみに、ウチでは乳輪には、SE-95X~96X番の、薄めのグラデーションで細いものを使っている。特に、「濃くしない」ことに、細心の注意を払っている。(乳首の形はペンで描く。)影のトーンと重ねる時は、グラデではなく、同じ線数で、5%くらいの薄いトーンを貼る。
・そう言うわけで、薄めで極細の帯グラを、つい「ちくびトーン」と呼んでしまう……がーん。

・処理が楽なことから、円形のグラデトーンを貼る人も多いだろう。ただ、境界線があいまいになるのは、あまり魅力的ではないように思える。また、絵の中の人体によって、乳輪の大きさも形も変わる。それに合った形の円のトーンを見つけ出すほうが大変だと思うのだ。

よいおっぱい・わるいおっぱい


・以前アシスタント先で、乳輪の周囲を削りまくってぼかしたら、先生に注意された。ぼやんとしたのでなく、ほわんと。瑞々しいのがよいのだ。削るなら。まず、かっちり境界線どおりにトーンを切って、貼る。それから、デザインカッターでない普通のカッターの刃の、頭の部分を利用して、トーンの端っこをワンアクションで削る。その程度。


おいしそうに仕上げる


・念のため。公序良俗に反する絵、文章を描いているつもりはない。こんな絵で妙な気分になるような閲覧者はいなだろう。あくまで、よく使われる技術を真面目に考察しているつもりなので、よろしく!

・自分以外にも、ここを見ている人がいるらしい。誰だ!?そんな物好きなあなたのために、造形雑考を書きつづけよう。ただ、本当はブログなど書いている場合ではないのだ。たまに思い出したように更新すると思うので、そのつもりでよろしく!

トーンの指定(2) 他の色鉛筆で色分け

・さて、自分だけが貼るのなら良いが、他の人に仕事をふる際、トーンの指定には工夫が必要だ。服、髪、小物など、基本貼りの指定は、簡単なキャラの絵を描いて(本当に簡単でよいのだ)ここまではSE-159、ここはSE-64……というふうに描きこむと良いだろう。
・トーンを複数の違う場所に使う場合、例えばSE-61を女友達のシャツと、別のコマの空と、ビルの窓と、カフェのスツールと、こことここに!というふうに、思いつくままに、忘れないよう指定したい場合は、どうするか?みんな水色の色鉛筆で指定するのか。他にもSE-954を貼るグラデの指定を色鉛筆ですでに塗ってあったら?どこに何を貼ればよいかわからなくなる……
・そんな時には、水色以外の色鉛筆も使ってしまうのだ。蛍光色の黄色、オレンジくらいなら印刷にも出にくいだろうし、何よりも目立つ。手伝う人にも伝わりやすくなる。

トーンの指定(1) 水色鉛筆の選びかた

・トーンを貼る場所は、普通、水色の色鉛筆で指定する。水色はオフセット印刷に出ないからだ。(とはいえ、濃く描くと出てしまう場合もあるらしい。)
・色鉛筆では、消しゴムで消せるタイプのものを使うと、後で線を変更するときに楽である。
・三菱のユニカラーという有名な色鉛筆のシリーズがあるが、姉妹品で「Uni ARTERASE COLOR」(アートレーゼ・カラー、だっただろうか)というシリーズがあり、消しゴムで消せる特徴を持つ。ただ、ユニカラー100円に対し、アートレーゼは150円と、高めである。(現在ではもっと値上がりしているかもしれない)
・もっとも、ユニカラーでも安い色鉛筆に比べると、消しやすい。外国産の少し高めの色鉛筆で、芯が柔らかめの物なら、同様に使うことができるだろう。
・他に、最近人気があるのは、シャープペン用のカラー芯である。
例えば次のような製品である。
・三菱ユニ ish(イッシュ)ミントブルー0.5ミリ
・パイロット COLOR ENO(カラーイーノ)ソフトブルー0.7ミリ
・ぺんてる Teachy's CHECKERS(ティーチーズチェッカーズ)1.3ミリ

・ishは普段使うシャープに入れられることもあってか、トーンの指定のみならず下描きに利用する人も多いのではないか。
・しかし、敢えておすすめしたいのは、0.7ミリ、ENOである。なぜか?
・水色では、0.5ミリだと細すぎて線が見えづらいからである。見やすく描くには濃く、ガシガシと線を重ねなければならず、二度手間。また、折れやすいのも欠点だ。
・ペンの描線ほどの細かさを要求されるのでなければ、「若干太め」の0.7ミリくらいが使いやすいのである。「Teachy's~」や色鉛筆では、ちょっと太すぎるのだが。

トーンの種類

・「スクリーントーン」とは、レトラセット社の登録商標だそうだ。

・模様のついた透明なフィルム状のシートで、裏面にワックス糊がついている。紙の上に置いた状態で圧力をかけることにより、糊がつぶれて広がり、接着することができる。……のだったと思う!


・このような製品、「スクリーン」や「トーン」を制作する主なメーカーは、次の通り。


・レトラセット(今どうなってんだろ)

  スクリーントーン、スクリーントーン倍判、コミックスクリーントーン


・<a href="http://www.icinc.co.jp/">アイシー</a>

  アイシースクリーン、アイシースクリーンユース、イラストスクリーン、イラストテックス


・<a href="http://www.e-maxon.com/">マクソン</a>

  マクソンスクリーン、マクソンコミックパターンBIG、マクソンコミックパターン、マクソンコミックテックス


・<a href="http://www.deleter.jp/">エスイー</a>

  デリータースクリーン、デリーターJr.スクリーン


・<a href="http://www.sam-t.co.jp/">サム・トレーディング</a>

  デザイントーン


・ジェイ

  ジェイ・トーン

  


・購入したトーンは、次のように分類している。人によって様々かと思うが、参考になれば。


・ドット10%

・ドット20%

・ドット30%

・ドット5%

・ドット40%以上

・粗ドット

・ライン

・サンド

・パターンサンド

・グラデ幅広

・グラデ細

・パターングラデ

・薄グラデ デリーター9××

・薄グラデ デリータ以外

・グラデ ICユース

・カケアミグラデ

・ソフト光球

・あかり

・ソフト流れ

・模様 柄

・柄効果

・ポイント罫 ふきだし

・おどろ

・チェック

・花柄

・風景

・ホワイト




印象的な画面づくり

・昨日描いた、「大きな絵を描く」力技であるが、もう数点、心がけたいポイントがある。

・目は黒目がちに、しっかり描く。とくに、女の子は目の大きさに対して黒目部分を増やすと可愛い感じになる。睫毛を描いても目を大きく出来るが(メイクと同じことだ)個人的には好みではない。

・かつて少女まんがでは、目の中…虹彩の部分を丸ペンで細かく描く方法が主流であったのだが、現在ではシンプルに、黒っぽさを生かした目の描き方が増えたと思う。迷っているくらいなら思い切って、ひとみのホワイト以外を、または黒目全部をペタッと真っ黒のベタにしてしまったほうが可愛くなってしまうかもしれない。


・一ページに必ず一箇所以上、ベタを入れる。そうすると、画面がしまって見えるのだ。あごの下の影や、襟、袖の影、隙間などを、ベタにしてみよう。本来の濃さとは違うように感じても、画面の他の部分とのバランスを考えて入れれば効果的なはずだ。


・線は、ある程度の太さを保つ。特に主線は、あまり力を入れないで描いていると、小さい判型の雑誌に載ったときに印象が薄くなってしまう。載る雑誌の大きさを考慮して描ければよいのだろうが、今度は単行本になった時、作品によって密度がまったく違ってしまう。

・大きいイラストを筆で書いてみる、など、ある程度思い切ったストローク、ワイルドな画面づくりができるようになれば、雑誌の大きさとのバランスに頭を悩ませることもなくなる?かもしれない…?(弱気)

原稿用紙の大きさの感覚

・商業誌用の原稿用紙は大きい。基準枠線の中がB5くらい。枠の外の、印刷される面はA4よりも大きい。

・原寸で読みやすいくらいの密度で漫画を描いても、B5やA5サイズの雑誌になった時には、チマチマして見えてしまう。


・大きな書店や、まんが専門店の原画展示を見ていると、思っていたよりも、すいぶん大きく絵が描かれていることに驚く。

・雑誌の中で読者に目を留めてもらうには、大きな絵でキャラクターの視線、表情を印象付けなければならないのだ。

・大きな絵=大きなコマを意味しているのではない。大きなコマは演出上、ストーリーの止まるところに、空間とのバランスをとって生まれるものだ。

・ここで話題にする「大きな絵」とは、小さいコマ、細長いコマの中に右の顔半分だけが入っている、目だけが入っている、等の場合を含む。ページ(見開き)の中に、はっきりとキャラクターの顔を見せ、画面に読者の目をつなぎとめるのである。

・これは、技法や構成がどうの、という話ではなく、読者に強くアピールする力技である。デッサンが狂っていようが、話が破綻していようが、これでもか!!!という勢いが伝われば、読者は素通りしないで、そのページを見てくれるのではないだろうか。

・もちろん、全編それでは暑苦しい、むさくるしい、うるさくてかなわない画面になる恐れもある。しかし、アピールのない、気の抜けた漫画よりはよっぽどマシだ。

・力技でもなんでも、注目を集めることこそが、新人漫画家が生き残っていく条件だと考える。

スクリーントーンを切る手順

・トーンを貼る基本的な手順は次の通り。



1. トーンを貼る範囲を決める。境目に線がない場合は、水色の色鉛筆で境界線を指定する。

2. 原稿の上に、トーンを裏紙ごと乗せ、貼りたい図に足る部分を、おおまかに切り取る。

3. 切り取ったトーンを裏紙からはがし、原稿に直接載せる。

4. トーンナイフの持ち手の部分で、図の内側の部分をちょっとこすり、圧着させる。(切っている最中に、トーンがずれないようにするため)

5. 輪郭線または境界線に沿って、ナイフをトーンで切る。

6. 周囲の不要な部分をはがす。

7. トーンの裏紙(別にキレイな紙なら何でも)を上から載せ、トーンべらで強くこする。


・切るのにトーンナイフ(NTデザインカッター、400円)に45度の刃を差して使っている。

・ただし、直線を切る時には普通のカッターナイフを定規にあてて切る。

・人によってはトーンナイフが使いづらく、すべてカッターナイフを使うという人もある。

・網目トーンの目は45度が基本。90度だと「少し凝った使い方」という印象に。

・中途半端な角度は、モアレを防ぐ意味でも避けたほうがよい。(といっても、時間に余裕がない時は、そんなこたぁ言っていられない)

・はがした後の原稿に、接着剤のワックスが残ってぺたつく場合は、汚れの原因になるので、消しゴムや練りゴムなどをかけてワックスを取り去る。

しかし、細かい部分のトーンをうっかりはがしてしまわないよう、消しゴムをかける方向には気をつけよう。


関連項目予定

・トーンの種類

・トーンの指定は色鉛筆か、トレスか

・トーンの管理…1シートから、無駄なく効率良く使う

・トーンナイフの持ちかた、切る方向

・トーンを削る

・失敗(かける、ずれる、はがれる)を防ぐ

・トーンを重ねる

・小さな部分にトーンを貼る

・髪の毛にトーンを貼る

日本字ペン

・結構使いやすい。

・今回の原稿、もっと早く使えば良かった…


・どんな時に使いやすいか。


*細いが、存在感のある線を出したい時。


・例えば、髪の毛の線。丸ペンでは細すぎ、Gペンでは太過ぎる時にちょうど良い。

・日本字ペンは入りと抜きが比較的きれいで、Gペンよりは線の強弱も控えめなため、失敗が少ない。

・注意は髪とペン先の摩擦で、引っかかったりよれたりしないように上手くコントロールすることが必要だ。


・例えば、小さめの人物など。

・日本字ペンは名の通り、日本の字を書くためのもの。ペン書道で清書に使う。

・他のペン先は、先の左右が紙の面に対して水平に接した状態で、垂直に線を引く。斜め方向に線を引けば、左右のどちらかが引っかかり、本来のペンならではの美しい線は引けない。

・これに対し、日本字ペンは字を書くのだから、ペン先を一定の方向に向けたままで上下左右、360度、線を引けるはず……だが、実際にはどの向きも自由自在とは行かないようだ。だが、他の種類に比べれば、引ける線の向きの範囲は、はるかに広い。

・よって、小さな絵・…ペンの使いやすい角度に紙を回すなんてまどろっこしくて冗談じゃねぇよ的な……の場合は、ひじょうに書きやすいのであった。

・もちろん、使っていれば、だんだんなまってくるのだが。