Fanta.NAOYAH!! のブログ ~冬も夏もスノーライフ~ -618ページ目

雪崩が・・ (3/3) 最終章

雪崩が・・ シリーズ。 最終章になります。

(1/3) http://ameblo.jp/fantablog/entry-10496619599.html

(2/3) http://ameblo.jp/fantablog/entry-10498789370.html


投げ出された体は、雪崩とともに流されていった。


仰向けになった体の上を、時折小さな雪の塊が通り過ぎていく。まだ状況を把握しきれていなかった,、いや、把握するのが怖かった僕は、ビデオカメラを守るべく、右手を掲げて雪が当たるのを避けていた。このまま収まってくれるのを祈りながら。


しかし、状況の深刻さを身をもって感じることとなった。雪がクチに入り込み、呼吸を邪魔し始める。とめどなく流れ続けるその波は体を覆い始め、混乱という闇へ向かうことを引き止めていた暖かい太陽の光を、視界からさえぎっていった。


俺、雪崩に巻き込まれてるんだ・・。


このまま埋もれて死んでいくのかな・・。


雪崩についての文献や講習が1つ1つアタマをよぎっていく。とにかく地上に向かって泳ぐんだよな。けど、仰向けの状態からどうやればいいんだ。呼吸を確保するために手でエアーポケットを作るんだよな。でも、どのタイミングなんだ。いつ泳ぐのをあきらめるんだ。


冷静を装うのもそろそろ限界か。そう思い始めた頃、体が回転し、地上を指し示す光が断続的にとだえていった。もう自分の状態を把握できなくなってきた・・。俺、どうなるんだろう・・。


希望を失いかけたその時、体が流されていく感覚がなくなった。耳から入る不快なノイズがおさまっていた。そして、目の前には気持ちをつなぎとめていた太陽の光が、雪に覆われた視界の向こう側を照らしているのが確認できた。


その希望の光に向かい、両腕のありったけの力を使って、雪を掘り進めていった。やがて雪の隙間から暖かい光が差し込んだ。覆いかぶさっていた雪を払いのけ、上半身を起き上げた僕を、青い空が迎えてくれた。


辺りの景色は一変していた。不揃いな雪の塊があたり一面に広がっていた。雪崩という現実を目の当たりにした僕には、地獄絵図のように見えた。視界にライダーが入らない!慌てて名前を叫ぶと、小さな声で返事が返ってきた。流された僕からはかなり離れた木にもたれかかっていた。ターンをした後に、自分が起こした雪崩が後ろから襲い掛かり、目の前の木にぶつかっていった。その木が彼の支えとなって、次々に流れてくる雪に抵抗しきることができたのだった。


自力で抜け出すことができない彼を助けに、荒れ果てた雪面を登っていくものの、本来そこにはなかった雪の層は腰の上まで達し、容易に前へ進めさせてくれない。雪崩によってぶつかりあった雪は、姿を豹変させる。硬く重い固まりとなる。それらが体に覆いかぶされば、容易に抜け出すことができない。そんな雪がさらに歩みをさえぎっていく。いつたどりつけるか途方にくれながらも、雪崩に巻き込まれたことを思い返していた。


もう少し下に埋まっていたら・・。うつ伏せになっていたら・・。

仲間は動けない。他の助けも期待できない。

もし・・。もし・・。


遅れてきた恐怖心に襲われながらどのくらい時間が経ったのだろう。付近を滑り降りてきた人へ助けを請い、彼を堀出してもらうこととなった。そして、雪の波にニット帽とサングラス、それに板が流されている事に気が付いた。この状況となっては、それらを探すのは容易ではないことはすぐに理解できた。精魂尽き果てたというのはこういうことなのか。力のない足取りで山を下っていった。すると、雪崩が起きた遥か先に下った木の下に、板が寄り添っていた。


大切にしていた板との再会を喜びながらも、ノーズに深い傷が入り、板が折れている姿に、事態の深刻さを再確認させられたのだった。



あとがきへ・・。(続く)