2024年7月のMVP | 銀玉戦士のアトリエ

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☆2024年7月 月間MVP☆

 

👑🇧🇬ストーヤン・コプリブレンスキー🇧🇬👑(K-1 WORLD MAX 70kg級トーナメント世界王者)

 

【K-1 WORLD MAX 2024 FINAL 70kg級トーナメント準々決勝 VS ブアカーオ・バンチャメック戦 dif 3R判定勝利】

 

 

 

 

2024年、新生K-1の舞台に復活したK-1 WORLD MAX。

かつて魔裟斗が戦い、2度のトーナメント制覇を果たした黄金の70kg級トーナメントのベスト16を決める試合で、優勝候補筆頭でありながら無名のカスペル・ムジンスキーにダウンを奪われ、まさかの判定負けで初戦敗退となってしまったGLORY2位のストーヤン・コプリブレンスキー。

しかしトーナメントに出場するはずだった中国のオウヤン・フェンが欠場、急遽コプリブレンスキーが代役としてトーナメントに参戦する流れとなった。

初戦の相手は2004年、2006年に旧K-1 WORLD MAX世界一決定トーナメントを制覇し、42歳の現在でも、新生K-1のトップ選手の一人だった木村フィリップミノルをKOした実力を維持し続けている、ブアカーオ・バンチャメック。

ストーヤンにとって厳しい初戦の相手となったが、新世代の旗手は、レジェンドの厚い壁を果たして超えられるか。

 

 

 

1R、両者ガードを高く上げ、オーソドックスに構える。

中間距離から左ジャブ、左右ローキック、左ミドルを放ってゆくストーヤン・コプリブレンスキー。42歳のブアカーオはパンチをブロッキングしつつ、同じく中間距離から左ジャブ、強烈なローキックに、代名詞である左ミドル、前蹴りを放ち、距離が近くなったところへ膝蹴りをボディにヒットさせる。

ストーヤンが踏み込んで右ストレートを打ってきたところをスウェーバックでかわしつつ、左フックのカウンターをヒットさせ、更にワンツーをヒットさせる。

2006年のトーナメントを制したブアカーオのパンチの技術は未だに健在だ。

ジャブを上下に打ち分け、インローをヒットさせるストーヤン。続いてワンツースリーと攻撃を伸ばしてゆくが、ブアカーオは全盛期を彷彿とさせる目の良さで、スウェーバックで華麗に避けてゆく。

ストーヤンが踏み込んできたところへ左フックカウンターを再びヒットさせるブアカーオ。ストーヤンも右ストレートをヒットさせるが、ブアカーオも左ミドルからバックブローを放ち、ストーヤンもパンチからバックブローを見せる。

両者互角の1Rだったが、GLORY2位のストーヤン相手に42歳のブアカーオの強さの健在ぶりが見られた。

 

2R、ストーヤンのローキックを、ブアカーオが足を上げてカットする。

右ミドル、前蹴りが冴え渡るブアカーオ。ストーヤンも右ストレート、ワンツーから右ハイキックを放ってゆくが、ブアカーオもストーヤンのパンチの打ち終わりに強烈なローキックを返し、こかしを見せてベテランの妙技でストーヤンを呑み込もうとする。

ブアカーオが左ミドルを3度放つが、その都度ミドルの打ち終わりにローキックを返していくストーヤン。キックボクシングでは定石通りの攻めだが、これならば相手もローキックをカットしづらい。

そしてローに意識を持たせたところで、ブアカーオのミドルの打ち終わりに伸びのあるワンツースリー、右フックとヒットさせたストーヤン。

ブアカーオはなおも左ミドルを放つが、ストーヤンが打ち終わりにローキックを再び返し、再びブアカーオが左ミドルを放った後に左のガードが下がったところへ、ストーヤンの右ハイキックのつま先がヒットし、ブアカーオは尻餅を付いてダウンを宣告させる。




ブアカーオの代名詞である左ミドルの打ち終わりにローキックを返し、意識を下に持たせたところで右ハイキックでダウンを奪ったストーヤンが、2Rを10-8で取った。

 

 3R、ダウンを奪われたブアカーオは前に出て、上下にパンチを打ち分けて反撃を試みるが、ストーヤンも右アッパー、前蹴りとヒットさせ、ジャブ、ワンツー、ローキックと放ち、ボディも打ち分ける。

終了間際、ストーヤンがバックハンドブローから左ハイキックをヒットさせたところで試合終了。

判定は2Rにダウンを奪ったストーヤン・コプリブレンスキーを3者が支持し、敗者復活でトーナメントに参戦したストレートが、2タイムズチャンピオンのブアカーオ越えを果たした。

 

 

 

 

 

【K-1 WORLD MAX 2024 FINAL 70kg級トーナメント決勝 VS ヴィクトル・アキモフ戦 dif 1RKO勝利】

 

 

準々決勝でブアカーオを下し、準決勝でデング・シルバにダウンを奪い、判定で勝利を上げたストーヤンが、決勝のリングに上がる。

Bブロックから上がってきたのは、2試合連続KO勝利したロシアのヴィクトル・アキモフ。

ストーヤンは準々決勝、準決勝のダメージが色濃いだけに、ダメージが少なく勝ち上がってきたアキモフは、普通に戦えば実力差はあれども危険な相手だ。

 

1R、ストーヤンはオーソドックス、アキモフはサウスポー構え。

175cmのアキモフに対し、180cmと身長が5cm高いストーヤン。アキモフのローキックをスカし、リーチの長さを活かして右ミドル、右ボディストレートをヒットさせると、フェイントから距離を詰めて強烈な膝蹴りをボディにヒットさせる。

距離を作るのが巧いサウスポー構えのアキモフに対し、右ミドル主体の攻撃の組み立てで、早くも序盤から中間距離の攻防でアドバンテージを取ってゆくストーヤン。

ストーヤンはサウスポーにスイッチしてワンツーの左ストレートをヒットさせてアキモフを下がらせると、ロープ際で右からの返しの左フックをヒットさせ、ダウンを奪う。

再開後、前に出て手打ちながらも連打を放つアキモフだが、ストーヤンはしっかりとガードを上げてブロッキングすると、右ハイキックからパンチ連打で2ノックダウンを奪い、試合終了。

 





トーナメント2試合のダメージが色濃く残った状態で決勝の舞台に上がりながらも、相手の弱点を突いた的確な戦術で序盤からアドバンテージを取り、相手にとって予測しずらいサウスポースイッチの攻撃からのアキモフの弱点である近い距離でのショートフックの打撃でダウンを奪い、トドメの2ノックダウンで見事1RKO勝利を果たしたブルガリア出身のストーヤン・コプリブレンスキーが、2024年K-1 WORLD MAX世界一決定トーナメント王者の栄冠を手に入れた。

 

 



 

 

 

 

 

旧K-1MAXで活躍していた魔裟斗やブアカーオといった選手に憧れ、母国ブルガリアで15歳からムエタイを始め、アマチュアで60戦以上をこなす。

22歳の時、K-1レジェンドであるバダ・ハリを輩出したオランダの名門キックボクシングジム、マイクスジムに所属する。

プロキックボクサーとしては2014年にデビュー。2017年には世界最高峰のキックボクシング団体GLORYに参戦し、同年に開催されたライト級コンテンダートーナメントの決勝戦では、後のGLORYライト級王者となるティジャニー・ベスタティに判定勝利を納める。

その後も強豪相手にキャリアを積んでいき、2022年にはGLORYライト級タイトルマッチで王者になったティジャニー・ベスタティ、そして日本に来日し、70kg級日本人最強キックボクサーとの呼び声が高い海人を相手にスプリット判定で敗れるものの、いずれも僅差の判定まで追い込み、その強さを改めて証明した。

2024年3月に行われたK-1 WORLD MAX 70kg級トーナメントでベスト8を決める開幕戦に出場、無名の選手だったポーランドのカスペル・ムジンスキーにまさかの敗北を喫してしまうも、トーナメントに出場するはずだったオウヤン・フェンが欠場した事で、代役参戦のチャンスを掴み、トーナメント3試合を見事勝ち抜いて、K-1 WORLD MAX 2024 世界一決定トーナメント王者となった。

 

ガードが高いダッチムエタイスタイルの構えながらも、身長180cmの体格の大きさとリーチの長さを活かし、鋭い左ジャブ、伸びのある右ストレート、キレのある左右のローキックを駆使し、中間距離を主体に戦う正統派のキックボクサーである。

パンチからキックへと繋げる対角線コンビネーション、ナックルを返した必殺の左フック、強烈なボディブロー、KOを狙える右のハイキックと、キックボクサーとしての技が非常に多彩で、接近戦での打ち合いにも慣れている。

時折構えをスイッチしてコンビネーションを放つなど、相手の意表を突いた技も得意としており、多彩な技を駆使して相手の弱点を突く戦術を実行し、ドミネイトしていく。

 

令和に蘇ったK-1 WORLD MAXで初の70kg級トーナメント世界王者に戴冠し、魔裟斗やブアカーオといったレジェンド達に並ぶ存在となったストーヤン・コプリブレンスキー。

トーナメント王者として、そして立ち技世界最高峰とかつては呼ばれていた団体であるK-1王者として、まだまだ証明しなければならない対戦相手はK-1内外でも数多いが、ブルガリアの「不沈艦」の如く沈まぬ船としてKのリングで戦い続けてゆく。