スーパーボンVSグレゴリアン、吉成名高 試合レビュー | 銀玉戦士のアトリエ

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今回は立ち技関連です。

最近気になった試合をレビューしました。

 

 

 

⚪️🇯🇵吉成名高VSケビン・マルチネス🇪🇸⚫️(3R判定)🎫ラジャダムナン・ワールドシリーズ

 

 

 

巷でスゴイスゴイと言われながらも、実はあまり観た事が無かった吉成名高の試合ですが、今回改めてちゃんと試合を観てみる事にしました。

 

うむ、確かにスペシャルな才能を持つ選手です。

ムエタイ界における井上尚弥的な選手と言ってもいいでしょう。

 

この選手の凄さは攻撃力よりもむしろディフェンスにあります。

とにかく目が良いし距離感も抜群なので相手の攻撃が当たらない。

旧K-1MAX時代のジョルジオ・ペトロシアンが、その卓越したディフェンステクニックから「神の眼を持つ男」と煽られていましたが、同じサウスポースタイルという事もあり吉成はまさに「和製ペトロシアン」と言っても過言ではないでしょう。

 

そんな吉成に攻撃を当てるためにはまずは相手の懐に入らなくてはいけないわけですが、近付いたところで一流タイ人と互角以上に渡り合える首相撲に加え、強烈な肘と膝蹴りがあるので、首相撲耐性の無いキックボクサーなんかはまずそこで脱落していくわけです。

それをクリアしたとしても、懐の深いサウスポー構え+左ミドル+前手が障壁となって、相手にとっては容易に懐に入るのが難しいし、左ストレートのカウンターで迎撃させられてしまう。

この2段構えの盾と矛が、吉成名高の強さを構成しているのです。

 

キックルールならともかく、ムエタイルールならば那須川天心よりも普通に強いんじゃないんですかね。

 

吉成名高をムエタイルールで倒せる選手が居るとするならば、首相撲が強くてフィジカルが強く、ガンガンプレッシャーを掛けていってロープ際に追い込んで至近距離で打ち合えるタイプの選手。

ロッタン辺りが一番可能性が高いと思います。

 

ただ現在ロッタンはONEのフライ級(61kg)で試合をしているので、50kg〜55kg付近で試合している吉成とは体重が合わないので、実現不可能な対戦です。

吉成もウェイトを上げられるとしたら58kg位まででしょうか。

軽量級の立ち技、特に吉成の階級である50kg〜55kg付近なんて、日本人とタイ人以外は世界的にも選手層がすこぶる薄い上に、ムエタイともなると日本人選手でもごくごく限られてくるので、吉成名高としては武尊における天心のようなライバルが不在で、無人の荒野をただ一人突っ走っている状態なのが、イマイチ人気が出ない理由の一つなのでしょう。

 

55kg〜57kg契約でK-1に出場して、K-1ルールで戦うのも一つの手かと思います。

あのスタイルだったらK-1ルールでも普通に強いでしょうし、金子、玖村辺りと戦ったら彼の強さが可視化されるのではないでしょうか。

 

 

 

 

⚪️🇹🇭スーパーボンVSマラット・グレゴリアン🇦🇲⚫️※5R判定🎫ONE championship

 

 

 

 

ONE championshipフェザー級キックボクシング暫定王座決定戦として行われたこの試合。

正規王者はスーパーボンをKOで破ったチンギス・アラゾフですが、次回の契約更新が行われていない状態だったので暫定タイトルマッチを組んだという経緯でしょうか。

どうやらアラゾフはこの試合が行われた後に無事にONEとの契約を更新したとの事です。

 

オーソドックスに構え、左ジャブと重いローキック、左ミドルをヒットさせて、削りながら突き放すスーパーボンに対し、こちらもオーソに構えて左ジャブ(スティッフジャブ)を突きながらガンガン距離を潰していって、至近距離でパンチを当てていくグレゴリアン、という構図で、ラウンドが進むにつれて消耗戦の試合となりましたが、結果は判定でスーパーボンが勝利を納めました。

 

何となくスーパーレックVS武尊を思い出す試合展開でした。

序盤はスーパーボンのロー、ミドルが走っていましたが、グレゴリアンも距離を詰めながら時折アッパーが顎を捉える場面もあり、中盤以降はスーパーボンもグレゴリアンのプレッシャーに押されて疲弊した感はありましたが、グレゴリアンもスーパーボンの左ミドルを右腕に何度も受けたり、ローキックを効かされていたので、パンチをヒットさせても威力が半減してしまい、倒し切るまでには至りませんでした。

 

 

そういえばONE championshipが今年後半にフェザー級(70kg級)キックボクシングGPを行うとの事です。

何だかこのタイミングでの70kg級トーナメント開催って、チャトリなりにK-1MAXの70kg級トーナメントを意識しているのかな、と勘繰りますが、トーナメントには王者チンギス・アラゾフ、暫定王者スーパーボンの参戦が予定されているそうです。

そこにマラット・グレゴリアン、スーパーボンに勝利したタワンチャイらも参戦してくるでしょう。

あとはK-1を離脱し先日ONEとの正式契約が発表された野扖正明も、参戦は濃厚かと思われます。

 

野扖については、一応K-1時代は69.5kg級契約で外国人選手と試合して勝利してますけど、70kg級、そしてこの階級における超一流外国人キックボクサーとの対戦経験はなく、いつぞやのジョーダン・ピケオーに敗れた時に露呈したフィジカルが懸念されるところです。

いずれにしろ、ONEにおいてはこれまでとは違うタフな試合を強いられる事となるでしょう。

さてどうなるか。