GLORY COLLISION4 バダ・ハリVSアリスター・オーフレイム 感想 | 銀玉戦士のアトリエ

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一週間前に駆け込みでU-NEXTに加入したという事で、バダ・ハリVSアリスター・オーフレイムの13年越しの対戦がメインイベントとして行われたGLORY Collision4の感想記事です。

割とU-NEXTはスマホでも快適に見られますね。DAZNの初期の頃なんて回線細くて頻繁に映像止まっていて、クレーム出しても改善されませんでしたが、U-NEXTは3G回線でも画像が鮮明でサクサクです。

 

 

 

 

🏟GLORYライト級タイトルマッチ🏟

⚪️🇲🇦ティジャニー・ベスタティVSストヤン・コプリレンスキー🇧🇬⚫️(5R判定勝利)

 

現GLORYライト級王者ティジャニー・ベスタティはバダ・ハリと同じくモロッコ出身の選手。

GLORYでは2016年、18歳の頃から参戦し、GLORYでの戦績は12勝3敗。

現在はONE championshipに所属している元GLORY王者シッティチャイ、マラット・グレゴリアンといったトップ所には敗れているものの、近年成長著しい24歳の有望株で、身長190cmの長身から打ち下ろされる強烈なパンチを主な武器としています。

挑戦者ストヤン・コプリレンスキーはキックボクシングにはあまり馴染みが無さそうなブルガリア出身の選手。バダ・ハリらが所属するマイクスジムの選手です。

 

ベスタティ190cm、コプリレンスキー180cmと、ライト級(70kg級)にしては大柄な体格の両者。

旧K-1MAX初期の頃と比較すると随分と選手の大型化が進んでいるなぁと感じます。

 

序盤は王者ベスタティがスイッチしての打撃で攻勢を掛ける展開。ジャブとコンビネーションを仕掛けるインファイトの時はオーソドックスに、左ミドル主体で突き放すアウトファイトの時はサウスポーに構えるなど、戦術によって完全に変えてくるようなスイッチの仕方です。

 

ベスタティはノーガードでディフェンスする場面を見せるなど、攻撃にリズムが出ているようにも見えますが、コプリレンスキーのローキックをあまりカットせずに受けてしまっているのが気になります。

 

このローキックがじわじわと効いてきたのか、3Rと4Rは逆にコプリレンスキーのパンチが顔面を捉え始めてきます。ベスタティはミドルで突き放そうとしますが、コプリレンスキーは相手のミドルの打ち終わりに定番のローキックを返してきます。

 

イーブンとなった最終5R、ベスタティは意を決して打ち合いに挑み、際どい判定となりましたがスプリットで王者ベスタティが初防衛に成功しました。

 

ティジャニー・ベスタティ、初めてこの選手の試合を観ましたが普通に強くて面白い選手です。遠中近全てのレンジで戦えて、攻撃的でスイッチも可能な幅広いファイトスタイルは元K-1王者チンギス・アラゾフを彷彿とさせます。

ONEのトップ所五強(スーパーボーン、アラゾフ、シッティチャイ、ペトロシアン、グレゴリアン)に勝てるかと言われると現時点ではちょっと厳しいかもしれませんが、2年後くらいには全然可能性はあります。

この選手を新生K-1に呼べばグレゴリアン、アラゾフ以来の衝撃になるでしょうし、「中量級のバダ・ハリ」として継続参戦させれば日本でも人気者になると思うんですが、新生の事だからどうせ呼ばないんでしょうね。ケッ😝💢

 

 

 

 

 🏟GLORYフェザー級タイトルマッチ🏟

⚪️🇹🇭ペットパノムロン・キャットムーカオVSアブラハム・ヴィダレス🇲🇽⚫️(5R判定勝利)

 

現GLORYフェザー級王者ペットパノムロンはサウスポー構えで200戦以上の戦績を誇るムエタイファイター。2018年にGLORYフェザー級正規王者となり、以降4度の王座防衛に成功。昨年と今年に日本に来日し、RISEのリングで原口健飛にそれぞれ2度勝利を上げています。

挑戦者アブラハム・ヴィダレスはメキシコの選手で、プロキックボクシング戦績は15勝1敗、GLORYでは4勝1敗という戦績です。

前戦では2019年にセルゲイ・アダムチャックと試合して3RKO負け、GLORYのリングに上がるのは3年ぶりとなりますが、異例のタイトル挑戦となりました。やはり人材不足なのでしょうか。

 

喧嘩四つに構える両者。1R開始30秒くらいでペットパノムロンが自分の距離を作り、観ている側からすればペットパノムロンの勝ちを確信するような内容に終始しました。

ペットパノムロンは左ミドルをボディや腕に当て、インローと奥足ローで出鼻を止め、たまにパンチを纏めて相手が打ち気に走ってきたらクリンチで凌ぐという展開。

ちょっと実力が違いましたね。メヒコの選手にはまだ荷が重かった。

2010年代にGLORYが北米進出してた時代があって、結局プロモーション的に失敗に終わったわけですが、その名残もあってあまりキックボクシングが根付いていない北米、南米地域からもポツポツとキックボクサーが出てきてはいます。しかしながら本場タイやオランダの牙城は崩せずにトップ所で敗れるというシーンがGLORYでは多く見られています。スイッチスタイルのトロイ・ジョーンズや、回転テコンドーファイターのレイモンド・ダニエルズなど、北米ならではの面白いファイトスタイルの選手も出てきていますが、本場の首相撲・ミドルローとダッチムエタイスタイルはやはり彼らにとっては壁です。

 

 

 

🏟GLORYヘビー級ワンマッチ🏟

⚪️🇳🇱アリスター・オーフレイムVSバダ・ハリ🇲🇦⚫️(3R判定勝利)

 

2009年のK-1 WORLD GP世界トーナメント準決勝から遡って13年越しの対戦となったバダ・ハリとアリスター。

 

その間に様々な紆余曲折があった両者ですが、煽りVは両者のインタビューにK-1時代のダイジェスト試合映像を時折入れたという、何ともあっさりとした作り。

こういう日本格闘技的な大一番にこそ佐藤大輔の煽りVがあったらなぁと痛切させられます。もしも二人の足跡を扇情的な物語として語られていたならば旧K-1ファンはどれだけ泣いて喜ぶ事でしょう。

改めて「プロモーションとは言語である」というのを痛感させられます。

 

とはいえ、リング上で向かい合った両者は流石に存在感があります。この瞬間に観ている往年の旧K-1ファンは「GLORY」から「K-1」の世界に引き込まれていきます。

 

1R、アリスターはガードを固めながら上体を低くしてプレッシャーを掛けていきますが、年齢もあってかややスローな動き。ベタ足で居着いてしまっており、バダはバックステップで距離を取りながら右ストレート、ロー、左ミドルを当てていきます。

 

なおもプレッシャーを掛けてゆくアリスター。ガードがかっちりとクローズドになっているのでバダは顔面にパンチが入りずらいですが、2Rは左右ボディや左ミドルとボディ主体で打ち分け、前傾姿勢のアリスターにインローを効かせていきます。

 

2R中盤までは有効打でバダハリ優勢の展開ではありましたが、ラウンド終盤にアリスターが片手首相撲の形から強烈な右アッパーをヒットさせ、バダは一瞬フラつきます。

 

ポイントでは有利なものの、打たれ弱いバダハリからすれば滅茶苦茶不安な展開。3R、なおも効いている様子のバダハリにアリスターは首相撲からのボディ膝を効かせ、コンビネーションからの左フックでダウンを奪います。

ああ・・・これは・・・ダメージが抜けないバダに、2度目のダウンを奪ったアリスター。

これは厳しい・・・あと残り30秒、バダ・ハリ、ここから逆転KOしてこその「K-1ファイター」だ‼️

11年前にUFCファンに鞍替えしたオイラもこの瞬間だけはかつての「K-1=俺😝」としての魂が蘇り、心の中で必死にバダを応援しますが、無情のタイムアップ。

判定は当然アリスター・オーフレイムに軍配。3度目の対決と12年ぶりのキックボクシング復帰戦を勝利で飾りました。

 

 

勝ったアリスターは42歳という年齢もありスピードやキレが明らかに衰えていましたが、パワーは健在でした。UFC時代では禁止されていた謎のオクスリの効果もあるのかもしれませんが、2Rに効かせた片手首相撲からの右アッパーのような、GLORYの首相撲3秒ルールの利点を生かしたクリンチ打撃が随所で光っていました。

 

😝テソシソ試合検証記事でも述べましたがhttps://ameblo.jp/fanroad-gindama/entry-12749756636.html?frm=theme 、首相撲からの攻撃が規制されているK-1系ルールと言えども、団体のルールによっては全く攻撃の手段が使えないわけではありません。

ともすれば「逃げ」の形となるクリンチの体制と言えども、今回のアリスターのように立派な攻撃手段として上手く利用できる例もあるのです。

THE MATCHで新生K-1勢がRISE勢に負け越したのもその辺りの微妙なルールの違い、新生K-1の打ち合い至上主義が招いただとかで、未だにキックルールにおける首相撲関連のルールは議論の的となっていますが、個人的にはムエタイルールで首相撲の攻防をやらせたらK-1系ルールのキックボクサーよりもMMAファイターのほうが普通に強いんじゃないかと思っています。

なので、その辺りはMMAファイターであるアリスターに一日の長があった、という事なのでしょう。ああ。。。K-1ルールにおける「K-1 VS MMA」の課題が12年経ってまた蒸し返されちゃっているな。。。

 

一方の負けたバダ・ハリは引退を示唆する発言。最終戦を勝利で飾れなかったものの、最後までバダ・ハリが主役としての文脈が語られた試合といった感じで、流石は千両役者と言えます。

思い返せばK-1暗黒期と呼ばれた時代の閉塞感を打ち破る若きスーパースターとして突如現れ、未来のK-1を背負う存在として大いに期待されていたものの、キャリアの全盛期を旧K-1の消滅と自らの不祥事で台無しにし、そこから更生して復帰を掲げたものの2015年以降7年間も勝ち星に恵まれなかった、悲劇のヒーローでもありました。

 

https://ameblo.jp/fanroad-gindama/entry-12359591709.html

 

Kを継承するバトンをピーター・アーツから受け継ぎ、会場の観客を一気に虜にしたK-1 WORLD GP 2008決勝戦と、バダの事実上日本最後の試合となったK-1 WORLD GP 2010 横浜アリーナ興行を生で見届けたのは幸せでした。やはり彼には他の選手にはないオーラが漂っていました。

 

バダ・ハリはお疲れ様、ですかね。本当はもう一回日本の、K-1のリングで試合して引退の花道を飾って欲しいところですけど、もう彼のK-1での勇姿を知るファンも段々と少なくなってしまいました。KKTおとしとか、みんな何処へ行っちゃったんだろうなぁ(笑)。なので、旧Kヲタの残党を代表して、貴方はずっとK-1ファイターとしてファンを魅了してくれた、この足跡は消える事は無い、ありがとう、と言いたいです。

 

 

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

 

 

久々にGLORYを観ましたが、今回はビッグマッチという事もあって会場の雰囲気も華やかで、照明も以前と比較するとメリハリがあって明るくなっていましたね。

一時は団体存続の危機も囁かれていましたが、大会全体で見ても面白い試合が多く、選手の離脱が多くて苦しい台所事情の中でも新たな選手が育ってきている印象を受けます。特にライト級王者のティジャニー・ベスタティは思わぬ金の卵に出会いました。

次回大会の番宣でもしきりに「NEXT GENERATION」と煽っていたので、GLORYはこれから育成路線にシフトしていくのかもしれません。

あとは、ヘビー級の一部のスター選手頼みの集客力をどうするか、せっかく階級制度が細分化されているのだから、キックボクシングにおけるGSPやアンデウソン・シウバのようなスター選手が誕生して貰いたいものであります。

 

やっぱり最後はこの言葉で締めくくりたいね。

 

 

K-1最高😝👑👑👑‼️‼️‼️

 

 

 

あ、あれ😝❓❓❓❓