🏟UFCフェザー級ワンマッチ(2021年10月 UFC FIGHT NIGHT)🏟
⚪️🇺🇸アレックス・カサレスVSチェ・スンウ🇰🇷⚫️(2R一本勝利)
UFC歴10年、現在33歳とベテランの域に達していると言ってもいいアレックス・カサレス。
そんなカサレスがUFCに初登場したのは、2010年に行われたUFC登竜門番組TUF・シーズン12だった。
このシーズンは当時UFCウェルター級絶対王者だったジョルジュ・サンピエールと、後にサンピエールとタイトルマッチで戦ったジョシュ・コスチェックがコーチ役を務めていた。
確かこの時はWOWOWで日本語吹き替え版が放送されていたのだが、アフロヘアーでブルースリーが大好きというカサレスが練習生の中で一番目立っていた。カサレスのキャラクターを見ると、往年のK-1MAXファンとしては小比類巻貴之や山本KIDと戦ったトニー・バレントを思い出す。
イタズラ好きでジョシュ・コスチェックを怒らせたり、臨時コーチとして登場したフレディ・ローチにミット打ちをして貰ったりしたシーンが特に印象深く、日本語吹き替え版の声優を務めていた山口勝平の声も、お調子者のカサレスのキャラクターによく合っていた。
カサレスはTUF出場の翌年である2011年にデビュー。一時はランキング入りを果たす時期はあったものの、UFCでは勝ったり負けたりを繰り返していてトップ戦線に食い込むには今一つ物足りないような選手だった。
身長178cm、リーチは183cmあるものの、線が細いためフィジカル的に課題があり、打撃にしろ寝技にしろ特化したスキルに乏しい器用貧乏な選手だった。一応7つの一本勝ちはあるものの、柔術世界王者のクロン・グレイシーにはあっさり一本負けを喫している。
そんな、リリースされるか否かのギリギリの位置に居たカサレスだったが、2019年7月のスティーブン・ピーターソン戦を皮切りに、現在5連勝と波に乗っている。
近年のカサレスの試合を観ると「柔よく剛を制する」MMAスタイルをようやく自分の中で消化しきれているように見える。
今年2月に行われたケヴィン・クルーム戦では、クルームを前蹴りで足止めしつつ、相手が打ってきたら右のチェックフックのカウンターを効果的にヒットさせる。
クルームがバッククラッチからTDを奪ったら、スイープして上からパウンドを当てる。
トップを取られたら三角を狙い、突貫レスリングスタイルのクルームを削っていったところで、3Rはカサレスが打撃、寝技の両方で試合を支配し、勝利を納めている。
技術と経験が伴ってきた事で、試合運びの巧さに磨きが掛かっている。
先月行われたチェ・スンウ戦もその一つだ。好戦的なコリアン・ストライカーのスンウに対し、1Rは右ストレートを貰う場面もあったカサレスだったが、2Rにケージを背負った状態でスンウのワンツーをダッキングでかわすと、そのまま体位を入れ替えてバックに回り込み、スタンドでボディトライアングルをセットしてリアネイキドチョークでフィニッシュ。
まさしく咄嗟の判断と機転を利かせた、相手の意表を突く見事な一本勝ちだった。
https://twitter.com/ek420doggydogg/status/1452026608177405956
やんちゃ坊主だったTUF練習生のカサレスも苦節10年、UFC25戦目にして再びランキング15位に這い上がってきた。
敬愛するブルース・リーの如し「水の流れ」のようなMMAスタイルがようやく円熟味を増してきた事で、混戦模様のUFCフェザー級戦線に嵐を呼び起こす事だろう。