☆2020年5月 月間MVP☆
👑🇺🇸ジャスティン・ゲイジー🇺🇸👑(UFCライト級暫定王者)
【UFC249 VS トニー・ファーガソン戦 dif5RTKO勝利】
UFCライト級トップランカーであり、名勝負男としても知られているジャスティン・ゲイジーが、UFC12連勝中のトニー・ファーガソンとの暫定ライト級タイトルマッチに挑む。
1R、右構えのジャスティン・ゲイジーはアップライトに構え、ややロングレンジ気味に一定の距離を保ち、フットワークを使い相手の出方を伺う。
一方のファーガソンもロングレンジを保ちながら構えを頻繁にスイッチし、サウスポー構えからの左ミドル、オーソドックスに戻しての左のスーパーマンパンチからのワンツーを放つなど、彼らしいトリッキーな攻撃を繰り出す。
ゲイジーがパンチを繰り出すタイミングに合わせ、ローキックで足を払って身体のバランスを崩していくファーガソン。
だがゲイジーも相手の攻撃を誘い、ファーガソンが前進するタイミングを見計らったかのように下がりながら右ストレートを当てる。
突貫ファイトが得意なゲイジーにしては珍しいカウンターの取り方だ。
ファーガソンがパンチを繰り出すが、ゲイジーが上体を左に大きく振るウィービングでかわしつつ、振り子のように上体を右に反動させて威力を乗せた左フックをヒットさせる。
近距離でガードが下がりがちなファーガソンには効果的な攻撃だ。
2Rでは左ストレート、右のクロスカウンター、更にはゲイジーのもう一つの得意技である右のローキック(カーフキック)を当てていくゲイジー。
UFC参戦当初はガードを高くかざして顔面を覆うブロッキング主体のディフェンスだったゲイジーだが、この試合では上体を左右に振って相手の攻撃をかわしながら左右のカウンターショットを当てるという、攻防一体のスタイルを会得し、それが上手く機能している。
往年のマイク・タイソンがインファイトで相手の懐に斬り込む時に多用していたスタイルだが、同じくハードパンチャーであるゲイジーに合ったスタイルだ。
ゲイジーの攻撃が当たり出し、仕留めに掛かろうとパンチの振りが大きくなるが、ファーガソンもラウンド終盤に右アッパーのカウンターをヒットさせ、ゲイジーからダウンを奪う。
ダウンを奪われるもラウンド終了間際であった事から、インターバル中にリカバリーできたゲイジー。
3Rも強烈なパンチ、ローキックをファーガソンの顔面にヒットさせるゲイジー。
ヘッドスリップしながらファーガソンのパンチをかわしつつ、踏み出す前足に合わせる事で更に威力を発揮する右のカーフキック、ガードが下がったところへの返しの左フックへと繋げるコンビネーションを当てる。
☀️動画🔜https://twitter.com/streetfitebncho/status/1259371474831507456 ☀️
流石のタフネスでゲイジーの重いパンチに耐えているファーガソンだが、ラウンド中盤に強烈な右のオーバーハンドを喰らってぐらつき、後退する場面を皮切りに、芯に当たったパンチが多くなりダメージの色が徐々に濃くなってゆく。
一方のゲイジーは普段はやや遠い間合いをキープしつつ、ファーガソンが攻撃を繰り出すとブロッキングとバックステップ、ヘッドスリップを組み合わせたディフェンスで相手のパンチをガードする。
距離が遠いのでゲイジーのブロックの隙間にパンチが貫通する事が無く、加えてファーガソンのスイッチを交えての攻撃にも落ち着いて対処する事ができる。
WSOF初期の頃に、本能だけで戦っていたゲイジーの面影が見られない、無駄な攻撃と被弾を最小限に抑えたインテリジェンスな戦い方を行使し試合を優位に運ぶ。
4R、ファーガソンが放つスイッチしてからの上段回し蹴りにもキレが無く、ゲイジーは落ち着いてダッキングで回避する。
ゲイジーはカウンターのバリエーションも多彩で、相手の左ストレートに上から被せる外の右クロス、ファーガソンのサウスポースタイルからの右フックに下から当てる左のアッパーフック、ゲイジーの右オーバーハンドをファーガソンがダッキングでかわしたところへ逆方向から打ち抜く返しの左フックと、的中率70%を超える精度の高いカウンターでファーガソンをまたもぐらつかせ、更に追い込んでゆく。
5R開始前のインターバル中に笑顔が見られるゲイジー。
最終ラウンド、ゲイジーはここで左ストレートと言うべき威力の乗った左ジャブを繰り出し、ファーガソンの顔面に次々とヒットさせてゆく。
身体のキレが無くなったところでのハンドスピードの速いリードジャブは反応し辛い攻撃だ。
この左ジャブを皮切りに、次々と強烈なパンチ、ローキック、コンビネーションをヒットさせていくゲイジー。
ゲイジーの勝利が濃厚の展開の中、前足の踏み込みと共にうねり動作で下半身を連動させ、体重の乗った左ジャブ・・・ストレートを打ち込み、戦意が喪失したかのようにファーガソンが後退したところでレフェリーストップ。
相次ぐ大会のキャンセルにより、急遽のオファーで暫定ライト級タイトルマッチに挑戦したジャスティン・ゲイジーが、本来正規王者であるハビブ・ヌルマゴメドフと挑戦する予定だったトニー・ファーガソンを破るという番狂わせで、UFC暫定ライト級王者に戴冠した。
1歳からレスリングを始め、大学ではカレッジレスリングのNCAAデビジョン1に選出される。
2011年にMMAデビュー。非常に荒削りで、テクニックよりもパワーで相手をねじ伏せていく戦い方で、WSOFという団体でライト級王者に戴冠し、コアなMMAファンの注目を集める。
2017年にUFCデビュー。デビュー戦となったマイケル・ジョンソン戦では、両者真っ向勝負の打ち合いを演じ、2RTKO勝利を飾りUFCファンの心を一気にわし掴みした。
https://ameblo.jp/fanroad-gindama/entry-12313763977.html
その後はエディ・アルバレス、ダスティン・ポイエーを相手に2連敗を喫する。
肉を斬らせて骨を断つ激闘型の打撃スタイルは、かねてからダメージの蓄積が懸念されていたわけだが、加えてガードを高く上げるブロッキングスタイル故に、OFGではガードの隙間を突かれて被弾する弱点を露呈しての敗北を喫し、ゲイジーは初めてUFCの壁にブチ当たる。
だが、2018年のジェームス・ヴィック戦のKO勝ちを皮切りに、ステップインアウトを駆使した踏み込みからの強烈な一撃と、カウンターを狙って被弾を最小限に留める省エネスタイルに上手くモデルチェンジし、3試合連続で1RKO勝利を納めた。
20年以上にも及ぶレスリングでの過酷な練習で培ってきた人間離れした強靭なフィジカルと、体幹の強さから繰り出される強烈なパンチ、打ち下ろしのオランダ式ローキックを武器に、打ち合いを厭わない好戦的なファイトスタイルを信条とする。
グラウンドの展開になる事は殆ど無いが、レスリングがバックボーン故に相手のタックルに対しての反応が抜群で、クリンチで組んでからのアッパー、肘、膝蹴りも威力があり、相手がストライカーだろうとグラップラーだろうとプレッシャーを掛けて相手を下がらせ、試合を優勢に運んでゆく。
激闘型で、どんなに被弾しても気持ちが折れずに相手に向かっていくメンタルの持ち主であり、落ち着いて相手の動きを見てカウンターを狙いにいくスタイルにチェンジした事で持ち味は更に生かされる事となる。
当初はブロッキング一辺倒で無駄な被弾が多かったディフェンスの部分でも、ステップバックやヘッドスリップ等を習得した事で、徐々に被弾を少なくしていった。
元々のアスリートとしての身体能力の高さに加え、試合を重ねる毎に技術が洗練されていった事で強さに更に磨きが掛かり、暫定ながらも激戦区UFCライト級のチャンピオンベルトを腰に巻いたジャスティン・ゲイジー。
その勢いは、現UFCライト級正規王者ハビブ・ヌルマゴメドフをも呑み込んでしまうのか。
史上最強を掛けた王座統一戦に期待が掛かる。