👑UFCミドル級(84kg)タイトルマッチ👑
👑🇦🇺ロバート・ウィテカーVS🇺🇸ケルヴィン・ガステラム
🏟UFC234(2月9日開催)メインイベント(日本時間10日12時より、WOWOWプライムで生中継)🏟
【各項目の説明】
☆スタンド・・・スタンドの攻防における打撃、およびテイクダウンのオフェンス・ディフェンスの総合力。
☆グラウンド・・・グラウンドの攻防における寝技、ポジショニング、パウンド等のオフェンス・ディフェンスの総合力。
☆パワー・・・KOや一本などの、フィニッシュへと繋げる爆発力、瞬発力の高さ。
☆スタミナ・・・フルラウンドにおける運動量。
☆戦術・・・試合の組み立てや支配力の巧さ。
≪👑🇦🇺ロバート・ウィテカー🇦🇺👑≫※UFCミドル級王者※
スタンド・・・5
グラウンド・・・3
パワー・・・4
スタミナ・・・5
戦術・・・4
≪🇺🇸ケルヴィン・ガステラム🇺🇸≫※UFCミドル級※
スタンド・・・5
グラウンド・・・3
パワー・・・5
スタミナ・・・3
戦術・・・4
現UFCミドル級王者ロバート・ウィテカーは、オーストラリア出身で剛柔流空手をベースとしたストライカー。
2012年にウェルター級でUFCデビュー。2014年にミドル級に階級を上げ、そこから7連勝で2017年7月、ミドル級暫定王座決定戦をヨエル・ロメロと争い、判定勝利で暫定王者に戴冠する。
その後、当時のミドル級正規王者だったジョルジュ・サンピエールの王座返上によりミドル級正規王者に認定された。
素早い踏み込みから繰り出されるコンビネーションと、固い拳から成る左右のカウンターの一撃で相手をKOする、空手家らしいスピードとパワーを兼ね備えたスタンディングスタイルのファイターだ。
📀ロバート・ウィテカー ハイライト動画🔜https://youtu.be/C2arXMHfV6E📀
ケルヴィン・ガステラムは、高校時代レスリングの州王者に輝いた実績を持つファイターで、2013年にUFC登竜門番組「TUF」に出場。
当初は評価が低く、TUFでも最下位指名されていたが、合宿中にメキメキと頭角を現していき、見事シーズンウィナーとなってUFCとの正式契約を果たす。
UFCでは8勝3敗の成績を残し、現在はミドル級に階級を上げて王者を目指している。
レスリング仕込みのフィジカルと、天性の打撃センスを持ち合わせており、左右の拳で相手をKOするハードパンチャーだ。
📀ケルヴィン・ガステラム ハイライト動画🔜https://youtu.be/M1RgiZ9x9Us📀
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
王者ウィテカーのお膝元、オーストラリアはメルボルンで開催されるUFC234。
オーストラリア人初のUFC王者となったウィテカーの現地人気は凄まじく、チケットは僅か1日でソールドアウトしたという。
王者ウィテカー、挑戦者ガステラム、両者共に元々はウェルター級(78kg)の選手であり、ミドル級に階級を上げた事によって更に活躍を遂げたという点で共通している。
中でも王者ウィテカーは空手ベースのストライカーであり、レスリングベースの強豪選手がランキングにひしめくUFCミドル級においては、相手に組み伏せられてしまったらフィジカル・テクニック的にも抵抗が出来ずに通用しないまま終わってしまうだろう、という懸念が当初はあった。
だがウィテカーにはナチュラルなミドル級の選手にはないスピードという持ち味が備わっており、空手家らしく構えを左右にスイッチしながら、遠くから鋭く踏み込んで距離を一気に詰め、そこからパンチ、またはハイキックや膝蹴りへと繋げてゆくコンビネーションで試合を支配し、ウィテカーに組み付こうと距離を詰めてプレッシャーを掛けてくる相手には、下がりながらのカウンター、いわゆるチェックフックで相手をダウンさせ、そこからパウンド連打で一気に仕留めるのが勝ちパターンである。
📀チェックフック 参考gif🔜https://twitter.com/pamelahism/status/1090117033444798464📀
組み付かれてテイクダウンされようともディフェンスできる、すぐに立ってスタンドでの打撃の攻防に戻る事が出来る腰の重さも、ウィテカーの最大の持ち味だろう。
ストライカーは何よりも立って試合を支配出来なければどうしようもない。
この腰の重さで階級屈指のグラップラーであるホナウド・ジャカレイ、ヨエル・ロメロのテイクダウンを切り続け、逆にスタンドで自分の試合運びができた事が、強豪ひしめくミドル級でウィテカーが王座戴冠を果たした一番の要因だ。
挑戦者ガステラムはレスリングベースの選手であるが、彼は寝技よりも寧ろ打撃に定評がある選手だったりする。
身長175cmとミドル級では小柄な体格ながらも、サウスポースタイルから素早く相手の懐に踏み込んで打つ、いわゆる「パッキャオ式」のワンツー、左ストレートは想定外の伸びがあり、自分よりも身長の高い相手であろうと体重を拳に乗せて打ち込み、KOする事ができる。
拳が固く、推進力で打ち込んでくるため、前手(右手)の打撃であろうと顎に当たれば充分効かせる事が可能であり、右アッパーや左ミドル、左ハイキックと打ち分けてゆく精度も高い。
距離感も抜群で、昨年11月のマイケル・ビスピン戦では、つい3週間前まで現ミドル級王者だったビスピンのパンチをスウェーでかわした後、リターンカウンターの左フックでダウンを奪うという天才肌の芸当で、元王者を1RKOで沈めている。
📀リターンカウンター 参考gif🔜https://twitter.com/pamelahism/status/1090118436988960768📀
ガステラムの類い稀なる打撃センスもさることながら、レスリングで培われた足腰と体幹の強さも、彼のパンチの威力を支えていると言っても過言ではない。
得意の打撃で勝負したい王者ウィテカーだが、伝統派の空手家全般の傾向としてロングレンジから踏み込んでパンチを打つ時に片方のガードが下がる傾向にあり、カウンターセンスに優れたガステラム相手に打ち合いに固執し過ぎると、逆に左ストレートで打ち落とされる危険性がある。
そこで問われてくるのが、王者ウィテカーがスタンドの攻防のみならず、グラウンドの攻防においてもガステラムと勝負できるのかという点だ。
ウィテカーは、初の暫定王者に戴冠したヨエル・ロメロとの1度目の対戦において、5Rに元オリンピックレスリング銀メダリストであったロメロを相手にテイクダウンを決め、マウントポジションまで取ってグラウンドで抑え続けて勝利している。
終盤ラウンドで、ロメロがスタミナ切れを起こしていたからこそ、ウィテカーがグラウンドでも優位に立てたという部分はあっただろうが、レスリングのオリンピアンでミドル最強のフィジカルを持ったロメロを相手にそれをやってのけたというのは特筆すべき点だ。
そして、柔術茶帯のウィテカーはUFC王者でありながらも定期的に柔術の大会にも参戦しており、地元オーストラリアのシドニーで行われた柔術大会無差別級トーナメントに出場し、決勝戦まで勝ち進んでいる。
📀ロバート・ウィテカー シドニー柔術大会無差別級決勝動画🔜https://youtu.be/3TPGbXUm1Io📀
この動画を観ても分かる通り、無差別級で、実質体格が上の相手を相手に、ウィテカーは序盤からTDを決め、そこからサイドポジションへパスガード→バックを取って一方的に抑え続けている。
ウィテカーのグラウンド能力の高さが証明できる一幕だ。
ガステラムはレスリングベースの選手で、柔術も黒帯である。
だが、同じミドル級のヨエル・ロメロやクリス・ワイドマンと比較すると、レスリング能力やフィジカルで劣っている部分は否めない。
ウィテカーが踏み込んでパンチを打ってきたところへカウンターの左ストレートで迎撃しようとするガステラムに対し、レベルチェンジでタックルを狙ってみるのも良いだろう。
低く踏み込んで距離を詰める伝統派空手の突きと、同じく低く踏み込んで相手をテイクダウンさせるタックルは初動のモーションが同じであり、相手にとっては見極め辛いという点もメリットである。
ウィテカーと同じく剛柔流空手をベースとしているUFCウェルター級ファイター、グンナー・ネルソンもそれを得意としていて、打撃と柔術の二択で相手を仕留める事ができる選手だ。
📀グンナー・ネルソン 参考記事🔜https://ameblo.jp/fanroad-gindama/entry-12257783538.html📀
テイクダウンで倒したら、相手を押さえ込みつつパウンドで削っていきたいが、ウィテカーは拳が固い選手なので、パウンドでも当たり所によれば一発で相手に致命傷を与える事が可能だ。
体重を乗せて打ち下ろすパウンドを顎に当て、なるべく早期に相手を仕留めておきたいところだ。
📀グラウンド&パウンド 参考gif🔜https://twitter.com/pamelahism/status/1090120273108492288📀
一方のガステラムとしては、ウィテカーの飛び込み打撃に対していかに必殺の左のパンチをを当てて試合を決められるかが焦点となってくる。
ウィテカーもカウンターが得意な選手なので、お互いにフェイントを多用した駆け引き(ガステラムの場合は前手となる右のジャブ)を使いつつ、これまでも述べた通りウィテカーがレベルチェンジでタックルを仕掛けてくる事も想定して、上手く一撃で仕留めていきたいところだ。
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
ボクシング、ムエタイ、空手、レスリング、柔道、柔術。
その他、ありとあらゆる格闘術が持っている技術を総動員して試合を行うのが、MMAという格闘技であり、スポーツでもある。
打撃系出身の選手が後天的にグラウンド技術を身に付けたり、逆に寝技出身の選手が後天的に打撃技術を身に付ける事によって、MMAファイターとして更に成熟された選手へと大きく羽ばたいてゆく。
柔術を強化した空手家のロバート・ウィテカーと、ボクシングを強化したレスリング出身のケルヴィン・ガステラム。
互いに得意とするバックボーンを、後天的に身に付けたスキルで攻略を果たした時こそ、今回のUFCミドル級王座の行方が決まってくる。