2017年3月のMVP | 銀玉戦士のアトリエ

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☆2017年3月 月間MVP☆

※グンナー・ネルソン※(UFCウェルター級)

【UFC FIGHT NIGHT VS アラン・ジョーバン戦・dif2R一本勝利 ギロチンチョーク】

 

剛柔流空手と柔術をミックスさせた独特のMMAスタイルで注目を集めているUFCウェルター級ファイター、グンナー・ネルソンが、モデルの仕事と兼業でMMAを行っているという異色のファイター、アラン・ジョーバンに挑む。

 

 

1R、伝統派空手のワイドスタンスから前手を伸ばし、上下動の運足で前に出るネルソン。

サウスポー構えのジョーバンは右回りにサークリングし、ネルソンの奥足へローキックを放つ。

ネルソンがジョーバンの蹴り足をキャッチし、右の突きをガードさせた後にケージ際で組みに行くが、ジョーバンは体位を入れ替えて組みのスペースを取り、差し合いの攻防から逃れる。

ネルソンは一定の距離を保ちつつ、ジョーバンの打撃にも恐れる事なくプレスを掛けてゆく。

ネルソンは右上段突きを見せた後、組みついて浴びせ倒すようにしてTDを決める。勢いが良すぎたのかジョーバンに直ぐ様立たれるが、ネルソンはダブルレッグからリフトして再びTDに成功する。

サイドポジションを取った後、ジョーバンの腕を押さえながら即座にパスガードに成功しマウントポジションを取るネルソン。下になっているジョーバンはケージを蹴って体勢を変え、脱出を試みるが、ネルソンはハーフガードから肩固めを取るように見せ掛け、その隙に再びマウントポジションを奪取する。

マウントの上から滑り込むようにして縦肘を顔面にねじ込めるという嫌らしいパウンドを見せたところで、ネルソン優勢のまま第1Rが終了する。

 

2R、ジョーバンの左右の連打をバックステップで軽くかわしたネルソン。相手の心の隙を察知し、ダイレクトに右の正拳突きをヒットさせると、ジョーバンがぐらつき後方に下がる。

そこにすかさずネルソンが右上段蹴りで追い打ちを掛け、グラウンドで首を取ってフロントからギロチンチョークで一本勝利。

僅か20秒足らずで打撃→寝技という恐るべき畳み掛けの速さを見せてアラン・ジョーバンを仕留めたグンナー・ネルソンが、ロンドンの地で勝ち名乗りを上げた。

 

 

14歳から剛柔流空手を習い、母国アイスランドの国内大会で3連覇を果たす。

コナー・マクレガーと同じく、10代後半からSBGアイルランドに所属しMMAデビューする。ヘッドコーチであるジョン・カヴァナの元で、ブラジリアン柔術を習得。そこで柔術の才能が開花され、アブダビコンバットや世界柔術選手権という大きな舞台でも結果を残すようになる。

無差別級の柔術の試合では、ジェフ・モンソンとの体格差20kg以上のハンデを跳ね返して勝利したという逸話も持っている。

ローカルMMA時代には、ポストヒョードルと目された実績を提げて、2012年にUFCデビュー。柔術大会の無差別級で活躍した実力はUFCの舞台でも遺憾無く発揮され、数々の鮮やかな一本勝利を納めていくも、カレッジレスリング出身のリック・ストーリーや、柔術の実績では格上のデミアン・マイアには完敗を喫し、UFCの壁にブチ当たる。

だが近年は課題であった打撃力が強化され、KOを狙えるようになったと共に、打撃と寝技の2択で相手にプレッシャーを掛けられるようになった事で、得意の寝技の展開が一段と引き立つスタイルへと変貌を遂げていった。

 

両腕を下げた伝統派空手の構えから、鋭い踏み込みで一気に相手との距離を詰め、低い重心から体重の乗った正拳突きでダウンを奪うと共に、同じモーションの踏み込みからのタックルでテイクダウンを奪い、相手選手をグラウンド状態へと引きずり込む。

グラウンドでは一瞬の隙を突いたパスガードからあっという間にマウントポジションを奪取し、突きのみならず肘や掌底といったパウンド技で相手選手を無慈悲に痛め付け、ガードが緩んだところを素早くサブミッションを仕掛け、鮮やかに一本を奪う。

所属するSBGアイルランドにて、打撃ではコナー・マクレガー、寝技ではディロン・ダニスといったそれぞれの分野のスペシャリスト達と練習を積んできている事により、MMAファイターとしてもトータルな進化を遂げつつある。

同門のマクレガーの活躍が何よりもの刺激であり、モチベーションとなっているアイルランドの空手家は、これからも武道の心を携えてUFCの頂点へと駆け上がっていく事だろう。