2016年6月のMVP | 銀玉戦士のアトリエ

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☆2016年6月 月間MVP☆

※ドミニク・クルーズ※(UFCバンタム級王者)

【UFC199 VS ユライア・フェイバー戦・dif5R判定勝利】

現UFCバンタム級王者、ドミニク・クルーズが、初防衛戦で因縁の相手ユライア・フェイバーと三度目の対戦に挑む。

1R、いつものようにガードを下げ、頻繁に構えをスイッチしながら、前後左右に踊るようなフットワークを見せるドミニク。
ユライアは組み付こうとするが、ドミニクはすかさず重心を下げて早くもTDに成功する。
トップキープした後、ユライアは立ち上がるが、ドミニクはバックに付いてケージ際に押さえ込み、シングルレッグで再びTDを奪う。
がぶった態勢からフロントを取ろうとするが、ユライアは直ぐ様脱出。負けじとユライアも、ドミニクを担ぎ上げ大きくリフトしてからTDを奪うが、勢いが強すぎたのか、反対にグラウンドでドミニクに上を取られてしまう。1Rはドミニクが優勢か。

2R、縦横無尽に動き回るドミニクを捉えられないユライア。ドミニクを誘おうと遠い間合いから牽制のジャブを繰り出したところへ、ドミニクはロングレンジから突如鋭く踏み出し、重心の低い構えから槍のように伸びる奥手の左ストレートをヒットさせ、ユライアからダウンを奪う。

これで勢いに乗り、試合を優勢に進めていくドミニク。上体を左右に振りながら頭を前に出し、接近するかと思いきやスッと後ろに下がって相手のパンチをスカし、攻撃のリズムを崩す。
かと思えば自分から後ろに下がり、相手が前に出てきたところへ、突如カウンターのジャブや左右のフックを打ち、意表を突く。
大振りに見えるフック系のパンチも、ドミニクの左右のヘッドムーブやフットワークと組み合わされると、カウンターを合わせるのが難しい。しかも要所要所では鋭いリードジャブ、ローキックを当てて堅実にポイントを取っていくので、相手としては厄介だ。

隙があるように見えて、実は隙が無い。ドミネイターの動きに翻弄され、攻撃の糸口が掴めない蟻地獄に陥っていくユライア。
4Rではユライアが焦って攻めてきた所へ右フックのカウンターを当て、そのままラッシュを仕掛けて再びダウンを奪う。

最終5R、ドミニクはパンチから左ハイキックのコンビネーションを見せると、ユライアの攻撃を下がりながら捌き、リターンでカウンターをヒットさせる。
そしてユライアのオーバーハンドの右に合わせてタックルを決め、試合を決定づけるTDを決める。
攻撃、フェイント、フットワーク、テイクダウン。全ての動作が連動していて見分けが付かないドミネイター・ムーブは、三度の対決を経て完成の域に達していた。判定は当然ながら三者フルマークでドミニク・・・現王者が初防衛戦にて因縁の相手ユライアを完封した。

レスリングをバックボーンに持ち、19歳で総合格闘家の道を志す。WECで実績を重ねるものの、当時軽量級最強の選手の一人と言われていたユライア・フェイバーに一本負けを喫する。
その後、バンタム級王座に挑戦し見事戴冠。WECがUFCに統合されると、新設されたUFCバンタム級のベルトを懸けて、因縁の相手であるユライアと対戦。判定勝利を納め、初代バンタム級王者に戴冠するが、前十字靭帯の怪我により長期離脱を余儀なくされ、王座を剥奪されてしまう。
厳しいリハビリの期間を経て、2014年に3年振りの試合復帰。バンタム級ランカー水垣偉弥を僅か1R66秒で沈める圧巻のパフォーマンスを見せ付け、完全復活をアピール。
そして2016年1月、当時バンタム級王者だったTJ・ディラショーとのタイトルマッチに挑み、ハイレベルな接戦の末判定で勝利を納め、見事UFC王者に返り咲いた。
フットワークの生命線でもある前十字靭帯の大怪我を乗り越えた精神力と、怪我の影響を微塵も感じさせない調整ぶりは、まさに脱帽の一言である。
高いレスリング・グラップリング技術と、スタンドの攻防において『ドミネイター・ムーブ』と呼ばれる変幻自在のフットワークと打撃で相手を撹乱させるのが彼の特徴だ。オクタゴンの中をまるでダンスを踊っているかのように動き回って相手の攻撃を誘い、隙が出来たところに多彩なバリエーションを持つ打撃やテイクダウンを仕掛けてゆく。
打撃を見切るディフェンス技術にも定評があり、ノーガードのボディワークスタイルで相手の打撃を紙一重の距離で外す技術にも定評がある。
アライアンスMMAという格闘技ジムの主宰を務めており、現地でUFCの試合解説を行っていることから、MMAに対しても高い見識を持っており、頭脳的な戦術で相手の弱点を突くIQも備えている。
宿敵ユライアとの対決に終止符を打ったドミネイターは、彼の首を狙わんとする挑戦者達の思惑をも上回る想定外のスキルでもって、オクタゴンを支配するであろう。