UFC ハファエル・ドスアンジョスVSエディ・アルバレス 展望 | 銀玉戦士のアトリエ

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今回の格闘技予想は、7月7日に行われるUFC FIGHT NIGHT ライト級タイトルマッチ、王者ハファエル・ドスアンジョスVS挑戦者エディ・アルバレスです。


【各項目の説明】
☆スタンド・・・スタンドの攻防における打撃、およびテイクダウンのオフェンス・ディフェンスの総合力。
☆グラウンド・・・グラウンドの攻防における寝技、ポジショニング、パウンド等のオフェンス・ディフェンスの総合力。
☆パワー・・・KOや一本などの、フィニッシュへと繋げる爆発力、瞬発力の高さ。
☆スタミナ・・・フルラウンドにおける運動量。
☆戦術・・・試合の組み立てや支配力の巧さ。


≪ハファエル・ドスアンジョス≫*UFCライト級王者*
スタンド・・・5
グラウンド・・・4
パワー・・・4
スタミナ・・・5
戦術・・・5

≪エディ・アルバレス≫*UFCライト級*
スタンド・・・4
グラウンド・・・4
パワー・・・4
スタミナ・・・5
戦術・・・3

現UFCライト級王者ハファエル・ドスアンジョスは、2008年にUFCデビューした苦労人。元々柔術ベースの選手だったが、初期の頃は結果が出ない試合が続いていた。
しかし、以前シュートボクセアカデミーの打撃コーチだったハファエル・コルデイロが主宰するキングスMMAに所属すると、打撃技術が飛躍的に向上、UFCでも上位ランカーを相手に結果を残すようになり、2014年8月に元ライト級王者ベンソン・ヘンダーソンを1RKOで葬った試合で鮮烈なインパクトを見せ付ける。
そして、2015年3月にアンソニー・ペティスの持つUFCライト級王座に挑戦。一発の破壊力を持つペティスに対し、鋭い打撃とグラウンド&パウンドで5R25分間に渡って完封する横綱相撲で勝利し、悲願のUFCライト級王者に君臨した。
サウスポー構えから繰り出されるキレのあるパンチとキックは技術的に高いレベルを誇り、対角線コンビネーションは本職のキックボクサー顔負けの回転力を持つ。打撃、寝技共にハイレベルな実力を誇るオールラウンダーへと進化した。

挑戦者エディ・アルバレスは、高校時代にレスリングのオールアメリカンに選出され、2006年にプロデビュー。DREAMで活躍し、Bellatorでは2009年に初代ライト級王者に戴冠する。
攻撃的なファイトスタイルが持ち味の選手で、特にマイケル・チャンドラーとの二度に渡る激闘は非UFC系の団体の試合でありながら大いに注目を浴びた。
2014年にUFCに移籍。スイッチや変則系の打撃をも駆使する高いボクシング技術と、レスリングの素地を生かしたグラウンド&パウンドを武器とするオールマイティなファイターだ。

UFCデビュー戦ではドナルド・セローニのMMAムエタイの前に完封負けを喫したものの、ギルバート・メレンデス、アンソニー・ペティスを相手に判定勝利を納め、見事UFCライト級タイトルマッチへの挑戦権を獲得したエディ・アルバレス。
だが勝利した2試合はいずれもスプリット判定である。その試合内容も、持ち前のレスリング能力で持って相手をグラウンドで押さえ込む事で、ラウンドのポイントを取るという、Bellator時代から彼の活躍を知るファンにとっては少し物足りなさを感じるものであった。

青木真也をKOし、マイケル・チャンドラーと打ち合ったアルバレスだが、UFCライト級トップファイターはアルバレスがこれまで戦ってきた選手と比較してリーチ、体格に勝るムエタイスタイルの選手が多い。
好戦的なファイトスタイルゆえに、打撃、特に相手の蹴りに対するディフェンス能力が弱点のアルバレスにとっては、遠距離からの蹴りで牽制されて自慢のパンチが射程位置に届かない、といったシーンが多く見られている。

前2試合でアルバレスの勝利を呼び込んだ旧時代MMAのレスリングスタイル的な戦い方は、UFCトップクラスの舞台において自慢の打撃が封じられたアルバレスの苦肉の策だったとも言えよう。

今回アルバレスと対峙する現王者ハファエル・ドスアンジョスも、左右どちらもキレのある蹴りが出せるムエタイスタイルのオールマイティなファイターだ。タイトルマッチの前2戦はいずれも圧勝の内容で死角が見当たらない。アルバレスとしては、やはり打撃主体でドスアンジョスを打ち崩すのは難しいと言える。

だが、ドスアンジョスと言えども決して穴が無いわけではない。
その鍵は彼が近年の試合で唯一の完敗を喫したハビブ・ヌルマゴメドフ戦にある。
この試合でドスアンジョスは、ヌルマゴメドフのTDとグラウンドを警戒してか、スタンドでもいつもより遠い間合いをキープし、攻撃が当たらないせいか打撃の距離感が掴めずに攻めあぐね、TDとグラウンドの攻防で圧倒されてしまった。

寝技でアドバンテージが取れるペティスやセローニ相手にはTDの心配もなく、スタンドオンリーでガンガン攻められるが、ドスアンジョスはガードをしっかり上げて一発一発を強く打つタイプの選手なので、打撃のタイミングでタックルを合わせられると対処しにくい傾向にある。

そう考えると、打撃+レスリングという北米MMA正当派スタイルのアルバレスの弾丸タックルに期待が掛かる。タイトルマッチは5Rだが、ドスアンジョスのローやミドルキックを効かされる前に1Rからガンガン仕掛けていって、先制でTDを奪いそこからグラウンド&パウンドでダメージを与えていけば、その後のスタンドの攻防でも五分くらいのアドバンテージには持っていける。ドスアンジョスの制空権を打ち破り、タフな展開に持ち込めれば、アルバレスの良さが生きてくる。完璧なドスアンジョスをまずは焦らせる事だ。

対するドスアンジョスとしては、右リードジャブを基点にローキック、左ミドルで着実に削ってアドバンテージを取り、アルバレスのタックルを確実にディフェンスする事だ。スタンドの攻防で試合を支配し、ダウンに相当するような致命傷になる打撃を当てれば、タフなアルバレスと言えども厳しくなる。逆にグラウンド&パウンド、寝技による一本を狙えるチャンスも増えるだろう。

UFCに来てから精彩に欠ける試合が続くアルバレスだが、タイトルマッチともなればモチベーションも高まり、それまで抑えていた爆発力が一気に発揮される事だろう。
そうなれば、当然の事ながら激しい試合が期待できる。UFC王者対Bellator王者、本当に強いのは果たしてどちらか。