「マリアの首」ご紹介

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物語の舞台は昭和33年度初冬の長崎。

誰もが原爆によって心も体も深い傷を負いながら懸命に生きていた。

そんな時、原爆によって破壊され、廃墟のまま姿をとどめている浦上天主堂からマリアの石像のかけらを盗んでいく者たちがいた。

そして今、教会に残っているのは被爆のため頬に焼けただれた傷を持つマリア像の首。

雪の降る夜、ある想いを果たすために浦上の丘に登ってくる者たちがいた。

 

作者の田中千禾夫は長崎生まれの劇作家、演出家。

カトリックの教えに深く傾倒していった。

劇ではこの焼けただれたマリア像を被爆者たちの祈りの象徴として描いている。

1959年自らの演出で初演、岸田演劇賞と、文部大臣芸術大賞を受賞している。

戦争の愚かさと生きる歓びを詩情豊かに描いた作品。

 

・キャスト

  忍    新上貴美(演劇集団 円)

  鹿    那須野 恵

  静    斎藤萌子(エムズクルー)  

  第一の女 高橋真悠

  第二の女 山田真央

  第三の女 簑手美沙絵

  第四の女 高崎実海

  第五の女 若林奈那

 

 次五郎 島村 勝

 矢張  吉田道広(無名塾)

 桃園  速水映人  

 第一・五の男(巡査・若い男) 板山世界

 第三の男(義足の男) 今井 聡 

 第四の男(市会議員風のの男) 國松 卓

 

 夏服の女 棚橋幸代

 第二の男(植字工)川口啓史(俳優座)

 坂本医師 石山雄大 

 

・スタッフ  

 舞台美術:尾谷由衣

 舞台監督:市川貴光(東邦舞台)

 照明プラン:菊池直子 

 照明オペレーター:横佩 彩

 音響:川口 博

 衣装:萩原玲子

 映像制作:カンタロー

 宣伝美術:村中 誠

 フライヤーデザイン:大沼修一(エソラデザイニング)

 プロデュース:亀 和夫

 制作:株式会社ファミリーアーツ

 制作協力:ノンバーバル

 

 

1958年に取り壊された旧浦上天主堂の遺構。南側壁の残骸と聖像群。

先生に引率され話になって元気に遊ぶ園児たち。

 

幾たびの災禍に見舞われ、そのたびに復活を遂げたこの地。

光を照らせば傍に影が宿る。ここそこに、あの日消えた声がうずくまっている。

 

※上記記事と写真の出典は

岩波書店「旧浦上天主堂 1945-58 失われた被爆遺構」

Nagasaki Urakami Cathedral, 1945-1958: An Atomic Bomb Relic Lost