Something for Lester / Ray Brown
RAY BROWN, bass CEDAR WALTON, piano ELVIN JONES, drums
1 OJOS DE ROJO(Cedar Walton)
2 SLIPPERY(Ray Brown)
3 SOMETHING IN COMMON(Cedar Walton)
4 LOVE WALKED IN(Gershwin - Gershwin)
5 GEORGIA ON MY MIND(Carmichael - Gorrell)
6 LITTLE GIRL BLUE(Rodgers - Hart)
7 SISTER SADIE(Horace Silver)
Recorded on June 22-24, 1977(Contemporary)
私はPiano Trioをあまり聴きません。
個人的に好きなピアニスト数人のアルバムは、
例外として聴く事も有るのですが、
たとえキースでもチックでもPiano Trioとしては、
興味の対象には成らなくなっています。
1977年に録音されたSomething for Lesterが、
全ての原因なのは言うまでも有りません。
このアルバムはレスター・ケーニッヒと言う
Contemporaryのオーナー兼プロデューサーに
捧げられたアルバムとして有名ですが、
実際には彼自身が製作に携わった最後のアルバムになります。
録音後半月ほどで彼が亡くなったために
急遽Something for Lesterと言うタイトルになりました。
彼もまたライオンと同じくユダヤ系の白人と言う事を考えると
JAZZに対する受け止め方が変わって来るのではないかと思います。
元々このアルバムの企画はレイがケーニッヒへ
自己名義のアルバムがContemporaryに
無い事を直訴した事から始まります。
20年以上もContemporaryで幾つものアルバムの製作に
サイドメンとして関わってきた彼は、
最後の最後で願いを果たす事になりました。
このアルバムの成功は、
レイがシダーの名前を口に出した所から始まったと
考えても良いと思います。
レイと同じ様に名サイドメンとして
幾つものセッションをこなしていたシダーは
Blue Noteでの扱いが示すように
作曲や製作監督としても極めて美しい仕事をしています。
また彼のプレーはフレーズの美しさだけではなく、
BluesやSoulなどの黒人音楽のルーツを感じさせる
粘り強いタッチも兼ね備えています。
RockやPopsの人気を奪われていた70年代に
これこそJAZZだと自信を持って送り出せる
ベーシスト名義のトリオ・アルバムを出すには、
最高の人選だったと言えると思います。
またケーニッヒがドラムスのエルヴィンに
「叩き過ぎるな、レイの邪魔をするな」(笑)と、
指示した事も成功の大きな要因だと思います。
エルヴィン自身もぶつかり合いではないプレイは、
今までのプレイと違ったものになり
新鮮なプレイをする事が出来たはずです。
選ばれた曲も厳選されたものだと思います。
自作を1曲にシダーの曲が2曲
それにミュージカルで使われた曲や
スタンダード等をバランス良く配置した7曲は、
LP時代でも有る1970年代と言う時代性にマッチした
JAZZ不遇の時代に反旗を翻すささやかな反抗とすれば、
十分な内容だと思います。
特に1曲目はCedarにとって
代表曲の一つになる名曲だと思いますし
演奏の編曲も本物のJAZZを示すに値する
気持ちの良いものに仕上がっています。
アレンジの丁寧さと演奏の面白さが相まって、
Contemporary独特の音の良さが効果的な
個人的には名盤と呼びたい
気持ちの良いアルバムに仕上がっていると思います。
どれほどの言葉を持ってきても
自分が深く愛しているものを表現するには、
言葉が足りなく感じてしまいます。
下手をすると他のものを否定するような
偏った文章になり易いですし
普遍的な愛と取り違えそうになります。
このアルバムもあえて言わせてもらえれば、
『私にとっての名盤』と言い切りたいです。
それぞれの人がそれぞれの楽しみ方が有る様に
大好きだからこそ『私にとって』と言う言葉を使い
他と区別してしまいたいのです。
アーティスト: Ray Brown
タイトル: Something for Lester