1983年全英2位(6週間トップの座に居座った Culture Club の "Karma Chameleon" に阻まれて1位になれず、1位獲得を熱望していた Tracey Ullman は相当ムカついたとのこと)、84年全米8位、アイルランドとノルウェーでは1位、オランダ、ベルギー、カナダでトップ10入り。80年代初めにはイギリスで女優/コメディエンヌとして人気者となっていた Tracey Ullman ですが、スティッフレコードの社長夫人からの誘いで歌手としてデビューします(この曲はデビュー2曲目)。↑のPVの見どころは、あっと驚く Paul McCartney のカメオ出演ですが(Tracey は、当時撮影中だった Paul の主演映画 "Give My Regards To Broad Street"(邦題は『ヤア!ブロード・ストリート』)にチョイ役で出演したことから、Paul が彼女を応援するために特別主演したとのこと)、Paul のサプライズ主演もさることながら、われわれローラーズファンは、Tracey がタータンギア(またはローラーギア)でポーズをキメているシーン(1:40あたり)も見逃しませんでしたよ(笑)。

 

 

オリジナルは Kirsty MacColl(スティッフレコード所属)。

 

 

1979年にリリースされ、ラジオでは盛んにオンエアされてエアプレイチャートで2位に昇ったのですが、スティッフレコードのディストリビューターのストによりレコード店にレコードが届けられなかったため(Kirsty MacColl はスティッフレコードの社長と折り合いが悪く、十分なプロモーションをしてもらえなかったからだという説もある)、セールスが振るわず、総合チャート入りは果たせませんでした。なお、彼女は、Tracey Ullman のバージョンにバックボーカルとして参加しています(のみならず、3番の冒頭の「baby」は、キーが高すぎて Tracey には歌えなかったため、Kirsty が代わりに歌っている)。

 

こちらは、Katrina & The Waves の Katrina Leskanich によるカバー。

 

 

彼女は、"They Don't Know" には、Tracey Ullman のバージョンも、Kirsty MacColl のオリジナルも触れていない「もう一つの歌」があると思っていて、この曲のアコースティックバージョンを演ろうと Waves のメンバーに提案したものの賛同を得られなったのですが、バンドが解散して、「よし、これでできるわ」と喜んだとのこと。

 

そして、Tracey のイギリスでのデビュー曲も(アメリカでは "They Don't Know" のフォローアップとしてリリース)。

 

 

1983年全英4位、84年全米70位。彼女は、この曲と "They Don't Know" のほかに、イギリスでさらに3曲のトップ30ヒット(そのうち1曲はトップ10入り)を放ちましたが、84年をもって、俳優業に専念すべく歌手としての活動を停止しました(2017年のインタビューで、「自分の過去を編集できるとしたら、何を変えますか?」という質問に対し、彼女は「"They Don't Know" の後のレコードを作らなかったことにするわ」と答えている)。

 

そして、"They Don't know" から30年後の2013年になって、今度は Paul McCartney の "Queenie Eye" の PV で再度共演。

 

 

どこで出てくるかわかりましたか?