あけましておめでとうございます。

 

昨年は、新譜発売を祝うとともに、再度の来日を祈念して Paul McCartney の記事でスタートしたのですが、残念ながら、コロナが収束しなかったこともあって来日は叶いませんでした。そこで、今度こそ、という思いを込めて、今年も彼の曲でスタートします。

 

 

1973年全米2位(Maureen McGovern の "The Morning After"、Diana Ross の "Touch Me In The Morning"、Stories の "Brother Louie" によって1位獲得を阻まれた(翌々年にこれと同じ目に遭ったのが、10 cc の "I'm Not In Love")が、ミリオンセラーを記録)、全英9位。ご存じ、映画『007 死ぬのは奴らだ』のテーマ曲です。映画のプロデューサーの Harry Saltzman と Albert Broccoli から、新しいボンド映画のテーマ曲の制作を依頼された Paul は、脚本がまだ完成していなかったため代わりに送られてきたイアン・フレミングによる原作を読んでこの曲を書きました(Wings の当時のドラマーでその場に居合わせた Denny Seiwell によると、Paul はピアノに向かって座ると、「ジェームズ・ボンド、ジェームズ・ボンド、ダ・ダ・ダン!」と言うや曲を作り始め、10分以内に作ってしまったとのこと)。ただ、Saltzman は、Shirley Bassey や Thelma Houston のような女性歌手にテーマ曲を歌わせようと考えていたのですが、Paul から、Wings が演奏して自分が歌うのでなければダメだと言われたため、映画の中で B. J. Arnau に歌わせることで妥協したとのことです(Arnaul は、ボンドがキャバレーを訪れるシーンでこの曲を歌っている)。なお、この曲のプロデューサーは George Martin で、Beatles 解散後に彼が Paul と組むのはこれが初めてとなりました(Martin はこの曲だけでなく映画のサントラのプロデュースも担当したのであるが、それは Paul の推薦によるという説と、Paul のギャラが高すぎて音楽に回せる予算が逼迫したため、腕利きのプロデューサーには他に頼める人がいなかったという説がある・・・もちろん、その両方ということもあり得るが)。

 

 

この曲は彼のライヴの定番となっていて、まずは Wings 時代の1976年のパフォーマンス。

 

 

続いて2009年のニューヨークでのパフォーマンス。

 

 

最近では、大量の花火を使ったド派手な演出で大いに盛り上がるんだけど、70年代のライヴでは控えめな演出だったんだな(ただ、さすがに Paul が若い!)。

 

B. J. Arnau のバージョンもシングルカットされています(ただし、サントラでは、"Fillet Of Soul - New Orleans/Live And Let Die/Fillet Of Soul - Harlem" というメドレーとなっていて、↓と同じではない)。

 

 

これもなかなかいいな。

 

そして、Guns N' Roses によるカバー。

 

 

1992年全英5位、全米33位。Slash によると、彼も Axl もこの曲が大好きでしたが、お互いに相手もそうだとは知らずにいたところ、あるとき何かをカバーしないか、という話をしていてこの曲の名前が出ると、「いいね、やろうぜ!」みたいな感じで盛り上がり、レコーディングの運びとなったとのことです。

 

Weird Al Yankovic は、Paul から「おれの曲もパロってくれよ」と言われ、"Chicken Pot Pie" というパロディを作って Paul に許可を求めたところ、ベジタリアンである Paul が、肉食を容認することは主義に反するという理由でNGを出したので、レコーディングを断念したそうです(Paul から "Tofu Pot Pie" にするならOKと言われたが、Yankovic は、ニワトリの鳴きまねによるコーラスを変えたくなかったため断ったという説もある)。しかし、ライヴでは、「食べ物メドレー」の一部として演奏しています(ちなみに、Yankovic もベジタリアン)。