本記事は、2016年12月に投稿した記事の改訂版です。

 

『Saturday Night Fever』『Grease』という二大メガヒットをかっ飛ばしたRSOレコードがアップルレコードと共同で制作・公開した1978年の作品。当時人気絶頂にあった Peter Frampton と、こちらも飛ぶ鳥を落とす勢いだった Bee Gees が組んで、Beatles ナンバーを素材としたミュージカルコメディ、とくれば、大ヒット間違いなし・・・のはずが、ものの見事にコケました(笑)。Beatles ファンはもちろんのこと、Bee Gees や Peter Frampton のファンからもそっぽを向かれ、いわば総スカンを喰ってしまったわけです(もっとも、サントラ盤は全米5位まで昇り、ミリオンセラーを記録した・・・が、返品枚数は400万枚を超えた)。

 

以下、主なシーンをピックアップします。

 

 

"Heaven On The Seventh Floor" のヒット(1977年全米6位)で知られる Paul Nicholas と Bee Gees による主題歌の演奏に続き、「Billy Shears」こと Peter Frampton が登場して "With A Little Help From My Friends" へというメドレー。

 

 

Earth Wind & Fire(EWF)による "Got To Get You Into My Life" のカバーは出色の出来(全米9位、ミリオンセラーとなったほか、グラミー賞の最優秀インストゥルメンタルアレンジ賞(ボーカルあり)を受賞)。Beatles ナンバーのカバーは、オリジナルと比べるとどうしても見劣り(聴き劣り?)してしまうのですが、これは例外的に秀逸です。

 

 

そして Aerosmith による "Come Together"(全米23位)。彼らは、Peter Frampton 演じる主人公の恋人を攫った悪の組織の一員というトホホな役どころ(当時、たまたま聞いたラジオ番組で、この映画を紹介したパーソナリティが「エアロは悪漢の役」と言っていたのが妙に記憶に残っている)。にしても、よくこんな役受けたな(Steven Tyler はやられちゃうし)。

 

 

超豪華なキャストによるフィナーレ。あんな人、こんな人が・・・誰がいるか気になる方はこちら

 

 

当時この映画は見ていないのですが、実は私が Beatles を聴くきっかけを作ったのがこの映画なのです。それまでは、Bay City Rollers、KISS、Queen を始めとして、ヒットチャートを賑わしていたアーティストを中心に聴いていて、既に解散してチャートに顔を出すことのない Beatles までは手が回らなかった(正直なところ、過去の遺物だ、みたいに考えていた・・・無知というのは怖いものだ)のですが、Bee Gees のファンであったことと、この映画のサントラ盤からシングルカットされたEWFや Aerosmith のカバーがヒットしたことで、オリジナルに興味が湧き、たまたま(というか、映画の公開に合わせたんだろうな)NHK FM で Beatles 特集が放送されたので、それをエアチェック(死語?)して聴いたところ、すっかりハマってしまったのです。というわけで、この映画は私を Beatles という深~い淵に引きずり込んだ悪の(?)張本人なのです(笑)。

 

なお、興行的には大失敗に終わりました(実際、他愛のない内容で駄作というほかない)が、この映画はカルト的なフォロワーを獲得しているそうです。で、Beatles のメンバーの反応はどうかというと、Paul と Ringo は映画のプレミアに出席したものの、その後はこの映画に触れることを忌避しており、John と George は最初から完全にシカトしていたそうです(George は、「これは彼ら(Bee Gees と Peter Frampton)のイメージとキャリアにダメージを与えちゃったね・・・やる必要がなかったと思うよ。言ってみれば、ビートルズがストーンズをやろうとするようなものだ。ストーンズの方がうまくやれるよ」と述べている。ただし、John は、リハーサルに立ち会ったという説がある)。

 

最後に Blu-ray 発売時のトレーラーを。