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谷本 憲彦
商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物、オプション)、証券一種外務員

 

英財政懸念やドル金利の引き下げ期待が鈍化したことを背景に英債利回りが急騰し、ポンドが下げています。

 

英財政懸念で国債・ポンド急落、リーブス財務相に圧力
英国で今週に入り国債利回りが上昇し、9日にはポンド安が加速する中、リーブス財務相に支出削減を求める圧力が強まっている。
7-8日の英債券市場では、多額の借り入れなどを巡る懸念から国債が売られ、30年債利回りが26年ぶりの水準に上昇。9日も取引序盤に利回りが一段と上昇した。(10日付ロイター)

 

先週末の米雇用統計公表時には、ポンド/ドルが一時1.22割れまで下落。
昨年11月以来の水準となります。
「トラス・ショック」時にお送りした「ポンド危機」を再度ご紹介いたします。

▼欧州通貨制度
 

欧州通貨制度
1979年から1999年まで維持された欧州経済共同体の加盟国による地域的半固定為替相場制のシステム。通貨変動が年±2.25%以内に抑えることを原則として、ユーロ導入までの移行期間的システムで、ヨーロッパの諸通貨の安定を目的とした。なお、イギリスは1990年から1992年の期間を除いて不参加。(Wikipedia)

 

為替の変動を抑える仕組みが導入されており、欧州共同体各国通貨を一定量含むバスケット通貨(ECU)の中心相場±2.25%以内に抑えることとなっていました。

各国中央銀行は、ECUの±2.25%からはみ出ないように金融調節を行っていました。

一方存在感を増してきたのが西ドイツ、ECU中心だった欧州通貨制度でしたが、西ドイツマルクに中心が移りました。

イギリスは長らくこの制度には不参加でしたが、サッチャー政権最後に参加しました。

 

▼東西ドイツ統一

 

イギリスが欧州通貨制度に参加したとき、ドイツは東西統一を実現(1990年10月3日)。

統一特需によりドイツ経済は好調、ドイツのインフレ率は5%に迫ります。

先の世界大戦後の反省からインフレを懸念したドイツは、利上げに踏み切ります。

統一直後の1991年1月のドイツ政策金利は6%でしたが、翌年9月には8.75%にまで上昇。

一方で英国景気は低迷中、ドイツ統一時に15%だった政策金利は10%にまで低下。

それでもドイツよりも高い政策金利でした。

 

▼クォンタム・ファンド

 

景気の良いドイツよりも政策金利の高いイギリスに目をつけたのが、ジョージ・ソロス率いる「クォンタム・ファンド」でした。

当時のイギリスの経済成長率は1%にも満たない状況でしたが、政策金利は10%という高さ。

明らかにポンドが「過大評価されている」と判断されました。

 

▼ポンドアタック

 

ソロスはポンドを売り、マルクや仏フランを購入。

英国株を買い、ドイツ株を空売りしました。

1992年9月16日(水)午前11時、ラモンド英蔵相は政策金利を10%から12%に引き上げ。

さらに150億ポンドの外貨準備を使って、ポンドを買い支えています。

それでも、ポンドの下落は止まらず。

同日午後2時15分にはさらに政策金利を引き上げ、15%になっています。

前代未聞の一日に二回利上げ、それでもポンドの下げは止まらず。

ついに同日夜、ラモンド蔵相は欧州為替相場メカニズム(ERM)からの脱退を発表。

ソロスはイングランド銀行の金庫をこじ開けて勝利し、この日のことは「ブラック・ウェンズデー」と呼ばれています。

 

 

ブラック・ウェンズデー(暗黒の水曜日)
1992年9月16日(水)にジョージ・ソロス氏率いるヘッジファンドのポンド売りに対し、イギリス通貨当局がその攻防に敗れ、ポンドが事実上のERM(欧州為替相場メカニズム) 脱退となった日のことをさします。当時、イギリス経済が低迷していたにも関わらず、ポンドが過大評価されていることに目を付けた、ジョージ・ソロス氏率いるヘッジファンドのクウォンタムファンドがポンド売りを浴びせ、イングランド銀行などによる防戦を破り、大幅なポンド安に追い込みました。最終的に売り浴びせに負けたポンドは、ERMを脱退し、変動相場制へと移行することになりました。なお、イギリスがERMを脱退し、ユーロ導入を断念して以降、イギリス経済は、1993年から2008年まで長期に渡って、失業率の改善・安定経済成長・安定インフレ率を実現しました。(auカブコム証券「金融/証券用語集」より)

 

しかしERM脱退後の英経済は回復に転じ、結果的にはユーロに参加しないことがイギリスにとってよかったのではないかとの指摘も聞かれます。
今回「トラス・ショック」以来のソブリン・リスクに直面しそうなイギリスですが、3年前とは異なりあくまで「ドル高」による弊害との指摘も聞かれます。
この場合、さらに「弱い」国の通貨が売られることが懸念されるでしょう。
 

 

 

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