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谷本 憲彦
商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物、オプション)、証券一種外務員
英財政懸念やドル金利の引き下げ期待が鈍化したことを背景に英債利回りが急騰し、ポンドが下げています。
先週末の米雇用統計公表時には、ポンド/ドルが一時1.22割れまで下落。
昨年11月以来の水準となります。
「トラス・ショック」時にお送りした「ポンド危機」を再度ご紹介いたします。
▼欧州通貨制度
為替の変動を抑える仕組みが導入されており、欧州共同体各国通貨を一定量含むバスケット通貨(ECU)の中心相場±2.25%以内に抑えることとなっていました。
各国中央銀行は、ECUの±2.25%からはみ出ないように金融調節を行っていました。
一方存在感を増してきたのが西ドイツ、ECU中心だった欧州通貨制度でしたが、西ドイツマルクに中心が移りました。
イギリスは長らくこの制度には不参加でしたが、サッチャー政権最後に参加しました。
▼東西ドイツ統一
イギリスが欧州通貨制度に参加したとき、ドイツは東西統一を実現(1990年10月3日)。
統一特需によりドイツ経済は好調、ドイツのインフレ率は5%に迫ります。
先の世界大戦後の反省からインフレを懸念したドイツは、利上げに踏み切ります。
統一直後の1991年1月のドイツ政策金利は6%でしたが、翌年9月には8.75%にまで上昇。
一方で英国景気は低迷中、ドイツ統一時に15%だった政策金利は10%にまで低下。
それでもドイツよりも高い政策金利でした。
▼クォンタム・ファンド
景気の良いドイツよりも政策金利の高いイギリスに目をつけたのが、ジョージ・ソロス率いる「クォンタム・ファンド」でした。
当時のイギリスの経済成長率は1%にも満たない状況でしたが、政策金利は10%という高さ。
明らかにポンドが「過大評価されている」と判断されました。
▼ポンドアタック
ソロスはポンドを売り、マルクや仏フランを購入。
英国株を買い、ドイツ株を空売りしました。
1992年9月16日(水)午前11時、ラモンド英蔵相は政策金利を10%から12%に引き上げ。
さらに150億ポンドの外貨準備を使って、ポンドを買い支えています。
それでも、ポンドの下落は止まらず。
同日午後2時15分にはさらに政策金利を引き上げ、15%になっています。
前代未聞の一日に二回利上げ、それでもポンドの下げは止まらず。
ついに同日夜、ラモンド蔵相は欧州為替相場メカニズム(ERM)からの脱退を発表。
ソロスはイングランド銀行の金庫をこじ開けて勝利し、この日のことは「ブラック・ウェンズデー」と呼ばれています。
しかしERM脱退後の英経済は回復に転じ、結果的にはユーロに参加しないことがイギリスにとってよかったのではないかとの指摘も聞かれます。
今回「トラス・ショック」以来のソブリン・リスクに直面しそうなイギリスですが、3年前とは異なりあくまで「ドル高」による弊害との指摘も聞かれます。
この場合、さらに「弱い」国の通貨が売られることが懸念されるでしょう。
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