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谷本 憲彦
商品アナリスト・東京商品取引所認定（貴金属、石油、ゴム、農産物、オプション)、証券一種外務員
▼ポンドに左右されるJPX金
先週末トラス政権の財務相だったクワーテング氏が更迭され、新たにハント氏が財務相に就任しました。
それまで下落していたポンドが再び買い戻されることにより、「ドル安」「リスクオン」が復活しています。
NY金も連れる動きです。
市場がドル高に振れる場合はドル以外の通貨が売られますが、ドル安に振れると「円以外」の通貨が買われます。
よって、JPX金は「ポンド高ドル安局面」になると、よく上がります。
▼それでも1.15の壁は越えられないか
トラス英外相、イギリスの新首相に 保守党の党首選で勝利
イギリスの新首相に、リズ・トラス外相(47)が決まった。与党・保守党は5日午後12時半(日本時間同8時半)過ぎ、党員投票による党首選で、多数票を得たトラス氏が勝利したと発表した。トラス氏は6日、エリザベス女王から組閣の要請を受け、新しいイギリス首相になる。(9月5日BBC)
トラス氏は9月5日の保守党党首選で勝利を収め、第78代英首相に就任しました。
9月5日以降のポンドドルは、次のように推移しています。
エリザベス女王崩御直後に高値1.1740を記録後は徐々に値を下げ、減税表明翌日には一時1.04を割り込む動きとなりました。
1985年以降の安値です。
その後イングランド銀行が突如英国債を買い支えることを表明するなど、ポンド買い戻しの材料が続きましたが、対ドルでの1.15をなかなか越えられません。
昨日もハント新財務相による新たな財政プログラムが発表されましたが、高値は1.1439止まり。
トラス首相誕生時の「1.15」が抜けません。
この水準を「トラス・ライン」と呼んでいます。
ここを抜けるということはトラス氏への信任が高まっている、もしくはトラス氏の更迭が近いかのどちらかです。
▼FT紙による報道
英中銀、市場が落ち着くまで国債売却延期の公算＝FT
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は18日、イングランド銀行が政府の経済対策を巡り混乱した英国債市場を安定させるため、大規模な国債売却を延期する可能性が高いと報じた。
英国債市場がここ数週間「非常に動揺した」と中銀高官が判断したという。
中銀は既に、保有する8380億ポンド相当の英国債の売却開始を延期している。(ロイター)
今月31日開始予定の「量的引き締め」について、FT紙は先送りと報じています。
国債市場の落ち着きを待つとのことです。
タイミングの悪いことに、日本時間明日15時にイギリス消費者物価指数が発表されます。
事前予想は、前年比10.0%(前回9.9%)。
「とてもじゃないがQT無理」は分かりますが、先送りによる物価への影響が懸念されます。
「やっぱり引き締め」議論になるのでしょうか…。
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