物価版フィリップス曲線 | 浪風谷本

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▼歴史的低水準「失業率」、歴史的高水準「CPI」

 

今月8日に公表された米国失業率は3.6%、14日に公表された米国消費者物価指数(CPI)は9.1%でした。

米国の雇用は過去最低レベル、完全雇用に近いと言われています。

 

 

こちらは米国失業率、現在の「3.6%」が歴史的にも低い水準であることが分かります。

コロナショック時の失業率14.7%は、職がなかったという事情もありましたが、「働く必要がなかった」とも言えそうです。

 

一方で消費者物価指数(CPI)は40数年ぶりの上昇となっており、我々日本人の想像をはるかに超えた次元での物価高が続いています。

70代以上の世代の方にとっては、「カーター政権」時の物価高が頭をよぎっていることでしょう。

 

▼物価上昇と雇用の関係

 

カーター政権の最後は「物価上昇」と「失業率上昇」に悩まされ、野党共和党は「悲惨指数」を用いてカーター政権を攻めました。

結果カーター大統領は、1期4年で退陣せざるを得ませんでした。

 

アングル:バイデン政権悩ます高失業率と物価上昇、カーター政権との比較

高い失業率と物価上昇、そこに加えてガソリンスタンドの行列 -。これは1970年代の米国社会を覚えている一定以上の年齢層にとって、実に忌まわしい記憶だ。これはバイデン政権をも一時的に悩ませる可能性が高い。新型コロナウイルスのパンデミックがもたらした未曽有の景気後退からの米経済の立ち直りが今、幾つかの障害物の「こぶ」にぶつかっているところでもあるからだ。

こうしたことに揺さぶられて消費者信頼感は冷や水を浴びせられ、インフレ懸念は強められ、さらには野党・共和党がバイデン大統領と同氏の提案する数兆ドル規模の景気対策案を攻撃する根拠となっている。

4月の失業率は悪化し、物価も跳ね上がった。70年代に実際に証明されたように、こうした状況が政治的に利用されてもおかしくない。当時も野党だった共和党は失業率と消費者物価上昇率を足し合わせた「悲惨指数」を用い、カーター政権に集中砲火を浴びせた。大統領就任後に75%の支持率を誇ったカーター氏が、80年の選挙で大敗する事態を招いた。(ロイター)

 

物価上昇と失業率にはある法則があります。

2017年1月以降の失業率と消費者物価指数の分布図を作成しました。

 

縦軸:消費者物価指数(%) 横軸:失業率(%)

 

物価版フィリップス曲線」と呼ばれています。

失業率が低いときはCPIが高く、逆に失業率が高いとCPIは低いことが分かります。

 

フィリップス曲線とは

経済学において物価上昇と失業の関係を示したもの。アルバン・ウィリアム・フィリップスが1958年の論文の中で発表した。

縦軸にインフレ率(物価上昇率)、横軸に失業率をとったときに、両者の関係は右下がりの曲線となる。フィリップスが初めて発表した時は縦軸に賃金上昇率を取っていたが、物価上昇率と密接な関係があるため、縦軸に物価上昇率を用いることが多い。

これは、短期的にインフレ率が高い状況では失業率が低下し、逆に失業率が高いときはインフレ率が低下することを意味する(物価上昇と失業のトレードオフ関係)。つまりフィリップス曲線とは、短期において「失業率を低下させようとすればインフレーションが発生」し、「インフレーションを抑制しようとすれば失業率が高くなる」ということを表した曲線である。(Wikipediaより)

 

失業率が上がる→給料が下がる→物価が下がるという流れです。

 

ちなみに失業率4%台、CPIが2%台だった時代もしばらくありました。
2017~20年、「トランプ政権」時です。
 

▼米金融当局の目指すもの

 

 

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