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谷本 憲彦
商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物、オプション)、証券一種外務員
キーストーンXL
カナダとアメリカ・ネブラスカ州を結ぶ長距離石油パイプライン。トランプ政権下の2017年に建設が始まったが、環境保護を政策看板とするバイデン政権により建設許可が取り消された。
バイデン米大統領、キーストーンXLパイプライン認可取り消し
米国のバイデン新大統領は20日の就任から数時間後に、カナダの油田と米メキシコ湾岸の製油所を結ぶパイプライン「キーストーンXL」の建設認可を取り消した。
バイデン氏は就任後初の主要な環境保護の行動の1つとして、カナダのTCエナジーに対するパイプライン建設許可を撤回した。バイデン氏が署名した大統領令について知る関係者1人が明らかにした。(1月21日ブルームバーグ)
カナダとアメリカの間に建設が予定されていた石油パイプライン「キーストーンXL」でしたが、2021年1月20日に米大統領に就任したバイデン氏により、建設計画は凍結。
その後、カナダTCエナジーは正式にプロジェクトの中止を発表しています。
カナダと米国結ぶ原油パイプライン「キーストーンXL」、開発会社が中止を発表
カナダと米国を結ぶ原油パイプライン「キーストーンXL」の開発を手掛けるカナダ企業、TCエナジーは9日、このプロジェクトを中止すると発表した。バイデン米政権は今年1月、同プロジェクトへの許可を取り消していた。
TCエナジーによると、複数の選択肢を包括的に検討し、カナダのアルバータ州政府と協議した上で、プロジェクトの打ち切りを決めたという。同社はプロジェクトからの安全な撤退を確保するため、規制当局や利害関係者、先住民のグループと調整を行う方針。
建設の中止により、キーストーンXLパイプラインをめぐり10年以上続いてきた論争に終止符が打たれることになる。同プロジェクトが環境や気候に悪影響を与えると主張してきた環境保護主義者にとっては大きな勝利となる。(6月10日CNN)
2020年大統領選挙期間中、バイデン陣営はキーストーンXL建設許可の撤回を公約に掲げており、複数の有名環境保護団体が支援していました。
キーストーンXLは輸送コストを下げ、カナダ・アルバータ州の石油生産者にとっては収益性の向上が期待されていました。
しかしバイデン陣営の勝利により、計画は凍結されてしまいました。
そもそも米国は世界一の原油輸出国だった
ロシアやサウジ、カナダと並び、アメリカは世界有数の産油国です。
特にシェール層からの原油や天然ガスの抽出が可能になった2008年以降、米国の産出量は飛躍的に増加し、2017年以降は世界最大の産油国になりました。
どれだけ採掘が活発に行われているかを知るうえで指標となるのが、「稼働リグ数」です。
採算の採れないリグは閉鎖されますので、稼働リグが多ければ多いほど採掘が活発に行われているといえます。
ピークは2018年8月888基、逆にコロナショック時には172基まで落ち込んでいます。
先週公表された最新のリグ数は、467基です。
かなり戻してきましたが、まだピーク時の半分ちょいです。
つまり現在の原油価格高騰はコロナショックによるリグ減と、環境保護を名目に凍結されてしまったキーストーンXL建設計画中止によるものです。
環境保護が叫ばれ続けるかぎり、物価高騰は落ち着きそうにありません。
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