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谷本 憲彦
商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物、オプション)、証券一種外務員
ECB理事会とは
欧州中央銀行(ECB)最高の意思決定機関。ユーロ圏の統一的な金融政策を決定する。6週間毎に開催され、役員会メンバー6名(総裁、副総裁、理事4名)とユーロ圏の中銀総裁19名の計25名で構成される。
今週10日ドイツ・フランクフルトにて、ユーロ通貨圏の金融政策を話し合う「ECB理事会」が開催されます。
協議後に政策金利が公表され、その後ラガルドECB総裁による会見が行われます。
昨年夏の資産高騰劇はECBから始まったといっても過言ではありません。
前回会合の概要と、今回のポイントをまとめます。
2021/4/23会合
4月会合終了後、「6月会合は揉めるのではないか」との声が聞こえていました。
ECBの6月会合は紛糾も、緊急購入プログラムの行方巡り-関係者(ブルームバーグ)
欧州中央銀行(ECB)当局者らはパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の下での債券購入ペースを減速させ始めるかどうかについて、6月の会合で議論が紛糾すると見込んでいる。内部の協議に詳しい複数の当局者が明らかにした。
今週の政策委員会会合ではあまり議論もなく政策据え置きが決まったが、6月10日の協議ははるかに複雑で、熱を帯びたものになる可能性があると、当局者が匿名を条件に述べた。
一部メンバーは今年下期に新型コロナウイルス不況からの力強い回復が見込まれることからPEPPの縮小を7-9月(第3四半期)に開始すべきだと主張する見込み。その場合、購入総額は現在の1兆8500億ユーロ(約240兆円)の枠を超えることはない。
一方、より慎重なアプローチを望むメンバーもいる。購入をこの枠内にとどめることを約束せず、将来の景気軟化に対応するため一段の柔軟性を与えることを求めている。
5月には、ラトビア中銀総裁カザークス氏からも「購入ペース減速」発言が聞かれました。
「調達環境が良好なままであれば、6月に購入減速を決定できる」
「柔軟性はPEPPの中核だ」
折しもFRB当局者からは緩和維持発言が相次いだこともあり、ユーロはドルに対し堅調推移、ユーロドルは年初来高値に迫る勢いでした。
その後も米国の期待インフレ率が急上昇、ドル安の流れから、ユーロドルは5月25日に戻り高値1.2267を記録しました。
先月末からは上昇一服、FRBによる既発社債購入ファシリティのポートフォリオ売却開始報道などにより、ユーロドルは1.21近辺にまで下落。
現在に至っています。
ECB、高ペース購入維持の見込み(ブルームバーグ)
欧州中央銀行(ECB)はパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)下の高ペースの購入を夏季を通じて続けると、ブルームバーグの調査に答えたエコノミストらが予想した。
欧州は新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)が終わり持続的な回復の時期に入ったが、回答者の過半数はECBが週200億ユーロ(約2兆6700億円)程度の購入ペースを9月まで維持するとの見方を示した。その後に減速し、1兆8500億ユーロのプログラムを予定通り2022年3月で終了すると大半が予想した。
ECBは今年3月、企業や家計などにとって有利な資金調達環境を保つためにPEPPの購入ペースを上げた。各国政府が行動制限を緩和する中でECBがペースを減速させるとの観測が浮上したが、当局者らはこれを打ち消している。
世界的な物価圧力の高まりで中央銀行が新型コロナ危機中の大量流動性供給を引き揚げ始める兆候に、投資家は神経をとがらせている。ユーロ圏のインフレ率は5月に2%に達し、ECB目標を一応上回った。ただ、大半のエコノミストと当局者はこれを一時的現象とみている。
テーパリング期待が高まっていた今回のECB理事会ですが、現状購入ペース減速に踏み切る公算は小さいようです。
どこかの国が先陣を切って緩和縮小に踏み切るはずですが、一番近い国はイギリスか。
ブレグジット後もなお巨額の貿易赤字に苦しむイギリスですが、引き締めに転じることができるか。
英イングランドのロックダウン緩和、「延期も視野に」=保健相
イギリスのマット・ハンコック保健相は6日、必要な場合には今月21日に予定されているイングランドのロックダウン緩和を遅らせる用意が「大いにある」と述べた。イギリスでは現在、インドで最初に特定された新形コロナウイルス変異株(デルタ株)の感染拡大が問題視されている。(7日BBC)
ロックダウン解除延長ともなれば、欧州通貨全般売られる展開も想定されそうです。
ECBが緩和縮小に舵を切るハードルは、なおさら高いと思われます。
21日の解除が予定通り行われるかどうか、脱線しましたがこちらも重要です。
最近のNY金は、ユーロとの相関性が特に高いようです。
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