Greenland is open for business,not for sale.
先日、トランプ大統領がグリーンランド買収に意欲的と報じられました。
トランプ氏、グリーンランド買収検討を顧問に指示(8月16日付WSJ)
【ワシントン】かつて不動産開発に携わっていたドナルド・トランプ米大統領が、米国によるグリーンランドの買収に興味を示している。同大統領の考えに詳しい関係者らが明らかにした。氷に覆われたグリーンランドは北大西洋と北極海の間に位置するデンマークの自治領だが、トランプ氏は複数回にわたり買収を口にしているという。
トランプ氏は会議や夕食の際、そして立ち話などで、米国がグリーンランドを買収できるかアドバイザーらに質問。豊富な資源や地政学的な重要性について話す時は熱心に耳を傾けているという。また2人の関係者によれば、この構想について詳しく調べるよう大統領顧問らに指示も出している。
冒頭の一文はグリーンランド外務省が出したもので、「我が国はビジネスには開かれているが、自身を売却するつもりはない」だそうです。
そもそもグリーンランドとは、どんな場所なのか。
グリーンランドとは(Wikipediaより)
グリーンランドは、北極海と北大西洋の間にある世界最大の島(日本の面積の5.73倍)。デンマークの旧植民地。現在はデンマーク本土、フェロー諸島と対等の立場でデンマーク王国を構成しており、独自の自治政府が置かれている。
大部分が北極圏に属し、全島の約80%以上は氷床と万年雪に覆われる。巨大なフィヨルドが多く、氷の厚さは3,000m以上に達する所もある。居住区は沿岸部に限られる。
カナダとの国境線上にあるハンス島の領有をめぐって、カナダとデンマークの間で係争中である。
国を買おうとするトランプ大統領の発言に「ご乱心」と思われた方も多いでしょうが、「グリーンランド欲しい」発言の裏には、またもや中国の影が見え隠れしているようです。
「グリーンランド買いたい」 トランプ氏が関心(8月17日付 日経新聞)
デンマーク領グリーンランドを買えないか――。トランプ米大統領が周辺にこんな構想を示したことが16日までに明らかになった。
(中略)
米政権は中国が北極政策の一環としてグリーンランドに接近していることに警戒を強めている。国防総省は5月の報告書で、中国が衛星通信施設や空港の改良工事をグリーンランドに提案していると指摘。軍事転用の可能性を懸念してきた。トランプ氏が対中政策の一環で買収構想を示したかは不明だが、政権内には買収に賛成する声もある。
また5月1日の産経新聞には、次のように掲載されています。
世界最大の島グリーンランドに中国が接近…一帯一路は北極へ
北欧デンマークの自治領グリーンランドに中国が接近している。空港整備プロジェクトや地下資源開発のほか、文化普及機関の孔子学院の設置計画も動く。温暖化による氷の融解で、北極圏は航路や資源獲得の展望が大きく開けた。専門家は「独立を志向し経済的に自立したい自治政府と、北極圏に拠点が欲しい中国は互恵関係にある」と指摘。グリーンランド選出のデンマーク国会議員は産経新聞の取材に対し「成長が必要だ」として中国との関係強化に積極的な姿勢を示した。
トランプ大統領のご乱心というよりは、安全保障上重要な拠点となり得そうなグリーンランドを巡っての中国との争いと言えそうです。
グリーンランド買収話はトランプ大統領が初めてではないようで、1946年にトルーマン米大統領(当時)も1億ドルで買おうとした話もあります。
「自信を売却するつもりはない」とのことですが、中国によるグリーンランドへの進出はデンマーク、アメリカ両政府ともに警戒しており、今後のグリーンランドの行方に注目です。
まずは来月のトランプ大統領によるデンマーク訪問が注目されますが、大統領の訪問日程は9月2,3日ですでした。
の予定でしたが、20日にトランプ大統領はツイッターで、今月末からの欧州歴訪で予定していたデンマークのフレデリクセン首相との首脳会談を延期すると表明しました。
意欲を見せたデンマーク領グリーンランドの購入でしたが、同首相が関心を示さないためだそうです。
フレデリクセン首相もトランプ氏の購入意欲について「ばかげた話だ、地元政府も売り物ではないと言っている、話は終わりだ」と一蹴しています。
しかし中国による北欧進出懸念は事実ですので、今後再び「グリーンランド」がキーワードになる可能性は否定できません。
一応、頭に入れておきたいです。
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谷本 憲彦
商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、農産物、オプション)、証券一種外務員