2011年5月16日米連邦政府は720億ドルの米国債を発行し、
債務額が上限(14兆2,900億ドル)に到達しました。
今年と同じように連邦職員年金基金への拠出を一時停止するなどの対応により
なんとか8月2日まで延命されたものの、債務上限問題が表面化しました。
ここから債務上限引き上げ合意までの長く苦しい道のりプロレスショーが始まるのでした。
7月13日
ムーディーズ米国債のAAAの格付けを引き下げ方向で見直すと発表。
同日バーナンキ議長は議会証言を行っており、債務上限引き上げの必要性に言及。
(フィッチはギリシャの格付けをCCCに引き下げ)
7月14日
S&Pは米国の格付けを引き下げ方向で見直すと発表(8月5日「AAA」から「AAプラス」に引き下げ)
7月17日
オバマ大統領「おめでとう日本。ワールドカップチャンピオン」
(PK戦の末アメリカを下してWC初優勝を成し遂げたなでしこジャパンへ 自身のツイッターで)
7月23日
オバマ大統領と共和党ベイナー下院議長の交渉が決裂。
CMEは国債先物の証拠金を引き上げ。
7月25日
民主党リード上院院内総務と共和党ベイナー議長により、それぞれの削減案が発表される。
7月26日
この頃よりデフォルトリスクよりも格付け機関による米国債格下げリスクが指摘され始める。
カーニー米報道官「ベイナー案は上院を通過しない」。
7月27日
共和党が過半数を占める下院ではベイナー案採択の見通しとなり、上院民主がベイナー批判。
S&PはギリシャをCCに格下げし、見通しをネガティブとした。
7月28日
米政府、万が一の場合の緊急対応策として、国債保有者優先とのこと。
ベイナー案採決の予定も、夜まで延期→採択せず。
7月29日
オバマ大統領「計画を大幅に修正することは可能だ」
リード院内総務「短期的な上限引き上げを上院民主党は受け入れられない」
米下院は共和党提示「9000億ドルまでの債務上限引き上げ法案」を可決。
7月31日
オバマ大統領「両党指導者は赤字削減で合意に達した、デフォルト回避へ」
「10年間で約1兆ドルの赤字削減で合意」「脆弱な景気に悪影響を及ぼすような急激な赤字削減は
行わない」「今後数カ月で赤字削減に向けた均衡にとれたアプローチの詳細を明らかにする」
8月2日
債務上限法案米上院を通過
オバマ大統領署名
8月4日
トリシェECB総裁会見にて景気減速懸念もあり、ダウは512ドル安
合意された内容は、債務上限引き上げ規模2兆1000億ドルというもの。
10年で歳出を9170億ドル削減して、債務上限を9000億ドル引き上げる。
その後年末までに特別委員会でさらに1兆5000億ドルの赤字削減策を検討する。
さらにオバマ政権が主張していた増税策は盛り込まれず、完全に共和党へ妥協した形。
結果的に上限引き上げ合意後に米国債利回りは低下し、金は買われました。
またS&Pは米国格付けを史上初めて最高格付けから格下げしました。
当時の雰囲気から、債務上限問題は債務を認識するイベントのようです。
実際に合意後は世界的に景気懸念が台頭し、金曜日S&P格下げ→週明け日経202円安。
8月8日は世界同時株安となり、ダウは624ドル安、NY金は61ドル高でした。
2011年とは違い今回は景気上向き、ダウ最高値圏であることと、トランプ大統領であること。
つまり共和党vs民主党といった従来の構図ではなく、共和党vs民主党vsトランプ大統領。
もしくは議会vsトランプ大統領、敵の敵は味方なんてこともありそうです。
米議会は来月5日からスタートしますが、下院12日間上院17日間と時間はあまりありません。
協議が難航すると普通は円高、株安などが警戒されます。
米国債利回りは短期債が上昇し、利回りのフラット化が進みそうです。
加えて19,20日はFOMCですので、相場予測を立てるのは非常に難しい。
とりあえず5日水星逆行期間終了までは、このままドル安よりのスタンスでしょうか。
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谷本 憲彦
商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、オプション)、証券一種外務員
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