賭博堕天録カイジ 24億脱出編・第318話『天啓』感想 ~団地力、親子力!~ | ツェーイーメン ~福本漫画感想日記~

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※カイジ年表

 

 

前回、遠藤はあり得ぬ部下の失態に憤慨。
 
見張りを深夜班と昼班の4人に任せると、現場を離れました。
当番中の寝落ちという大失態を犯した夜班の二人を連れ、最寄りのケンタッキーフライドチキンに入店。
 
遠藤としては夜食で食べ損ねた埋め合わせですが、二人を連れたのは別の目的がありました。
 
それは当然ながら単なる和睦や説教ではなく、帝愛伝統の制裁を与えるため。

これは・・・罰を与える者が食べたものと同じものを3つ食べなければならないという仕置き。
 
既に遠藤はチキンを3つ完食したため、二人は9個ずつ食すことを強いられていました。
 
独断でおでんを買ってきたズレよう、そして何よりも栓の抜けたバスタブに水を汲むに等しい、不毛な営為をさせた事実。
遠藤は度重なった罪に言及しながら、4つ目のチキンに手を伸ばしますが・・・二人としては9個が限界。
 
涙目を浮かべつつ許しを請いました。
拳と突き(ケントツキ)だよ
 
苦しいw
完全にトネガワ・・・というより黒沢のノリじゃないですか(^^;
 
遠藤は半ば冗談めかしていますが、内心は腸が煮えくり返っている状態。
血のマニキュアをチラつかせて強引に食べさせます。
 
とはいえ、相当な大食い体質でない限りはチキン12個の完食など不可能。
遠藤もそれは承知していますから、普段なら適当な頃合いで勘弁しておくところ。
 
しかし、今回の二人の失態は度を越えて致命的でした。
本来なら拷問に近い制裁を加えられかねませんが、この緊急事態の渦中で辞められても困ります。
 
考えてみれば遠藤としても、今回のカイジ捜索が帝愛復帰の初仕事。
部下に逃げられたとあっては黒崎からの信用を失いかねません。
 
よって、制裁としては軽い三個一の厳しめは、確かに丁度いい塩梅かもしれない。
 
ただ・・・いずれにせよ監督責任は遠藤にありますし、何よりも本人は認知していないとはいえ、眼前を過ぎ去ったカイジをスルーしたボーンヘッドは痛恨の極みです。
反省の様子は皆無ですし、自らのミスを棚に上げている感は否めないな。
 
ちなみに最近は遠藤目線での展開が続いているため、私としても遠藤の立場から見た感想を綴っていますが、そもそも今さら帝愛に寝返ってカイジを売ろうとしているスタンスは改めて理解できない。
 
結果的には追手役としても歯応えの無い能力と言わざるを得ませんし、悲しい所ではありますが・・・失敗した以上は相応の報いを受ける展開を望みます。
 
 

それはさておき、現在カイジはどこにいるのでしょうか・・・。

遂に脱出のタネが明かされます。

 

発端は、この日の午前2時。

312話では、籠城を見据えて風呂場で横になっていたカイジに、お母さんが現れて添い寝する描写がありました。

 

横で涙を流すお母さんに、カイジは親不孝な自責の念に駆られますが・・・

その時、お母さんが囁き始めた内容にカイジは驚嘆!

 

まさにそれこそ、この窮地を脱する天啓でした。

土壇場での天才的な閃きも遺伝だったのでしょうか。流石お母さん!

いや 引きこもられるのはちょっと・・・
 
カイジはしれっと何を宣言してんのよw
 
カイジが見落としていたのは、地の利。
いつの間にか、一人で全てを解決しようと視野が狭まっていたのです。
お母さんの言葉によって、この実家、そして団地というホームアドバンテージを再認識しました。
 
カイジは籠城を撤回すると、さっそく身支度を整えてお母さんと共に外へ。
 
向かったのは向かいの高橋家。
カイジの幼馴染である保の実家です。
 
ファミレス勤務から帰宅していた保は、カイジの姿を見るなり久々の再会を喜びますが・・・カイジは積もる話を遮って本題を切り出しました。
さらに幸いなことに、明日の保は久々のオフとのこと。
 
遠藤の知らぬ間に、カイジは拍子抜けするほど易々となりすまし作戦の準備を整えていたのです。
 
朝、カイジは保のふりをしてフルフェイスを被り、堂々と昇降口から外へ。
 
そして・・・もう一人、陽動作戦に付き合って頂いたのは、
なるほど・・・あのおばさんは保のお母さん・奈々江さんだったのか。
 
保本人にしてはほうれい線や弛みがあったので妙だと思っていましたが、本当におばさんに協力して頂いていたのですね。
カイジの代わりですから、背丈の近い大柄な方で助かりましたね。
 
遠藤たちの監視の目が引き付けられている間に、カイジはバイクを出してまんまと包囲網から逃れることに成功。
うわ・・・目の前も目の前!(;'∀')
 
遠藤が真実を知ったなら地団駄を踏むことでしょうね・・・。
 
そして、おばさんがカイジとは別人だったという不毛な報告を受けている間に、カイジは悠々と一般道へ。
粛々と虎口を脱しました。
 
脱出方法自体はほぼ予想通りだったとはいえ、まさかその計画の発案がお母さんだったとはね・・・。
 
カイジと母・初江、保と母・奈々江、誰が欠けてもこの脱出は成らなかった。まさに親子の力でもぎ取った勝利ですね。
 
いや、さらに振り返れば・・・
チャンの違法投棄を知りながらも見逃してくれた広島のおじさん、白木探しのために夜通しタクシーを走らせた運転手、廃屋に潜む3人を見逃してくれた隣人家族、事実上キャンピングカーを無償で譲ってくれた有馬店主もそう。
 
以前から繰り返している事ですが、脱出編は人の善意を描くエピソードが続いている。悪意が表れているのは遠藤だけじゃないですか。
 

境遇は不運なれど、一期一会の関わりには大いに恵まれている。

その方たちに報いるためにも、カイジ、チャン、マリオ・・・3人の人生は幸せに落ち着いてほしいです。

 

・週刊ヤングマガジン№25(2019/05/20号)より。