アニメ・中間管理録トネガワ 第1話『始動』感想 | ツェーイーメン ~福本漫画感想日記~

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遂に始まりましたね…!
事前のPVはシンプルなナレーションベースだったので、仕上がりは全くの未知数。
期待感が膨らむ中での第1話でした。
 
新潟では映らないので、半日遅れで配信される日テレのアプリで視聴。

 

私は原作至上主義なので、あまり逐一レビューするかは分かりませんが、今回は記念すべき第1話。
簡単にですが、アニオリ部分を中心に大まかな流れを載せます。
 
 
冒頭は、アニメカイジの映像を用いたあらすじ紹介。
そもそもカイジにおける利根川というキャラクターを知らなければ、スピンオフという趣旨が理解できません。
当然初見の方も多いですから、この辺りの配慮は当然ですね。
 
 
そして、前半パートは丸々アニメのオリジナル展開。
帝愛の黒服たちが、次々に債務者への取り立てを行います。
 
これから始まる本編はゆるい葛藤の物語ですから、
先に表の顔である、高圧でブラックな面を見せればギャップを生みますね。
ちなみにこの二人・・・
破戒録最終話に登場した、優しいおじさんとそのコンビの黒服でしょうか?
心優しい二人も、帝愛に選ばれた黒服。
取り立てでは厳しい一面を見せていますね・・・(⌒-⌒; )
買い物依存症やギャンブル中毒など、様々な事情の債務者をひれ伏させていく黒服ですが・・・
 
中には、その法外な暴利や取り立てに目を付け、警察への訴えをチラつかせることで踏み倒そうとする者もいました。
高を括ったような舐めた態度に、黒服は苦虫を嚙み潰したように手こずっていましたが・・・
 
そこに近付く足音・・・
利根川登場!

必要なのは金だ・・・!

言葉ではない・・・!

 

そのただならぬ凄みとオーラに押され、屁理屈をこねていた債務者はあっさり屈服。

あえなく家屋や車が差し押さえとなりました。

 

全てを失い、憐れを乞うように支払いの延長を願い出ますが・・・

利根川は一蹴。

 

気持ちなど・・・
札一枚の重みすらない・・・
 
さらに、世間が自分を認めなかったせいだと責任転嫁する姿には、
 
クズめっ・・・!
世間は自分の母親だとでも思っとるのか・・・!
 
痺れるぜ・・・!
金言を残してクールに立ち去る・・・
かと思いきや、

きっちりメモ・・・!
これがエスポワールの演説の元ネタとなったのですね。
 
自ら発した言葉からも、常に何かを学び高める男。
それが、利根川幸雄なのです。
 
 
黒服の通常業務と利根川の格の違い。
帝愛の基本情報が詰まったプロローグでした。
 
 
森川さんの利根川に慣れることが出来るのか不安でしたが、予想以上の渋カッコよさ。
白竜さんに劣らない威厳と重厚さが感じられ、全く違和感がありませんね。
この前半パートだけですんなり受け入れることが出来ました( ̄ー☆
 
むしろ白竜さんよりも抑揚の付け方が上手ですから、ギャグシーンの多いトネガワには適しているように思います。
声優変更は大博打ですが、見事に成功しましたね。
 
 
ここで一旦、小ネタとして
帝愛のCMが流れましたが・・・
まさかの武富士ネタ登場!w
つい先月連載されたばかりのネタですが、さっそく一話で使われるのか(^▽^;)
先月の私がそうでしたが、元ネタが分からない方は面食らったことでしょうね。
 
そして・・・ある日の利根川が会長に呼び出しを食らい、後半パートは原作の第一話の内容が展開されました。
久々の会長、津嘉山さんの声を聴くと安心しますね。
長セリフでも緊張感を失わず、JPOPネタ部分はキャラを保ちながら笑いを誘う・・・間違いのない好演でした。
 
後半パートは既読の内容ですから新たに語る事はありませんが、
(↓当時の感想) 文章もノリも今とは違うな・・・(^_^;)
やはりネタを知っていても、佐衛門三郎二朗の衝撃は笑えますね≧(´▽`)≦
止めの山崎川崎間違いについては原作以上に印象に残りました。
 
ちなみにラストの黒服が集まってボウリングに行こうとするシーンはアニメオリジナルですが、恐らく出番の少ない長田にセリフを与えるための配慮でしょう。
 
同じチームの一員なのにほとんど出番がない・・・
そんな疎外感を声優の方が覚えては申し訳ありませんから、
同じように原作で出番が少ない萩尾、菊地、川崎、荻野あたりも新たな活躍の場が描かれそうですね。
 
 
また、ゲスの極み乙女。によるOP曲もスタイリッシュで好印象。
 
歌詞も利根川を意識していますし、
「天才とは違う 努力の賜物です」のフレーズが印象的です。
渋い利根川のカットが続くかと思いきや・・・
 
謎のアイドルグループ的なチーム利根川ショットや・・・
謎の木根崎の大物感、
会長に紛れるまさやんなど、
ネタ要素も満載でしたね(⌒▽⌒)
 
竹原ピストルさんによるEDも、まさに利根川の大人の哀愁を思わせる仕上がり。
EDらしい静かなアニメーションにもに合っていたと思います。

 
 
これで第一話は終了、
ストーリーは素晴らしかったと思います。
 
その上で・・・以下は個人的な意見です。
 
 
私がこの第1話を観る前、
朝にTwitterを覗いたところ…
連なっていたのは、川平さんのナレーションへの批評でした。(;´Д`)
 
 
私も以前の更新で、
個人的な一番の注目ポイントは、ナレーションの川平慈英さんがトネガワの世界観にどのように効いてくるのか。
それほど声優、ナレーションを務めている印象がないので、想像が付かないだけに楽しみです。
 
と書き残しましたが・・・不安が当たってしまったようです。
 
予め批判されている事実を知ってしまったうえで視聴したので、以下はフラットな意見ではないかもしれませんが・・・
 
確かに、問題とされているのも分かります。
 
 
たとえばジブリの風立ちぬは、主人公が青年にもかかわらず、
声優を担当したのは50を越えた庵野さんでした。
私は第一声での違和感が抜けず、ほとんど内容が頭に入らないまま映画館を後にしました・・・。
 
そう・・・内容が入ってこないのです。
カイジの立木さんもインパクトがありましたが、それはあくまで素の状態で本気で声を張り、ナレーションに徹した結果。
 
あくまで本気でアフレコしている声優さんとは別のベクトルですから、最高の添え物として演技の邪魔をすることはありませんでした。
 
しかし、川平さんは本気でナレーションするでもなく、川平さんの演技をしてしまってる。
同じ演技同士ですから、干渉してしまうのも当然。
 
それも目立ち過ぎないよう抑えた演技ですから、同じ土俵で100%を出しているアフレコ声優の方と比較すると、どうしても出来栄えが劣っているように受け取ってしまいます。
 
つまり川平さんの特徴を発揮するつもりが、むしろ殺している。
どっちつかずの狙いで良いものが出来るはずがありません。
 
 
まず冒頭から違和感がありましたね。
あらすじの映像はカイジの流用ですから全てシリアスシーンですが、独特のタメや抑揚のある川平調では軽く感じられてしまい、真剣勝負の歴史を語るには適していません。
 
 
そもそもトネガワの魅力とは、
カイジ本編とまったく同じ画、セリフ回し、雰囲気や空気感にも関わらずシュールな笑いが展開されることにあります。
 
つまり、登場人物は基本的に真面目。
利根川も良かれと思った行動が裏目に出ているだけで、誰もふざけてはいない訳です。
 
唯一その掻き乱すポジションとして会長、その影武者まさやんがいるので、ナレーションから全面にギャグ感を狙う必要はありません。
むしろ、緊張と緩和というギャグの基本を削ぐことになります。
 
 
もちろん・・・川平さんは普段から常にあのテンションではありません。
淡々と語る演技もできる方ですし、部分的にはそのシーンもありました。
 
つまり川平さんではなく、川平調のイントネーションが問題。
それがトネガワの作風にマッチすると制作陣が判断したことが問題ですね。
 
まだ第1話ですから、演技指導の方もまだ手探り状態なのでしょう。
 
川平さんも初めてのアニメのアフレコに相当緊張されていたようですから、数をこなして上達されるのは間違いありません。
 
たとえば立木さんもカイジの序盤は、今見ると物足りないほど淡々としていました。
あるいはドラマアカギで仰木を演じた田中さんも、序盤でのアフレコは酷い棒読みでしたが、完結編に入った頃には文句の出ようがないクオリティにまで上達されていました。
 
これから半年続く長丁場ですし、巷の批判的な意見も現場に届くことでしょう。
試行錯誤しながら、少しずつ改善されることを期待します。
 
 
 
そしてもう一つ、設定として気になったのは、
紹介の中で利根川を「帝愛グループNo.2に上り詰めた男」と言い切っていたこと。
 
本来なら利根川は、あくまでNo.2の「最有力候補」という立場です。
 
なぜなら破戒録冒頭で黒崎がNo.2の座を掴みましたが、そのとき遠藤は「あそこに利根川先生がいてもおかしくなかった」と話しています。
つまり地位を引き継いだという訳ではありませんから、利根川はそれまでもNo.2ではなかったわけです。
 
トネガワの原作内でも、「最高幹部の一人」と紹介されているだけ。
途中加入した八乙女がNo.2に近いのでは…と噂されるエピソードもありましたから、スピンオフ内でもその設定は守られていました。
 
細かいツッコミではありますが、他でもない今作の主人公の設定ですから・・・間違えてほしくなかった。
あるいはアニメ内では№2の設定で進むのかもしれませんが、八乙女のキャストが公開されている以上、そのエピソードが描かれるのはほぼ確定。
矛盾しそうで心配・・・。
 
あとは「ざわ」の声がやや軽いこと、
やや一つ一つのセリフ間が間延びしていることは気になりますが・・・演出をくどくしてはさらにテンポが失われて元も子もありません。

 

尺の都合上仕方がない部分でもありますから、これは先述の長田のセリフのような追加要素で埋めるしかないでしょうね。
 
マッドハウスの現場にはカイジ・アカギを完璧なクオリティで仕上げ切った、実力の確かなスタッフが揃っています。
現状でも作画や声優の演技など、良いところは沢山あります。
今回浮き彫りになった演出上の違和感も、些細な配慮で大きく改善されることでしょう。
 
あとは強力な原作を信じきる、それだけだと思います。
 
とにかく、まだ物語は始まったばかり。
無事に良作として完走できるように応援します(*^▽^*)