中間管理録トネガワ 第52話『安息』感想 ~ファントム・メナス~ | ツェーイーメン ~福本漫画感想日記~

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利根川を蝕む 幻想の脅威・・・

それは一つの僥倖から始まりました。

 

この日、都内を移動中の利根川は、ふと翌週のスケジュールを確認していました。

すると会長が1週間丸々ハワイという一方、利根川は・・・

 

バカなっ・・・!

空いとるだと・・・!?

これほどまとまった連休が訪れるのは、利根川にとって実に十数年ぶりのこと。
何かの間違いだろうと何度も確認しますが、7連休は紛れない事実でした。
 
普段は20連勤すら珍しくない激務を続けていますから、つい疑ってしまうのも仕方ないですね。
 
予定にない緊急会議が入る可能性はありますが、どうやらチームの黒服たちも余裕があるとのこと。
わざわざ手を借りるまでも無いと、利根川の休暇を気遣いました。
オーロラが見たかった・・・!
死ぬまでに一度は・・・!
 
オーロラですか・・・
確かに、誰もが一度は生の鑑賞を憧れますね。
 
思えば・・・心と時間にゆとりを持った旅行は久しく経験していないな。

詰め込んだ名所巡りも良いのですが、イベントをピンポイントに絞ったゆるい海外旅行こそ、その土地の空気を味わえるという意味では醍醐味かもしれません。

 

 

利根川は早速調べてみると、まるで日程を連休に合わせたかのようなドンピシャのツアーパックがありました・・・!
 
もはやこれは・・・オーロラを観ろという天からの導きか。
 
しかしアイスランドへの道のりは、まさに悪魔的トランジットと圧倒的飛行時間。
一度到着してしまえば、会長からの呼び出しには対応できません。
 
会長ならハワイでも構わずに無理を通そうとするでしょうから、オーロラを観にアイスランドにいるから・・・という断りは怒りを招きそうですね。
 
安全に北海道あたりへ切り換えようとしますが、夢のオーロラを観るには今回はまたとないチャンス。
あるかどうかも分からない呼び出しを恐れて、国内で妥協していいのか・・・これは悩ましいですね。
 
 
煩悶の末に、利根川が出した答えは・・・

やはり色々な可能性を考えた時、アイスランドは冒険すぎます。

それなら中途半端な欲を出さずに関東圏で収めるのが正解と考えたようですね。

 

心はゴム毬・・・いつか反動が来そうですが、利根川は地下の住人とは違う。

当初の予定からは大幅に下方修正されましたが、近場なりの休暇を楽しみたいところですね。

 

日光の自然、華厳の滝のマイナスイオン・・・
 
日頃の仕事を忘れるには十分な環境ですが、なぜか利根川は何度もスマホを確認して落ち着きがありません。

ファントムバイブレーションシンドローム・・・!

 

これは実在する錯覚現状ですが、主に心的ストレスが原因とのこと。

 

すれ違う老人もことごとく会長に見えてしまうようで、旅館の温泉にすらスマホを持ち込む始末。

超多忙ゆえの職業病が休息の足を引っ張ります・・・(;´Д`)

 

もはや生き甲斐などという次元ではなく、人生そのものが仕事に染まってしまっているね・・・。

眠ろうと思えば思うほど眼が冴えてしまうように、忘れようとすればするほど仕事が気になって仕方ない状態かな。

 

ここは細かいことは気にせず、美味しい夕食を食べて早く寝てしまうのが一番でしょう。

それは紛れもない山崎からの着信。
 
ハワイ行きの自家用機に同乗していた所、会長がピーナッツが用意されていなかったことに大激怒。
日本へのUターンを強行させてしまったのです・・・!
 
いやナッツリターン事件て・・・w
また懐かしいネタですけどギャグにしていいのか(^_^;)
 
 
山崎はなるべく迷惑を掛けたくなかったようですが、電話先からは会長に制裁を受ける声まで聞こえています。上司として、見過ごすわけにはいかないな。
 
結局、利根川は酒には口を付けぬまま旅館を飛び出しました。
再びUターン・・・!
ハワイに向かっております!
 
安定の大迷惑。
前回もしかり、会長の機嫌はジェットコースターにも程があるな・・・(´Д`;)
 
このとき既に新幹線は栃木を出て、利根川が気付いた時にはまさに利根川の上。
まさに利根川on利根川状態でした・・・!(;・`ω・´)
 
小ネタ中の小ネタはともかく、これから再び日光へ戻るか・・・あるいは宇都宮の餃子で夕食を食べ直すか・・・
それとも・・・何か過る直感があったのか・・・?
 
 
一方・・・翌朝の帝愛本社では佐衛門たちが追い込まれていました。
 
何と、会長がUターンした後のハワイはまさかの長雨。
またも会長の機嫌が急降下し、前にも増した速度で日本に向かっていたことが判明したのです。
 
山崎としては今度こそ利根川の貴重な休みを邪魔したくありませんが、やはりチームの黒服だけで会長の相手をするのは不可能。
 
しかし準備も含めれば、今から連絡しても間に合うかは微妙かもしれません。
さすがの佐衛門も狼狽を隠せませんが・・・その時!
 
やはり正解だったようだな・・・
この颯爽とした出で立ちよ・・・何という安心感だ。
治の代打ちに入った瞬間のアカギに匹敵するぞ。
 
一筋縄では事態が収束しないことを、その経験から察したのでしょうか。
利根川は日光でお土産のラスクだけを買い、朝一に間に合うように帰京していたのです(゜д゜;)
 
面食らうメンバーに会長の好物の料理と適当な債務者を手配させると、さっそく余興の準備にかかりました。
 
その瞬時に的確な統率をとる姿には、昨日の暇を持て余した優柔不断だった面影はありません。
 
その性質はまるで、静止しながら息が出来ないマグロやカツオなどの回遊魚。
 
とどのつまり・・・
どこまでも利根川は帝愛に生きる者。
灰と化すことになる運命のあの日まで・・・前進をし続けたことでしょう。
 
 
今回はさほど露骨なギャグに走らず、綺麗に締まりましたね。
 
正直なところ・・・
アプリ移籍後のエピソードはややクオリティが落ち気味に思われましたが、今回は中間管理職の苦悩に焦点を当てつつ、初心に帰ったようなネタで面白かったです。

 

というよりも、どこか一つの区切りを思わせる余韻すら感じたな・・・。
 
これはもしかすると・・・来週スタートのアニメは2クールで26話構成が考えられますから、1話当たり原作2話消費とすればちょうど今回が最終回に当たります。
 
ラストページが銀と金最終回のパロディということもありますし、
アニメ最終回用に一旦の区切りを意識しての構成だったのかもしれません。
 
 

もちろん、現在も非常に高いレベルの作品であることは踏まえつつですが、最近はやや個々のキャラクターや展開の起伏に極端化が見られていたように思います。

今後も今回のようにインパクトは残しつつ、あくまで趣旨は利根川本人の悲哀や哀愁を描いているエピソードが増えていくと嬉しいな・・・。