空はどこから/猫の長靴 -177ページ目

空はどこから/猫の長靴

日記は苦手だけど、何があって何を思ったのか、あんまり分からなくなるのもねぇ(´Д`)
だからちょっとだけ、記録を残します。

春。
でも北海道は雪の中。
だから今の内に書いておこう。




住んでいる場所の面白そうな事は、そこにいる内にやっておこう。

オホーツク地方には、100キロのクロカン・スキー大会があった。オリンピックでも最長は50キロ。べらぼうに長い。

但し、いろいろと注釈が必要。

100キロというのは駅伝の距離(最初にスキー場の周りで距離を調整する)、個人コースは85キロ。

また、クロカンのコースは基本、登り・下り・平地、3分の1ずつ。
オホーツクのコースは大雪山の麓から海に向かって、ほぼ全長下り。
だから距離の割には楽。トップクラスは4時間を切る。

それでも…
日本最長である凄いのである話のタネなのである。


クロカンの滑りはワックスで決まる。

当日の雪温を予想し、早朝から午後にかけて雪温が変わり、徐々にワックスがはげることを見越して、違う色のワックスを塗り重ねていく。

このワックスが的中すると、ストックの一漕ぎで、
ビュンッ!と進む。

クロカンスキーは細くて軽い。スキーを履いてもスニーカー程の重さしかない。
その分、安定しないからヨロケる。

最後の10キロは僅かに登り坂になる。
体力は尽き、ワックスははげて滑らない。
膝だけでウンショ、ウンショと滑る。
早朝にスタートして8時間、かがり火の中をゴールする。


汗は寒晒しで塩になり、顔中がザラザラする。

8時間も同じ動作を続けていると、頭がモウロウとしてくる。
もはや「何をやってるんだろう」と考えることもない。

翌日、膝は肉まんのようにプクプクに腫れ、眼は雪の反射でやられて白く霞んでいる。

この苦しさがたまらない。
マゾヒスト・ファイミルはこういうコトに生きてる実感を感じる。



結婚後も続けようとしたら、妻が運動オンチのくせに
「アンタばっかりズルい」と言い出し、スキーセットを買わされた。

妻とは旭川のバーサー大会に参加した。

どうせなら長いコースが得だとばかりに、20キロコースを申し込んだ。
所属団体を書く欄があったから『チーム・ファイミル』と書いた。

二人並んでゴールするのが理想だったが、あまりにもレベルが低かった。
滑れなくてペタペタ歩いてる。

結局、妻は数キロでギブアップして救護車で戻ってきた。
「身体の故障もないのにリタイアする人は珍しい」と言われたそうだ。




ゲレンデスキーは早くに捨てたのに、クロカンスキーは関西、東北と持ち歩いた。
使いもしないのに、なぜか捨てられない。

青春の形見、かな…





《おまけ》
リレハンメルオリンピックのノルディック複合団体、金メダルのシーンは、深夜リアルタイムで見た。

何しろ斜面を滑りながら登っていくのである。スキーは重力に従って下るものだと思ったら大間違い、クロカンは物理学を超越している。

当時は荻原健二と河野のダブルエース。
団体戦は3人なので年長の阿部が加わった。

優勝した時、エースの二人は阿部を肩車した。

地元の留萠(北海道)に幼い息子と残っていた阿部の奥さんは
「あの真ん中で肩車されているのがあなたのお父さんだよ」
とTVを指差して泣いていた。

試合前、河野は言っていた。
「個人戦ではライバルの健二を、団体戦では心から応援できる。だから団体戦が好きだ」

最高に爽やかな奴らだった。







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「すべての人を愛し、わずかの人を信じ」
ジョージ秋山『戦えナム』の一節。
中学生の時、月刊誌『マンガ少年』で読んだ。

このマンガ、主人公ナムは僧侶にして格闘家。とにかく悪人は改心の余地なしと、素手でバキバキボキボキ殺してしまう。
そして冒頭のような格言を唐突に口走る。
弟子のアミは「ぜんぜんのさっぱり分かりません」と合いの手を入れる。

そんなわけで、何を意図して
「すべての人を愛し、わずかの人を信じ」
というセリフが出てきたのか不明だが、
とにかく私は「なるほど!」と納得した。


人間は愛すべきものだが、信じるとなると難しい。

「信じてたのに騙された」
違う。
勝手に、相手は「こういう人」と決めつけていただけだ。

自分の思い込み(理想像)を押しつけて、それが違ってたら相手のせいだ、騙されたと怒る。

「信じた私がバカだった」
その通り。
他人を理解するなど不可能なのだ。

だから「信じる」という言葉も、安易に口にすべきではない。

誰かを信じたいと思ったら
「自分が思い描いた理想像と違っても、逆恨みしない」
という覚悟が必要だ。


昔、『花王名人劇場』というTV番組で、板東英二さんが
「それもひとつの真実ですね」
と言ったら、
立川談志さんに
「真実はひとつだから真実だ」
と突っ込まれ
「わしゃ野球ばかじゃけ難しいことは分からん」とスネていた。

「真実」なんてのは、古今東西の善知識が命がけで追究してきたテーマだから、凡人に分かる訳がない。

談志さんみたいな意地悪オジサンがいれば、突っ込みを入れてくれるだろうが、
大抵は耳さわりの良さに満足し、いい加減な気持ちで「真実」という言葉を使う。



坂口安吾のエッセイ『ラムネ氏のこと』にこんな一節がある。

江戸時代、キリスト教の布教を図っていた人達は、
「神の愛」を何と翻訳するかで苦心した。

当時の日本では、「愛」といえば「愛欲」のことだった。
浄瑠璃の心中ものの世界だ。

だから、別の言葉でキリスト教の愛を表現しなければならない。

編み出した言葉が
「御大切」

神様の御大切
「余は汝等を大切に思うぞよ」

これなら、少くとも「エッチしましょう」という意味ではない。

今、若い人の中には「ラブシーン」イコール「SEXシーン」と思っている人がいるらしい。

「愛」も「LOVE」もチープになったものだ。



私は思うのである。
「愛」とか「誠意」とか「信じる」とか、手垢にまみれてしまった言葉は、一度禁句にしてみたらどうだろう。

別の言葉で置き換えてみれば、その言葉に込めようとした想いが見えてくる。


例えば

愛…その人(あるいは物)が自分にとって大切な存在だと強く意識すること

誠意…自分の損得は後回しにして、相手のことを考えること

信じる…何があってもその人を支持するという決意


重いね、言霊って。



今回、手頃なサムネイル画像がなかったので…

『ファイミル版「御大切」のポーズ』






《おまけ》
女の子のボキャブラリーの貧困さが話題となったのも、もう随分前のことだ。

とにかく「悪い印象じゃないモノ」は、
全て「カワイイ」になってしまう。
「オジサン、カワイイ~」って、何のこっちゃ。

もし「カワイイ」が禁句になったら、彼女たちはどんな言葉を捻り出すのだろうか。


もっとも、私も悩む。

「可愛い」が禁句になったら…
アッキーの魅力を表現する言葉って、何にしよう…









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昔、『ロンパールーム』という幼児向け番組があった。
毎回数人の子供たちを招待してゲームをする。
番組の最後にお姉さんが「鏡よ鏡よ鏡さん。みんなに会わせてくださいな」と次回招く子供たちの名前を一人一人呼ぶ。
…ってのが懐かしい。

ある日、しりとりゲームでのこと。
「き」のつく言葉、を振られた男の子の答えが
「きんたま」
お姉さん「キレイな言葉を言いましょうね」
男の子「キレイなきんたま」
CM明け、男の子は消え、その席にはクマのぬいぐるみが置いてあった。

…というのは有名な都市伝説。
真偽のほどは知らない。

お姉さんが「きんたま」をキレイじゃないと言い切る根拠も分からない。




『宇宙戦艦ヤマト』の大ヒットは中学生の頃。SFアニメとして初めて「ワープ」という言葉を世に広げた。放送時には視聴率が取れず2クールで切られた。だから結末は変に駆け足だった。
その後、火がついて大ヒットとなった。
映画で続編を作ったが、そこで主役を死なせてしまった。
これがまた大ヒットしたから、死なないバージョンのTVシリーズを作り、更に次の映画が作られた。

プロデューサーは言っていた。
「ファンが求めている限り続編を作るのが使命である」

私には「このネタで稼げるだけ稼ぐ」としか聞き取れなかった。

一作目はともかくとして、世界観がチープだった。
とにかく感動させろとばかりに、
「愛」を連呼した。
ヤマトの夢から覚めたアニメファン達は「愛」をパロディ化した。

美徳であるべき言葉が汚された、と感じた初めてのケースだった。

一時的にせよ、この作品で感動してしまったことに、私は今も一抹の不愉快さを感じている。




ガンダムにはこのような不快感はない。

TVの特集で富野由悠季氏がインタビューを受けていた。(ダブルゼータの頃だと思う)
制作者としての信条を問われ、
「嘘をつかないこと」と答えていた。
これは深い。

商業主義は卑しいものではない。人が生業に精を出すのは尊いことだ。
しかし商業至上となると話は別だ。「金儲け悪いことですか?」のあの世界だ。

ガンダムが長く(30年以上も)ファンの支持を得ているのは、富野氏の「譲れない信条」が根底にあるからだと思う。




話は変わって『北の国から』

純が女の子を妊娠させてしまう。
父親の五郎に相談すると
「結婚する気、ないよな。あやまっちゃおう」
かくてお土産にカボチャを1個持って、彼女の家に駆けつけ、父親の前でふたり並んで土下座する。
父親(菅原文太)は腕組みして
「誠意ってなんだろうね」

ただし、これは誠意を掘り下げるドラマではない。文太さんの決めの一言で次のシーンに展開する。



この頃、大物俳優の娘を誘惑して、ワイドショーを賑わせたタレントがいた。
カメラの前で「誠意」を連呼し、「誠意大将軍」とネーミングされてお茶の間を笑わせた。(笑われた)


「愛」にせよ「誠意」にせよ、キレイな言葉は耳にやさしい。
だから、その言葉の意味も考えず、口先だけで弄ぶ。

そして
「言葉」は汚されていく…



この記事、長くなってしまったので、次回に続く──





ロンパールームを話題にしたら懐かしくなって、インターネットで調べたら、こんなのが出てきた。
「お天気みどりちゃん」
お天気を変えて帽子や服をペタペタ貼る、着せ替えおもちゃ。
近所の女の子が持ってたな~





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