許されざる者 | 花鳥風月文々草紙

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独身女と愛しの文鳥との平和でのほほんとした日々と、料理や好きな手芸や音楽と言った趣味のブログです。

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どうもレビューはけちょんけちょんですけど、

私は久々の大ヒットでした~叫び

どうしてあんなにもレビューが酷いんだろう・・


 1,880年の北海道。

 幕末、幕府軍と官軍との激しい戦いがあった。

 官軍から「人斬り十兵衛」と恐れられた釜田十兵衛は

 今では過去を捨て、海辺の荒地を耕しながら

 二人の幼い子供達とひっそりと暮らしていた。

 そんな彼の元にかつての仲間馬場金吾が訪ねてくる。

 そう遠くない町で、女郎の顔を傷つけ痛めつけた男達

 に女郎達が賞金を掛けたというのだ。

 最初は渋っていた十兵衛だったが、子供達のためにと

 再び刀を手にすることを決意する。

 旅の途中、和人とアイヌとの混血青年五郎が加わり、

 事件のあった町へ辿り着いたが、そこは大石一蔵と言う

 男が支配する町だった。

 大石は十兵衛を知っていた。彼の過去も・・

 無抵抗な十兵衛を大石は半死半生になるほど

 激しく痛めつける。傷が癒えた彼は、金吾と五郎と

 三人で標的の男の一人を仕留める事に成功する。

 激しい動揺で何もできなかった金吾は一人去って

 いくが、大石によって拷問の末に殺されたと知った時、

 十兵衛の狂気が目覚める・・
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 確かに絵面は綺麗ではないです。

 建物はぼろぼろ、女郎達の着物も汚いし、

 道はぬかるんでドロドロ・・

 オール北海道ロケだそうで、それが信じられないくらい

 圧倒的なリアル感で迫ってきます。


 音楽も、バイオリンの音色が嫋嫋と物悲しく鳴って、

 物語の悲劇を強調します。


 ここに出会った人間達ですが、

 十兵衛と金吾は貧しさから抜け出すために戦い、

 それがたまたま幕府軍だったし、大石も元長州藩士

 だったけれど不遇な生まれで、それぞれ流されるように

 北海道へと辿り着きました。

 皆辛く悲しい傷を負っています。

 

 全員がそれぞれ事情があれど罪を背負っているんです。


 許されざる者とは全員の事なのかも・・

 

 女郎なつめの顔を傷つけた二人の男達も含めて。




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最初十兵衛は無様なほど無抵抗を貫きます。

そんな彼が、金吾の死を知った時、

自らの封印を解き狂気を爆発させて・・


その時の豹変、すごい迫力でした叫び


十兵衛の死んだ奥さんはアイヌ女性なんですが、

どんな人だったんだろう・・

何せ人としての感情も失くしていた彼を

立ち直らせて、違う生き方があるという事を

教えた人だからです。


若い女郎なつめは元武士の娘。

十兵衛の背中を見て、父親の背中のようだと言った彼女。

自分の傷がきっかけで始まった殺戮に

恐れおののき、ある事を決意するんです。


私はとことん暗い作品中のたった一つの救い、

そんな気がしてほっとしたんですけどね・・


一応元の西部劇「許されざる者」も観ましたけど、

こちらはさすがアメリカン、と言う作りで、

日本版と比べると情緒も深みも無いような気がしました。

私の感想とは真逆のレビューもあったりして、

あぁ色んな考えがあるんだなと。


重厚な叙事詩的な長編を読み終えたような、

そんな深い満足感で映画館を後にしました。


毛皮反対の絵本です、読んで下さい
http://moru.art-studio.cc/art/book.htm




 


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