ブログリオ -9ページ目

ブログリオ

オンラインゲームの雑記


 リンダの装備を一新。おしゃれになりました!(まだヘル装備だけどね)

こんばんは、ファグリオです。
妄想ストーリーズ「Songs Of Mothertree」、完結でございます!(パチパチ
右側のメニューからご覧ください。

さて、前回の大型アップデートからID関係が充実しております。
ログインイベントもあって、(放置も多いですが)接続率アップ中!

なのですが……
ベビパラ自体のイン率は少なめで、
たまに いおちゃん に会えるかな~っていうぐらい。

おれ、強くなる!
人がいなくても いおちゃん と90カルに行けるくらい強くなってやるぜ。
ペアで行ってやる!ペアで!超強化してやる!(誰を?)


年末頃にはみんなで遊べるかな~?

ありちゃ~ん おいでよ~

 


Songs Of Mothertree
~彼の歌人は斯くも語りき~

最終楽章
「決戦」

シュチュッツガルト、ドワーフの神官長ダイチルのもとに冒険者たちは集結しつつあった。
ドワーフ村を襲ったアースワーム・トラスケンの活動が確認されたからだ。
その場所はスパイン鉱山。ドワーフ村の事件以降、奴はそこに身を潜めていた。
棲処にてシーレンの力を蓄え、次の戦闘に備えているといったところだろう。

ドワーフの指揮官を中心に、彼らにとってはその報復戦は始まる。
もちろんドワーフだけではない。
正義の為、名誉の為、そして世界の為に戦うのは、人間、エルフ、オーク、カマエルもだ。
さらに討伐隊の中にはダークエルフの姿もあった。
それは血盟の管理下にある、身元のはっきりした連中。
とはいえやはりドワーフたちからの視線は冷たいものだ。
見知った顔はないかと、集結した冒険者たちを見回していると、反対におれを探している者もいた。

「ファグ兄ぃ!」
リーナだ。傍らにはりんごを伴っている。
「リーナ、りんご。どうした、アルカンを追い出されたのか」
そう聞くと、りんごは首を横に振り、「違うよ」と言った。
彼女にとっても「復讐」のための戦いなのだ。
ドワーフたちと共に戦いたいという彼女の思いが、この場所へと来させていた。
「……りんご、戦えるのか?」
「うん、戦うよ。このヒーラーの力で戦う。ファグ様を守らなきゃいけないから」
「心強いな」
それからリーナを見た。彼女は戦士ではない。
「ファグ兄ぃ、私はこのツガルにいるからさ。果たしてきてよ、成すべきことを」
おれは「ああ」とだけ返事をし、リーナと別れを告げた。

エルフ村で出会った槍のエルフを見つけ、そのパーティーへと加入した。
討伐隊は百名規模の大軍となり、スパイン鉱山へと進軍する。
その道中のことだ。
冒険者たちはまたしてもダークエルフの襲撃を受けることとなる。
隊中のダークエルフたちが一斉に視線を集めるが、彼らの手引きではない。
シーレンの眷属であるアースワームの討伐を阻止する為であることは明白だった。
おれはリオンの姿を探す。奴は必ずいるはずだ。
混乱の中、おれは小声でリンダを呼んだ。
「リンダ、またアイツが現れたら、りんごは平然ではないかもしれない」
リンダは頷くと、後方で支援に移るりんごに寄り添った。
弓を構え、次々と現れるダークエルフたちを狙う。

思わぬ戦闘に、指揮官たちも困惑していた。
シーレンの力が弱まっているこの時期に討伐を成功させなければならない。
この機会を逃せば次はない。力を蓄えたアースワームは、またどこかの村を食う。
指揮官の下した決断は、連合の分断。
半数は討伐隊としてスパイン鉱山に突き進み、残りの半数がダークエルフの追撃を防ぐ。
それが正しい決断かは分からないが、ともかくアースワームを倒さなければならないのだ。
おれたちのパーティーは鉱山へと向かうことが決められたが、そうはできなかった。

ダークエルフたちの中にリオンの姿を見たからだ。
「ゆたん、先に行ってくれ。決着をつけなければならない」
そう言うと彼女は頷き、槍のエルフを伴って先へと向かった。
「りんごも行かせた方が良いのではないか」
リンダがそう申し出るが、りんごがそうしないことをおれは知っていた。
「決着をつけなければならないのは、おれだけじゃないんだ」

しかし、これはどうやら良い状況ではない。押されている。
やはり連合を分断するべきではなかったのだ。
それどころか多くのパーティーがダークエルフの迎撃に足を取られ、先に進めない。
これでは討伐隊が少なすぎる。
スパイン鉱山にたどり着けたとしても、少ない戦力ではアースワームを倒すことができない!

そばで戦っていた人間のヒーラーがやられ、あっという間にパーティーは崩れていく。
まずい。まずいぞ、これは!

そう思ったとき、辺りを一陣の風が吹き抜ける。
同時に、「ファグリオ!」と呼ぶ声が聞こえた。
聞き覚えのある声、その主はベノン村で出会ったアルテイアのリオナだ。
突如として現れたリオナは、おれが交戦していたダークエルフを殴り倒し、すぐそばにつける。
「リオナ、遅かったじゃないか。女王が決断したのか」
そう聞くが、彼女の表情は優れない。
「女王の決断はまだか。仕方ない、おまえ一人でも十分だ」
「一人ではない。賛同する姉妹たちは先にスパイン鉱山へと向かった」
「そうしたいところだが、それを阻止しようとする奴らもいる」
「……アイツも、おまえの敵ということか」
リオナがそう言った先には、奴の姿がある。
変わらずに冷たい瞳でこちらを睨んでいるのはリオンだ。
「そうだ、アイツも敵だ。倒さなければならない。アイツも……敵なんだ」
おれの言葉に因縁めいたものを感じたのか、リオナの拳にも力が入る。

リオナを前衛とし、おれがそれに続く。
後方ではリンダが弓を構え、その隣ではりんごが攻撃に備えている。
磐石の体勢だ。他のダークエルフたちが集まってくる前に決着をつける!

まずはリオナが飛び込む。
続けざまに2発、3発と殴りつけ、リオンはそれを盾で防いだ。
直後におれが駆け寄ると、その進路を開けるようにリオナはステップし、後方へと回る。
おれの大剣による一撃はまたも盾で防がれたが、後方のリオナがその背中を捉えた。
格闘武器による連打がリオンを襲う。すぐには倒れない。
それどころかリオンは背後からの攻撃を受けながら、盾でおれを殴りつけた。
怯んだところに容赦のない剣撃が飛び、おれはそれをまともに食らう。
傷は深い。だが耐えられる。りんごの支援によるものが大きい。
おれはリオンの攻撃を受けながらも剣を振り上げ、リオナとの挟撃を続ける。
リオンにとっては窮地のはずだ。片手の剣でおれを、そして盾でリオナの攻撃を防いだ。
その窮地を救おうと他のダークエルフが駆け寄ってくるが、リンダがそれを牽制した。

もはや交わす言葉はない。
このシュチュッツガルトの地で共に戦ったあの日には戻れないのだ。
リオンがおれを打つ剣にためらいはなく、相手がおれであることを気にしてすらいない。
さらに、リオンはおれがヒールによって耐え続けていることに気づくと、標的を変えた。
その視線は確実にりんごへと向けられていた。
おれを盾で突き飛ばすと、リオンはその合間を抜けて駆け出した。
リオナが前方に回り込んで進路を塞ぐが、それを気にも止めず、リオンはりんごを狙った。
またあの見えない鎖だ。
それによって捕らわれたりんごがリオンの鼻先にまで引き寄せられる。
彼女の首元を掴んだリオンが剣を突きつけると、おれたちは動くことができなかった。
下手に動くと、りんごが殺される。

「……おまえ、何故ファグリオと共にいる」

その問いかけに、りんごは答えない。
いや、首を掴み上げられ、答えることができない。彼女の足は宙に浮いている。
痺れを切らしたリオナが怒号を上げながら攻撃を仕掛けた。
するとリオンは、盾を持つ片手でりんごの首を掴んでいることも気にせず、防御体勢を取った。
当然の如くりんごは大きく振り回され、それどころかリオナの攻撃をりんごで受け止めようとするほどだ。
リオナは攻撃の手を制止せざるを得なかった。

りんごがぐったりしているようにも見えた。
この危機的状況を打破するには「ある程度の犠牲」は支払わなければならない。
おれはリオンを挟んだ向こう側にいるリンダに合図をした。ただ頷いただけだ。
意思は通じ、リンダが弓を引き絞る。
そして、弓を上空へと向け、魔力を込めてそれを放った。
直接狙ってはりんごを盾に受けられる。それではダメだ。
リンダはスキルを使い、上空から無数の矢を降らせたのだ。
もちろんそれは、りんごにも、近距離のリオナにも降り注ぐ。
だが、確実にリオンにも命中させることができる!それだけでいい!
その一瞬の隙を突き、りんごが脱出を試みたのだ。
宙に浮いたその状態から瞬時にリオンの身体を駆け上がり、全身をバネに仰け反って逃れた。
すぐさまりんごは両手を突き出し、口元で小さく呪文を唱える。

ダークフォースの魔法だ。
りんごの両手から押し出された見えない力によって、リオンは後方へと大きく飛ばされる。
それを受け止めるのは、おれだ。
大剣を低く構え、一直線上にリオンを捉えると、こちらからも迎えに行く。
双方からの速度によって、大剣はリオンの背中から胸へと深く突き刺さった。
貫き、その切っ先はリオンの胸の遥か先まで達する。
これで決した。

りんごは両手で口を覆い、それから膝をついて座り込む。
リンダがその肩を支えた。

リオンは絶命してはいない。
息絶え絶えだが、それでもまだ生きていた。
おれはどうしていいのかも分からず、後ろからリオンの身体を支えた。
リオンの瞳は正面のりんごを見ている。
そして、口を開いた。

「りんご、俺を癒してくれ……」

その視線を受け、りんごは戸惑い、首を横に振るばかりだ。

「おまえもシーレンに誓いを立てたはずだ……」

「おまえはもうダークエルフの一員だったはずだ……」

「血の誓いを立てた仲間を裏切るのか……?」

おれは「やめろ!」と叫ぶが、リオンの言葉は止まらない。
殺せば止まる。貫いたままの大剣を片手で握った。
だが、おれもまたりんごと同じように、決断を鈍らせていた。
殺せない!
おれはリオンを殺すことができないのか!

「助けてくれ、りんご、おまえは俺を殺すのか……」

おれは歌を歌う。
ソングオブサイレンス、沈黙の歌だ。
リオンを殺さずに黙らせるには、もうこの方法だけだ。
周囲の空気が沈黙し、リオンが発する振動が停止する。
音が消えた。

エヴァはまだ去っていなかった。
おれの歌にはまだ力が残っていたのだ。

言葉を失ったリオンから、ゆっくりと大剣を抜く。
血が吹き出す身体を、おれは静かに横たわらせた。
とどめは刺さない……刺せなかった。
おれをじっと見るリオンは口を動かすが、それは無言のままだ。

シーレンが憎い。
仲間を討つ為に強くなったわけではないはずだ……

・ ・ ・ ・ ・ ・

おれたちはスパイン鉱山へと急いだ。

アースワームの棲処、目指したその場所へと到着するが、妙に静かだ。
辺りを見回すと先に行った仲間たちは、その半数以上が地に伏せている。
やはり連合を分断すべきではなかった。アースワームと戦うだけの戦力が足りなかったのだ。
アースワームは……見当たらない。どこだ。どこにいる。どこかにいるはずだ。
倒れた冒険者たちの合間を抜け、奥を目指す。

エヴァがまだ去っていないことを知ったおれは、手始めにソナタを歌に乗せて歌った。

リオナを先頭に、静けさの漂う洞窟を進んだ。
「大丈夫か」
倒れ込んだ戦士のひとりに声をかける。
りんごが彼を癒すが、もはや彼は戦える状態ではなかった。
身体の一部がアースワームの餌となったのだ。
「待っていろ、終わらせてくる」

さらに進むと、その奥に討伐隊の集団を見つけた。ドワーフの指揮官を中心とした本軍だ。
しかしそれはあまりにも数が少ない。そしてその誰もが傷を追っている。
駆け寄ろうとしたおれたちに、指揮官は「動くな!」と叫ぶ。
それと同時に、洞窟の天井が砕け、アースワームが姿を見せた。
緑色の巨体。あまりにも巨大だ。こんな奴を本当に倒せるのか。
「突撃!」という合図と共に、討伐隊は攻撃を開始する。
おれたちもそれに続いた。本軍とは反対の後方から攻撃を仕掛けた。
「行けい!もう少しじゃ!一気に攻めるんじゃ!」と指揮官のドワーフが叫ぶ。
さすがは老練の戦士、指揮官でありながら先頭に立って戦っている。
その姿は頼もしく、指揮する彼の声によって、誰もが奮起した。

しかし、その次の瞬間だ。
アースワームが巨体を地面に叩きつけ、ドワーフを含めた本軍が下敷きとなったのだ。
おれは目を疑う。全滅したのか?今の一撃で。嘘だ、そんなはずはない。
アースワームがゆっくりと身体を持ち上げると、その影の下は無残なものだった。
ドワーフの指揮官も立ち上がれない。おれは彼と視線を合わせた。
すると指揮官は力強く目を見開き、叫んだ。血を吐きながら、命の限り叫んだ。

「戦え!若造!とどめを刺すんじゃ!!」

おれは両手でしっかりと大剣を握り、アースワームを睨む。
隣ではリオナがおれの呼吸に合わせ、タイミングを計っている。
「リオナ、リンダ、一気に攻めるぞ。30秒で終わらせる」
隣のリオナがコクンと頷くと、おれは巨人の言葉でバトルラプソディーを歌った。
おれが走り出すとリオナは先を行き、一瞬でアースワームにまで到達する。
何度も殴りつける。おれも大剣を叩きつけた。
本軍が潰えた今、アースワームの標的はおれたちのみ。奴はこちらを向いた。
「リオナは後方へ回れ!」
そう指示を出すと、彼女はおれの視界から消えた。
さて、おれは正面だ。どうする。重装備を着込んでいるとはいえ、耐えられるはずはない。
だが、おれが囮となってでも、リオナをやらせるわけにはいかない。
リオナはおれよりも遥かに強いのだから。

アースワームはおれを狙い、攻撃を開始した。
また全身を使ったボディスラムによる攻撃だ、おれはとにかく走り、間一髪で離脱する。
だが、アースワームを向き直った瞬間、その巨体がこちらへとうねり、おれを襲った。

「ファグ様!」
りんごが叫んだ。
何かの魔法をもらった。その瞬間におれの身体が青く輝き、光に包まれる。
おれはアースワームの攻撃の直撃を受けたが、無傷だ。命拾いした。
それでもおれは飛ばされ、ごろごろと転がる。
しまった。おれはアースワームの視界から外れている。
奴の標的は今まさに、後衛のふたりへと切り替わった。
リンダとりんごを押しつぶそうと、アースワームは巨体を持ち上げる。
「逃げろ!」
リンダは攻撃を停止し、すぐさま小柄なりんごを抱き上げる。
ベロシティアボイドのスキルによって急速で後退し、なんとかその攻撃範囲より逃れた。
おれは胸を撫で下ろすが、これは良い状況ではない。
りんごのヒールも届かない場所に、取り残されたのだ。
そしてアースワームはゆっくりと身体を持ち上げ、ギロリとおれを見る。
「嘘だろ……!」
おれの目の前でアースワームが巨大な口を広げた。
押しつぶすのではない。おれを食おうとしている!!
動けない。間に合わない。逃げられない!
大剣を構え、待ち受ける。これはどうなる……無理だ。どうにもならない!
アースワームの大口が襲い来る。
「くそっ!」
おれは思わず目を閉じる。
だが、目を閉じる瞬間、激しい風がおれへと吹き当たる。
目を閉じるのを止めると、眼前にリオナの姿があった。
ベノン村のときと同じように、おれは顔面にハイキックを食らい、吹っ飛ばされる。
そして、その瞬間、リオナが食われるのを見た。

「リオナーーーッ!」
……リオナが、リオナが食われた!
おれは立ち尽くす。ダメだ、勝てない。全滅する。
だが、目の前で仲間を食った魔物を逃してなるものか。
大剣を握り、おれは無謀にもアースワームへと立ち向かった。
「うぉおおーーッ!」
大剣を振りかぶり、一撃を加えようとしたとき、それよりも早くアースワームが怯む。
なんだ。何が起きている?

アースワームは声を上げてまだ怯んだ。
「!」
おれは気づいた。
リオナだ。リオナはまだ生きている。
食われてもなお、その内側から攻撃を続けていた。

おれはリオナに全てを託し、ブラッディーレクイエムを歌う。
その効果によって、敵の血を浴びてさえいれば、息絶えることはない。

再び駆けつけたリンダと共に、攻撃を合わせる。
最後の攻撃だ。
のたうつアースワームを追い、おれも大剣を打ち続けた。

するとアースワームがビクリと動きを止める。
何かが起きている。
その体内を駆け回っていたリオナが、何かを見つけたのかもしれない。

「……リオナ!行けええーッ!!」

・ ・ ・ ・ ・ ・

その一撃によって、アースワームの心臓を砕いた。
アースワームは倒れ、リオナは帰還する。
体内より抜け出た彼女は血まみれで、どこか朦朧としている。

りんごが駆けつけ、彼女を癒す。
おれは戦いの終わりを呆然と眺めていた。

「……これで終わったな、ファグリオ」
リンダに声をかけられ、おれはやっと詰まっていた息を吐き出した。
「いいや、まだ終わらない。シーレンを倒すまでは……世界樹は、過去は戻らない」
「過去は戻らない……か。ファグリオ、おまえは現在も、未来も嫌いか?」
「失われたものが多すぎる。故郷も、仲間も……。過去に戻りたいとも思うさ」
おれがそう言うと、リンダは少し寂しそうな表情を見せた。
「私は今この瞬間が好きだ、おまえと共にいる今が愛おしい」
そして、さらに続けた。
「過去に私はいないだろう?」
「そうだな。そう思うと悪くはない……現在も、それから未来もな」

・ ・ ・ ・ ・ ・

熾烈を極めたアースワーム討伐戦は終わった。
ドワーフ村の壊滅より始まった一連の騒動は一旦の収束を見せる。

りんごはリーナと共に古都アルカンへ戻った。
リオナはベノン村へと戻り、今回の件を女王セレニアに報告するという。
リンダはおれと共にいる。新たな戦いに身を投じるのだ。

戦いはまだ終わらない。
シーレンはどこかで息を潜め、また第二のアースワームが生まれるかもしれない。
世界樹もまだ枯れたままだ。エルフも、他の種族もかつての栄華とはほど遠い。
だが、おれは過去を振り返ることをやめた。

過去を取り戻すために未来へと向かう。
その先には、失われた犠牲者たちとて救われる世界が、きっとあるはずだ。

おれは進む。
仲間と共に新たな物語を紡いでいくことだろう。

……「世界樹の歌」を口ずさみながら。

・ ・ ・ ・ ・ ・

Fin.

・ ・ ・ ・ ・ ・

アースワームを討伐した後、地に伏した冒険者たちの救助活動が始まった。
りんごのMPはすっかり底をついたが、ポーションやスクロール、あらゆるものを使った。
失った命も多い。
だが、救えた命も多い。
何より討伐の成功によって、この先、失われずに済んだ命は数え切れないだろう。

彼女も無事だった。

「遅れてきて、それでいて倒しちゃうなんてね」

「ゆたん、無事だったか。良かった。まろちゃんは」

「激しく戦うものだから、槍が折れてしまったようだけど……」

「……彼が槍を砕くのは、いつものことだろう?」

「そうよね」


Songs Of Mothertree
~彼の歌人は斯くも語りき~

第六楽章
「少女」

「ベノン村」は美しい村だ。
木々の、草花の、そして風の匂いに満ちている。
辺りは静けさに包まれていた。

そう、静けさに包まれていたのだ。
話せる島で共に戦った人間たちは、すでに去った後だった。

ベノン村へと登る為の美しい橋にまでたどり着いた時、おれたちはアルテイアの少女と遭遇した。
アルテイアの少女は風のように、一直線に、はたまた鋭角的に駆け寄ってくる。
あろうことかその両手には巨大な格闘武器が装着されていた!
リンダが弓を構えようとするのを制止する。戦いに来た訳ではない。

ガキンッと響きながら火花が飛ぶ。
アルテイアは迷わずにおれを攻撃して来たのだ。それを何とか大剣の腹で弾いた。
リンダは弓矢でアルテイアを狙うが、その軽やかな動きに翻弄され、狙いをつけられない。
すると再び、おれを狙った一撃が繰り出された。
また大剣を使って巨大な爪を受け止めるが、今度はさらなる攻撃が襲い来る。
アルテイアが身体を大きくひねったかと思うと、おれは顔面にハイキックを食らった。
小柄な少女のような肉体からは想像できないほどのパワーに、おれは吹っ飛ばされる。
「ファグリオ!」
リンダが駆け寄り、彼女に支えられて立ち上がった。頭がクラクラする。
「情けない!弱い奴が何をしに来た!人間どもめ!」
アルテイアが声を上げた。おれは人間ではないが、それ以上に弱くなどないはずだ!
確かに今のは効いたが、それは認められない。
「効かないな。子どもに蹴られたくらいで」
「だったら何だ、その鼻血は!」
顔面を蹴られ、鼻血を吹き出していたことに気づいたものの、おれはまだ引かない。
「蹴りの瞬間だ。丸見えだったからな、そりゃあ鼻血も出るだろう?」
そう言うと、アルテイアは顔を真っ赤にして爪を振りかざした。
おれに対するヘイトが一気に高まり、一直線に駆け寄ってくる。
アルテイアはおればかりしか見ていない。
それを逃さなかったのはリンダだ、走り来るアルテイアを捕らえ、その勢いのまま地面へと倒れ込む。
オークに押さえ込まれたのでは、アルテイアとて完全に動きを封じられる。
おれはゆっくりと歩み寄り、その顔を拝んだ。
「戦いに来たんじゃない。少し前に人間たちがここへ来ただろ。話の分かる奴はいるか?」

暴れるアルテイアをリンダが抱え、半ば人質のようにして案内させた。
ベノン村へ入ると、その奥では女王セレニアがおれたちを迎える。
「ようこそ。風の都ベノン村に来た感想はどうですか」
「美しい村だ。手荒な歓迎だったが」
「リオナが失礼をしたようですね。彼女は気が立っているのです」
アルテイアの名前だ。
リンダの拘束を抜け出したリオナは、女王セレニアへとひざまずくどころかそっぽを向いた。
女王セレニアはその姿を見て微笑むと、視線をおれに移した。
「人間たちが来たはずです。彼らは何故ここにいないのか」
「闇の神と化したシーレンに立ち向かう為の連合軍、その話をいただきました。決裂しましたが」
「決裂?何故です」
「我らはこの地に降り立って間もない。状況も見えないまま即断すべきことではないのです」
確かに、一理在る。だが。
「今しがた、おれは攻撃された。状況も見えないままにな」
「リオナ、お謝りなさい」
女王に催促されると、リオナが膨れ面のままで小さく「ごめんなさい」と言ったように聞こえた。
いや、聞こえたとは言えない。が、まあいい。
「それで、人間は」
「連合軍は断りましたが、不戦同盟は結ばれました」
なるほど。
おれたちにとってはシーレンが悪であることは明白。
ドワーフ村のこと、話せる島でのこと、人間たちはそれも話しただろうが、セレニアは動かない。
賢明と言うべきか、腰抜けと言うべきか。
長話をする必要もないだろう。おれはあっさりと去ることを決めた。
すると、セレニアが言う。
「どこかの鉱山で、シーレンの眷属の活動が確認されたと聞き、人間たちは慌てて戻りましたよ」

鉱山、スパイン鉱山か。
シュチュッツガルトの辺りだとすれば……そのシーレンの眷属、ドワーフ村を襲った魔物だ。
確か名前は……「アースワーム」、そう言ったはずだ。
アースワームの討伐隊が組織されているとすれば、行かなければならない。
リンダと顔を見合わせると、おれはセレニアと軽い挨拶をかわし、ベノン村を出た。

「待って!」

追ってきたのは、リオナだ。

「……ごめんなさい」
小さくそう言った。わざわざそれを言うために追ってきたのだ。
「気にしなくていい、鼻血も止まってる」
「そうじゃない!セレニア様が動かないことだ」
予想外の言葉だ。静かに続きを待つ。
「隣の島もシーレンに襲われたと聞いた。もう他人事じゃないのに」
「そうだな。おれの村にも住めなくなった。ここも無事とは限らない。だから倒しに行くんだ」
「連れて行ってくれ!」
「ダメだ」
「女王に黙って出て行けば、おれが連れ去ったことになる。女王を説得できるのか?」
「…………」
それは難しい話だろう。
「おれはシュチュッツガルトの村に行く、討伐隊に加わる為だ」
「待ってろ、行くからな……きっと、アルテイアの大軍勢で応援に行く」
「待ちはしない。だが、期待はしている」

・ ・ ・ ・ ・ ・

ベノン村を出たおれは、リンダを伴って、エルフ村へと向かった。
何故エルフ村なのか。おれの故郷を彼女に見てもらいたかったというのもある。
あれからリンダとは少々親密にもなっていたからだ。

やはり、世界樹の力は感じない。
エヴァの力も感じない。ハイネスの神殿に行くべきだっただろうか。
おれはエヴァを探しに来たのだ。

古都アルカンに避難しているりんごのことだ。
りんごは「巨人の力」を得ながらも「シーレン」の力を合わせ持っていた。
それが可能ならば、おれにだってできるはずだ。
「イースエンチャンター」でありながら「ソードミューズ」でいられるはずだ!

おれは世界樹にもたれかかり、「世界樹の歌」を歌った。
リンダはおれに寄り添ってそれを聴いてくれていたが、やはり以前とは違う。
おれの歌にはもう魔力はないのだ。この声は無機質なものに聴こえるだろう。
今はもう無機質な「巨人の言葉」を並べたポエムやハーモニーしか歌えないのだ。

「世界樹の歌は、いくつある」

突然の声に、おれは歌うのを止め、目を開ける。
そこにはエルフの姿があった。長い槍を携えた男のエルフだ。
この場所で兄弟に会うとは珍しい、嬉しい限りだ。
「世界樹を称える歌は無数にある。数え切れない。兄弟の数だけ歌があり、木々と、花々の数だけ歌がある」
「俺はひとつしか知らない」
「ならばそれが君の歌だ」
そう言うと、彼は「そうだな」と頷いた。
そしておれと、不自然に連れ添ったオークの女とを見て、おれたちの行き先を察した。
「アースワームの討伐に向かうのか?」
彼はそう言った。どうやらこれはアデン中に広まっている、大規模な討伐戦になるはずだ。
「ああ、シュチュッツガルトへ向かっている。急がなければならないのだが」
「シーレンの力が弱まる周期を狙って攻撃を仕掛けるという話だ。君たちは誰の隊だ?」
「いいや、まだ連合には入っていない」
「それならば俺たちの隊に入るといい、人間の女性が盟主だが、少しは名のある魔術師だ」
「おれたちには何の伝手もない。頼らせてもらおう」

結局、エヴァの存在は感じられなかった。
おれたちはエルフ村を出て、あの旅立ちと同じ経路を辿った。
リオンと共に歩んだシュチュッツガルトまでの道のりだが、今は傍らにリンダがいる。

目指す先は、ドワーフ村を破壊したアースワームの討伐だ。
りんごの故郷を取り戻すための戦いでもある。
ふと気になった。命がけの戦いとなるが、リンダはそれでも良いのだろうか。
そう問うと、リンダはおれの目をじっと見ながら言った。

「私もシーレンが憎い、目的は同じだ。それに、今さらそんなことを言い出すのか?」

「……いや、悪かった。共に行こう、そばにいてくれ」


Songs Of Mothertree
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第五楽章
「訣別」

ダークエルフたちの襲撃によって、話せる島は混乱に陥っていた。
とはいえ、この村には冒険者達が集結している。防衛は容易いはずだった。

だが、ダークエルフたちの力は圧倒的。
おれも歌い、剣を振ったが、他の冒険者たちと同様、まるで手も足も出せない。
隣ではリンダが戦っていた。
「リンダ、おまえも大剣を扱うのか。てっきりローグか何かだと」
「私はオークだ。パアグリオはそれを認めない」
リンダは目の色を変えてダークエルフと戦っていた。
まさにそれはデストロイヤーといったところで、おれの歌がそれを後押しする。
やはり本職のアタッカーであるリンダは桁外れに強かったが、それでも届かない。
ダークエルフたちは何かが違う。
シーレンの力だ。神への信仰を捨てようとしているおれたちとは違って当然だ!

おれは戦闘の最中、なんと、敵の軍勢の中でリオンの姿を見た。
「リオン!!」
呼びかけるが、返事はない。
信じられなかった。シーレンに堕ちたのだ。
そして今、奴らの軍勢に加わり、罪なき冒険者たちを殺戮している。
「リオン!目を覚ませ!何をしているんだ!」
おれの声はようやく届く。
振り向いたリオンの瞳は冷たく、しかしその内部では何か邪悪なものが滾っていた。
「……リオン、悪の軍門に下ったか」
そう呟いたおれにリオンはフンと鼻で笑って返す。
駆け出したリンダがそのダークエルフを仕留めようと大剣を振りかざした。
するとリオンは片手に装着した盾でそれを受け止めると、反対で握った剣を振るった。
たったの一撃でリンダは打ち飛ばされる。致命傷だ。強すぎる!
リンダが倒された。おれでは敵うはずがない!
「目を覚ましてくれ、リオン!シーレンではダメだ、世界を滅ぼすことになる!」
必死の説得も空しく、リオンはまるで聞く耳を持たない。
「おれはエヴァを忘れ、巨人の力を手にする。おまえもそうするべきだ、シーレンのことは忘れろ!」
「……フン、巨人の力か」

「それは、これのことか?」

リオンがそう言った瞬間、おれは鎖に縛られたかのように拘束される。
そして、リオンがそれを大きく引くと、次の瞬間には彼の鼻先にまで引き寄せられていた。
おれは恐怖を感じた。

「去れ、ファグリオ。おまえを殺したくはない」

もはや以前のリオンではない。
おれは「訣別」を言葉にするように、彼の鼻先で口ずさむ。
ソングオブインボケイション、闇を払う魔除けの歌だ。
それが何を意味しているのかを理解したリオンは左腕の盾でおれを振り払う。
おれにとってそれは強烈な一撃だった。激しく飛ばされ、全身を打つ。
どうやら骨は折れたし、どこかしら出血もしている。
リオンは横たわったおれをしばらく見ていたが、やがて諦めたかのように視線を外す。
おれとリオンの友情は終わった。

いや、終わらない……
まだ終わらない。
おれが終わらせなければ……

これは内臓をやられた。
起き上がろうとしたおれは豪快に血を吐いた。
なんとか半身を起こし、おれは弓を取り出した。
卑怯だが、もうこれしかない。
おれならできる。リオンの頭部を一撃で射抜き、終わらせてやる!

矢を番え、弓を構える。

……ダメだ、狙えない!
標的がリオンだからではない。
単純に、おれは負傷している。標的を絞ろうとしても、照準が合わない!
「くそっ……」
大きくぶれる鏃をリオンに合わせられないまま、おれは矢を放とうとした。
すると、ピタリと手の震えが止まる。
おれの背中と、そして腕を、手を、弓を支えるのは、リンダだ。
「私が支え、私が狙う。おまえは魂を込めろ。殺意を込めろ!」
おれは頷き、リンダと息を合わせる。
そして二人の意志が「今だ!」と重なる。

ビュンと放たれた矢は一直線にリオンを襲った。
狙いは正確だ。寸分の狂いもない。確実に捉えている!

リオンの頭部に突き刺さる、その瞬間だ。
彼の瞳がギロリとこちらを睨んだ。
そして、リオンは盾を装着した左腕を持ち上げ、なんとその手で走る矢を掴み取る。

狙撃は失敗だ。視線が交錯する。
だが、リオンは表情を変えない。
まるで、おれを相手取ることすら意味のないことのように、すぐに視線を外した。
おれは絶望感に打ちひしがれ、動かない身体のままで、
冒険者たちを殺戮するリオンの姿を見ながら、徐々に意識を失っていった。

・ ・ ・ ・ ・ ・

おれが目を覚ましたのは、殺戮が終わって数刻が経った後だった。
リンダが命がけでおれをテントまで引きずってくれたのは知っている。
「……リンダ、無事か。殺されかけた次は、命を救ってもらったな」
「私は無事だ。それに、おまえを救ったのは私ではない。彼女だ」
リンダが見やった視線の先を見る。
おれは自らの目を疑った。
なんと、そこにいたのはドワーフの少女。そう、彼女だ。
「りんご!どうして……」
りんごはにっこりと笑顔を作る。
だが、その表情には見覚えがあった。それは本当の笑顔ではない。
何か様子がおかしい。
「それに、りんごがおれを救った……?」
すると、その疑問を打ち消すかのように、りんごは術を唱える。
おれの身体が温かい光に包まれる。癒しの力だ。
「りんご、ドワーフのおまえが何故そんな力を使える?何があった?」

「ヒーラーになったんだ。巨人の力だよ。私、運命を変えたんだ!」

おれは強烈な違和感を感じ、ふいにりんごを抱き寄せる。
すると案の定だ。そこに生まれたのは「嫌悪感」。彼女の中に「シーレン」を感じる。
「何があったんだ」

あれから、りんごはリオンと共に歩んでいたという。
おそらくはその過程でシーレンを信仰し、そして彼らに同行し、話せる島を訪れた。
エサギラ遺跡で巨人の力を手にした先にあったのが、この村での大虐殺だ。
そしてリオンと戦うおれの姿を見つけ、今に至るといった具合だ。
ダークエルフらの成したことは、まるでドワーフ村で行われたことと同じである。
彼女はシュチュッツガルドに続いて、また殺戮の材料とされていた。
りんごは大きく傷つき、その傷はヒーラーであっても癒せない。
何故なら、彼女の中には「シーレン」が存在しているのだから。

とはいえやはり「巨人の力」とは凄まじいものだ。
リオンがあれほどまでに強くなり、そしてりんごは今ではヒーラーなのだ。
おれはりんごの精神状態を気にかけながらも、その力を手にする決意をした。

・ ・ ・ ・ ・ ・

おれはダークエルフたちへの怒りの消えないうちに、エサギラ遺跡へと向かった。
大虐殺を生き延びた冒険者たちと共に、「巨人の力」を得たのだ。
おれがその力を手にし、「イースエンチャンター」となったとき、エヴァは静かに去って行った。
寂しさはあったが、おれも、その他の冒険者たちも、怒りに任せて前へ進んでいた。
リンダもその一人だ。
意外にも彼女は「ユールアーチャー」として覚醒していた。
パアグリオはそれを認めなかったが、巨人はあっさりとそれを受け入れたのだ。

リンダが大剣を捨て、弓に持ち替えたのと同じように……
おれは「歌」を捨てた。

・ ・ ・ ・ ・ ・

それからすぐに話せる島を離れた。
りんごを伴って、である。
向かう先はオーレン。アステリオス様たちが避難した先だ。
オーレンのマジスターより話を聞き、猟師の村近くのアンヘル滝へと向かった。
りんごは初めて見る光景に瞳を奪われていたが、その瞳はどこか曇っている。
やはり彼女が心配だ。
おれたちは少し急いでアンヘル滝の洞窟を目指した。
その辺りでは何故か精霊たちの力を感じられる。
そして、その力によって作られたワープゲートを抜けると、ひとつの「都」があった。

古都アルカン。世界樹を失ったエルフたちの安息の地だ。
世界樹にも似た桃色の大樹が幾本もそびえ、辺りには妖精たちが多く潜んでいる。
エルフ村によく似ている。アステリオス様が選んだのも納得できた。

「ファグ兄ぃ!」
新たな客人を囲む猫の住人たちの中から、リーナが飛び出してくる。
やはり彼女もこの都へ避難していた。
「リーナ、無事だったんだな」
「アルジエンも、カシエルも、みんな無事よ。それにファグ兄ぃも無事だった!」
「……ああ、満身創痍だが」
そう話している最中、リーナはすぐにりんごに気づいた。
「その子は?」
「見ての通り、ドワーフだ」
それから小声でつけたす。
「心に大きな傷を負った。彼女は戦うべきではないが、戦いに身を投じすぎたんだ」
「そう……、辛かったのね」
リーナはしゃがみ込み、りんごの表情をうかがう。
りんごは少し怯えたが、リーナのことはすでに話してあった。
「この場所くらいだろう、アデン大陸で安全なのは。彼女も避難民の一員に加えて欲しい」
「避難してきたドワーフもいるわ、きっと大丈夫よ」

不安は的中する。
おれの中にまだエヴァがいた頃に感じた嫌悪感を思い出した。
やはり、りんごの中にはシーレンが潜んでいるのだ。
受け入れられない。この古都アルカンの人々は、シーレンより逃れ、この場所にいるのだから。

おれはアステリオス様と会った。
エルフ村からオーレンへと手紙を届け、アルカンへの道を開くことに貢献したことは賞賛された。
だが、同時に、りんごを連れて去るようにも言われた。
やはり彼女の中にはシーレンがいる。
アステリオス様が言うには、「巨人の力」を得ることでマーブルへの信仰は捨てたが、
りんごはそれと同時に、いや、引き換えに、シーレンを信仰してしまっていたのだ。
「巨人」と「神」が共存している。言わば彼女は「エアロシリエンセイント」なのである。
おれはエヴァの力を失ったというのに……

「許さないわよ、そんなの!」
珍しくも、リーナが吠えた。
彼女は元々そうであったが、アステリオス様に対しての暴言である。
「ファグ兄ぃの友達を追い出すって?そんなの許さない。長老様でも、ネルファ様でもね」
決め手となったのは「だったら私も出て行く」という言葉だった。
リーナは強引に、りんごを住まわせることを推し進めたが、りんごにとっては居心地が悪いだろう。
おれが去った後のことを思うと、りんごも、リーナのことも心配ではあった。

・ ・ ・ ・ ・ ・

それから、おれは古都アルカンを離れ、新たな情報を得た。
話せる島の周辺に「新たな島」が姿を現したというのだ。それも突如としてである。
そこではアルテイアという神秘の種族が戦闘の準備を進めているというから一大時だ。
敵なのか、味方なのか、それが分からないからだ。

話せる島にて共に戦った人間たちは、「彼女」たちと接触すべく、「島」へと向かった。
ダークエルフが先に接触し、シーレンの側へと引き込むことなどがあってはならない。
彼女たちは味方であってもらわなければ。

おれは一旦、話せる島へと向かい、リンダと合流する。
そして東に向いて海を渡り、「島」へと上陸した。その先にあるのが「ベノン村」だ。


Songs Of Mothertree
~彼の歌人は斯くも語りき~

第四楽章
「暗殺」

話せる島、それは噂に聞いたことのある場所とは少し違っているようだった。

おれが島へと到着したのは、エルフ村を出てしばらく経った後のことだ。
まるで混沌に包まれた各地の悲哀を隠すかのように、そこは活気に満ち溢れている。

少し見渡すと、人間を始めとした冒険者たちで賑わっている。
オークにドワーフ、片翼の種族カマエルも見られた。
それからエルフも大勢いる。
見知ったエルフこそ少なかったが、ここにいるのは戦う意志のある兄弟たちだ。
そして、不思議なことに、そこにはダークエルフの姿もあった。

彼ら、話せる島へと訪れたダークエルフは、新たな力を得ることが目的だと話す。
今までのようなシーレンへの信仰で得られるものではなく、もっと別の力だ。
彼らはそれを「巨人の力」だと話し、人間たちはそれを得ることを「覚醒」と呼んだ。

おれもまた、その力を目指す一人に過ぎない。

他の冒険者たちと同じように、エサギラ遺跡を仰ぎながら島へと訪れたのだ。

・ ・ ・ ・ ・ ・

グランドマスターを名乗るリヴィアンというエルフを見つけた。
彼女はまだ若く、とてもグランドマスターとは思えない。風格も威厳もなかったからだ。
「もっと強くなりたいですか?」
リヴィアンはそう話しかけてきた。
どうやら彼女はこの話せる島にて、共に戦う同志を探しているらしい。
それから話を聞くと、おれは納得した。
多くのエルフは森を離れ、アステリオス様と共にオーレンへと向かったのだ。
若い彼女がグランドマスターを務めているのも仕方のないことなのだろう。

「もっと強くなりたいですか」と話した彼女の、その意味は難しいものだ。
強くなる、その為には「信仰を捨てる」ことが必要だという。
つまり、おれたちエルフにとっては「エヴァ」への忠誠を捨てるということだ。
リヴィアンはすでにそれを果たし、新たな力を手に入れている。

おれの脳裏によぎるのは、あの枯れ果てた世界樹の姿と、失われたドワーフ村だ。

隣ではオークの大将軍を相手に、若いオークたちも似たような話をしている。
彼らが信仰する神も、おれたちが信じるエヴァも……事実、シーレンに敗れたのだから。
話せる島に赴いた冒険者たちは、誰もがその道を選んでいた。

「ファグリオ、あなた自身が神となるの。その名をアデン中に響かせなさい!」

立ち向かわなければならない。その為には力が必要だ。
エヴァでは成し得なかった「抵抗」を続けるべく、おれは信仰を捨て、新たな力を求めた。

・ ・ ・ ・ ・ ・

力を手に入れるべく、エサギラ遺跡へと向かう。
その出発を翌朝に控え、おれは話せる島の村で小さな寝床を借りた。
村は冒険者たちであふれ、宿屋はどこもいっぱいだ。それにベッドの代金も高騰している。
おれが借りた寝床は、村の周辺に敷かれた小さなテント。十分だろう。

エサギラでは戦いが待っている。
剣の手入れもした、ソウルショットの残量も確認した。後は身体を休めるのみだ。
エコークリスタルを枕元に置き、おれは眠りについた。

そして、夜更け。
おれは「殺気」によって目覚めさせられることとなる。

「……我らの神、パアグリオを語る者め!」

「!!!」

おれは飛び起きた。いや、動けない!
何者かに馬乗りにまたがられ、身動きが取れない!
テントの破れ目から差し込む月明かりが、その何者かのナイフに煌く。
「悪に裁きを!」
まさにそれは喉元に突き立てられようとしている!
おれは両腕を十字に組み、迫り来るナイフを持つ腕を受け止めた。
なんて腕力だ。受け止めたつもりが、まだぐいぐいと迫り来る。
ナイフを受け止めることで、反対におれは両腕を塞がれてしまっている。
それどころか馬乗りにされたおれは動くこともできない。
唯一動くのは「声」。そう、おれが持つ最大の武器だ。

おれは歌をを口ずさむ。
「ソングオブヴェンジェンスを歌った。おれを殺すと、おまえもただでは済まない」
そう言うと、一瞬、ナイフを押し付ける暗殺者の力が緩んだ。
しかし一瞬だ。
おれはその次の瞬間に合わせ、暗殺者の腕を掴み、反対にナイフを自らに引き寄せる。
同時に顔を反らし、ナイフは枕元へと突き刺さった。

事態が膠着する。
「おれが何をしたってんだ!」
「我らの神の名を語る、その罪は許されぬ!」
ピンと来た。
「待て!待て待て!おれはファグリオだ、ファグリオ!おまえらの神とは違う!」
「ファ…グリオ……?ええい、紛らわしい!死ね!」
ナイフは地面に刺さったままで、今度はその大きい手でおれに襲いかかる。
「どうしてそうなるんだ!濡れ衣もいいところだ、パアグリオは罪もないエルフを殺すのか!」
暗殺者はピタリと止まった。
おれはやっと一息をつく。命のやり取りは寝起きにするものではない。

「……あんた、行政管理所にいたオークだな」

リヴィアンと話していたとき、近くにいたオークの女だ。間違いない。
おれの名を聞いて勘違いしたのか、それともこちらが紛らわしい話をしたのか。
ともかく理由は良い。自体はようやく収拾した。
「ほら、手を緩めろ。まだ首が絞まってる」
すると、ゆっくりと解放された。
「それから……どいてくれ。いくら女とはいえ、エルフのおれではオークをどかせられない」
おれはさらに「それとも」と付け加える。
「このまま朝までまたがっているか?それも悪くない。なら、音楽をかけよう」
枕元のエコークリスタルを動かすと、淡い光りと共に音楽が響く。
その灯りに照らされ、暗殺者の顔があらわとなった。
「ほう、朝までこのままというのも、悪くはないな」
やはり昼間あそこにいたオークの女だが、その緑の頬が赤らんでいるのが分かった。
オークとはいえ、照れている姿を見ると可愛いものだ。
「妙なことを言うな!本当に殺すぞ!」
「すまない」
いや、違う。そうじゃない。
「謝るのはおれじゃないだろう、それに本当に殺すつもりだっただろう?」

「……すまなかった。私の勘違いだ」

オークの女はやっとおれの腰の上から降りた。
彼女は名を「リンダ」という、若いオークだ。
リンダもあの場で「パアグリオ」への信仰を捨てることを宣告され、それを認められなかったという。
ナーバスになっているところへ似たような名前のおれが姿を見せたのだ。
かといって「殺す」という発想になるあたりがオークなのだろう。
ともかくおれは彼女を許すことにした。

オークと争っていても意味はない。
おれの敵は「シーレン」だ。

……「ダークエルフ」が敵だとは、まだ言いたくはない。



おれのその思いを断ち切るかのように、事態は急転する。

リンダと出会ったまさにその夜、ダークエルフたちが話せる島を襲撃したのだ。
他の種族たちが「巨人の力」を手にすることを阻止するかのごとく、おれたちを標的にして。

 あの覚醒から、4年……

 ありちゃん も レベル99 になりました。キャラ違うけど!(笑)


 こんばんは、ファグリオです。
 ありちゃんと、覚醒のときも一緒だったね~なんて話していたので……
 昔のSSを掘り出していたら、あれはもう4年も昔のことなのか。

 リネージュ2は、まだまだ新しいアップデートがあるようで、それも楽しみですね!

 ゆたんとおそろいの「ベビパラ学園」の制服。 カワユスハァハァ


 りんごちゃん は 新たな武器を手に入れたぞ!(……と、意気込んでノルニルに突撃するもwww)


こんばんは、ファグリオです。
なんだかブログを書くのも久しぶりになってしまいました。

ということで、動きのあったキャラクターの近況っ!


 チャ成金となったファグ様は、それを元手にアデナを増やして……
愛用のスラッシャーを+12にまで強化。防具も金色になりました。
でもソロ狩場も見つからないのでクラハンでの活動が中心ですね。
それから最近はデュアルのタイタンも育成してますが、まだ経験5%くらいです(笑)

エーレクエも全然進んでなくて、それなのに、ゆたん も まろちゃん もノック終わっててww
これはもう時間作ってヘルバウンド行かなきゃまずいな~w
と思いつつも腰が重いファグ様でした。。。


 ーナちゃんは釣り生活を続けていますが、最近はなんと!
エサギラ遺跡や産室、血沼などに出かけることもあります。
というのも、リーナちゃんのレベルが現在89なので、90にしておこうという計画。
そうしたら、いおちゃんと一緒にフォルスパにも行けちゃったりするかな~?

……ただ、おれ2垢でフォルスパ行くとしたら、リーナ と りんご?いける?ww


 っとも変化があったのは、まさかの りんごちゃん!
イース4構成で挑んだ90カルで散々な目に合ってしまったのがきっかけです(笑)
ほんともう、りんごチョー弱くてwww
一緒に行ってた しまちゃん がPOTがぶ飲みっていうね(笑)

倉庫に余ってた巨人DAIと赤チケ(R85)を使って、アポ武器をペタペタ。
それから、加工してたイモセットは崩したくなかったので、水耐性をペタペタ。
これで90カルくらいなら問題なくいけるはず!楽しみですね。

ちなみに、強化したアポ武器は、あえて選んだ「片手鈍器」です。
マイノリティ!レアリティ!こんなの持ってるの見たことない!(笑)
 武器加工も「ヒトデシギル」とよく似合ってますね。



飾る言葉は不要でござろう……





10,000カイモです。
イレブニのイベントから激運を発揮しています。

あなたが好きだからァ!

ということで、101回目のレベルアップを迎えました。
……と、書きたかったけど、レベルアップ自体は100回目ですね(笑)

ん~。レベルアップする瞬間の「ヨシ!」という感触を、もう100度も味わっているんですね。
もちろん激しい狩り中に気づかずレベルアップということもあったでしょうが……

思い返せば、「ファグリオ」もよく育ってくれたものです。

一応のところ、現段階では「最上位に近い」レベルであると言えると思います。
あとは装備だとかスキルだとかを整えればいいんですけど、アデナがないんです!(笑)

なので今後は、もちろんメインも動かしますが、
サブキャラの子たちを活動させる機会が増えることと思います。
楽しみ~^^





 念願の ありちゃん と デート!!!

……のはずが、ふたりともチャットに夢中で、りんごちゃんのお世話になりました。。。

ベビハンではチャット死なんて日常茶飯事なので、
というかむしろ、ヒールなんかで忙しいから黙っちゃうっていう方が認められておりません(笑)

私自身も「転がる」―復活→「起きる」というのも仕様のうちと思っているプレイヤーなので、
転がらないことに拘る必要もないかな~なんて気楽に思っちゃいます。
でもそれって例えば、おれがメインヒーラーでプレイしてるとしたら許せないんだろうな~。
だからきっと、ずっとヒラしてる いおちゃん は気にしちゃうんだろうな~(笑)


それから、11周年イベントにも積極的に参加しています。(11時のやつね)

すると、なんと!

 

りんごちゃんがグルーディンにてGETしました!

そして、その箱の中身は……

 

片手短剣でした。
うーむ。ローグいないし、片手というのがまた。
売ればアデナになるかな?売れるかな?


さらにその翌日、

 

という撃破直前のログが流れるものの、
まろちゃんは残念ながら幸運を逃してしまったようです(>w<;

おれももう1回当ててやるー!




さて、先月あたりからログインも少なくて、SSも全然撮ってないので、今日はここまで。

ノブログ「Songs Of Mothertree」、第四楽章はもう少し待ってね~。
楽しみにしていただけているなんて光栄の極みです。ありがとう~


Songs Of Mothertree
~彼の歌人は斯くも語りき~

第三楽章
「破滅」

シュチュッツガルト攻城戦は防衛側の勝利に終わった。
つまり、おれたちが加入していた「傭兵団」は負けたのだ。

おれはドワーフ村近くの採掘場で目を覚ます。
戦場で力尽きたおれを救い出したのは、りんごと共に戻ったリオンだった。
それは戦争が終わった翌日のことだったらしい。
城壁やゴーレムの残骸の中で、おれもよく命を落とさずにいられたものだ。

りんごはやはりゴーレム製造の技術に目をつけられ、
無理矢理に攻城兵器「シージゴーレム」を作らされたのだという。
軟禁状態にあった彼女をリオンが救い出し、一旦は戦場から離脱した。賢明だ。
おれを探すのは戦争が終結し、そして陽が落ちて後のこととなったのだ。
ともかく、仲間たちが無事で何よりだ。おれを含めて。

しばらくはシュチュッツガルトやドワーフ村からは離れた方がいいかもしれない。
おれとリオンは、りんごを伴ってゴダードを目指す。
もちろんおれは森へ戻るつもりではあるが、今はりんごが心配なのだ。
ドワーフ村の居室で拉致されたというのだから、今の彼女に落ち着ける場所はない。
そのはずなのに、彼女はずっとニコニコと笑っている。
強い心を持っているのだ。
そして、その彼女の頭の上には、矢が突き刺さったままの「りんご」が乗せられていた。

・ ・ ・ ・ ・ ・

ゴダード城の村、借りた宿屋で少しの期間滞在をした。
この村は良質な狩場に囲まれている。冒険者たちが腕を磨くには適した場所といえる。
おれも成長した。
ソードミューズとなり、やっとリオンに追いつくことができたのだ。

穏やかな時間も過ごした。
りんごは変わらずリオンを慕っているし、おれも彼女を大切な存在だと思っていた。
種族の違う三人ではあるが、今ではかけがえのない仲間であり、友人だ。
おれは次第に郷愁を忘れる時間が多くなっていることに気づく。
森の外でも「大切なもの」は見つかったのだ。
とどのつまり、おれとて村を出て行った兄弟たちと同じだったわけだ。

ゴダードでの暮らしは居心地も良く、三人で温泉地帯へと赴いたのは良い思い出だ。
予定よりも随分と長く過ごした。
アステリオス様は、ネルファ様は、リーナは、
カシエルは、リズラエルは、アルジエンは、……おれを心配していないだろうか。

おれは、どうだ。世界樹を心配しているはずだろう?
そのはずだ。今でも心配なのだ。
……だが、その母の影より外にいれば、キノコやゾンビのことも、あまり気にはならなかった。
我ながら薄情なものだ。

・ ・ ・ ・ ・ ・

とある夜、それは起きた。
影が落ちたその刻に、「破滅」が始まったのだ。

世界に何かが起きている。
おれの知らないどこかで、おれたちの知らない何かが起きている。
それはまるで風のように「死」を連れて、アデン大陸の全てに吹き渡った。

最初の一報は悲劇そのものだった。
ドワーフ村が巨大な魔物に襲われ、兵士たちは全滅、村は壊滅したという。
りんごは動揺を隠せず、いつもの愛らしい笑顔などひとつも見られない。
おれたちはすぐさまドワーフ村へと向かった。
ゴダード城の村のゲートキーパーはそれを止めたが、渋々とおれたちを転送する。

その光景は思わず目を塞ぎたくなるものだった。
村のあちこちで炎が燻り、兵士たちの亡骸はそのままの姿で横たわっている。
これがドワーフの焼ける臭いかと思うと、おれも吐き気に襲われた。
「ウィーフィー!」
りんごは駆け寄った。
ゲートキーパーのウィーフィーもその機能を停止させ、地に伏せている。
りんごが彼女の半身を起こすと、静かにゆっくりと目を開けた。
「ウィーフィー!良かった、すぐに直してあげる……」

「ニゲテ……ニゲテ、ニゲ……ニゲテ、ニゲテ」

壊れていた。

りんごは歯を食いしばり、涙をこらえる。
ウィーフィーは村の逃げるドワーフたちを次々と転送し、そして自らは力尽きていた。
ゲートキーパーは自身をテレポートすることができない。逃げられなかった。
「機械」であるウィーフィーは逃げようともしなかったのかもしれない。

「ニゲテ、ニゲテ……」

最後の言葉を繰り返すウィーフィーを抱きかかえ、りんごは彼女を直し始める。

するとウィーフィーは頭や腕をくるりと回し、意識を取り戻したように見えた。
立ち上がることはできない。
それでも動く片腕でりんごの肩に触れると、また「ニゲテ」と繰り返した。
「……ウィーフィー、痛いところは、ない?」
そう聞くと、彼女はコクリと頷く。そんなはずはない。満身創痍なのだ。
「皆を逃がしてくれたんだね……」
またコクリと頷く。
「ウィーフィーは優しいもんね……」
コクリと頷き、それからウィーフィーは顔を上げなかった。

おれとリオンは静かにそれを見守っていた。
彼女にしがみつき、大泣きをするりんごに、かける言葉を見つけられなかった。

「ファグ……」

リオンがおれを呼んだ。
振り向くと、神妙な面持ちで何かを告げようとしている。
次の言葉を待った。
「俺はダークエルフだ。だから分かる」
何が分かる?おれは言葉にせずに続きを促す。
リオンは少し詰まりながら、小声で言った。
「……我らの神、シーレンが復活した。これはシーレンの力に違いない」
ゾッとした。
言っている意味が分からない。
りんごも不安げな表情で彼を見上げ、その答えを求めている。
おれは強い口調でリオンを問い詰めた。
「リオン、おまえたちの神はドワーフを殺すのか!」
「知らない!おまえとてエヴァの何を知っている。それと同じだ。それに……」
リオンはまた言葉を詰まらせた後で「ドワーフだけではない」と付け加えた。

復活を遂げたシーレンは、自らの力を取り戻す為に「犠牲」を必要とする。
手始めはドワーフ、そしてオーク、エルフ、カマエル、それから、人間も例外ではない。

そう、シーレンの求める「犠牲」には、おれたちエルフとて含まれている。

おれはふと考えることを止め、無意識な状態で感じ取る。
いや、感じられない。世界樹を感じられない!
大量の汗が吹き出し、おれの表情は強張っていたのだろう。
りんごが心配そうにおれの袖口を掴む。

リオンが悪い訳ではない。それは分かっている。
だが、目の前にいるのはダークエルフ、シーレンを崇める種族だ。
おれの中にある「エヴァ」が滾るのを感じた。
それを察知したのか、リオンがおれの両肩を押さえると、おれはハッとし、我に返る。
「ファグ、おまえはエルフ村に戻れ。そうするべきだ」
「ああ……」
だが、ここはドワーフ村だ。ゲートキーパーも使えない。
すぐに戻ることは不可能だ。
シュチュッツガルトかゴダードまで歩かなければならない。

突然、りんごが大声で泣き始める。
そして、何を思ったのか、ウィーフィーを腹ばいにさせ、その背中から幾つかの金具を外した。
彼女を「分解」しているのだ。
「ウィーフィーの中にはテレポート装置が埋め込まれているの、それを取り出せば」
りんごは作業を進め、背中を開く。
ひとしきりその内部を見回し、表情が曇った。
「だめ……スターストーンのエネルギーがもう残ってない……」
ウィーフィーは幾人もの村人を転送させたのだ、無理もない。
エルフ村への足は絶たれた。

今まさに村は絶滅の危機に晒されているというのに!
このドワーフ村を襲った魔物が、次はどこを襲うか知れたものではない!

「いや、待て。あるぞ、スターストーンなら、ここにある!」
リオンが鞄の奥を探り、それを取り出した。見覚えがある。
あの日りんごに届けようとした「もう少しだけ」のスターストーンだ。
「待ってて。これですぐに転送できる!」
スターストーンを受け取ったりんごはそのエネルギーを抽出し、ウィーフィーの亡骸へと注ぐ。

おれはエルフ村へと飛んだ。
おれだけが飛んだ。
スターストーンのエネルギーは十分に足りていたはずだ。
だが、リオンはりんごと共にドワーフ村へと残った。

「……リオン、おまえは!」
「俺はダークエルフだ、おまえたちの森には立ちいれられない。……そう、宿敵、だからな」

転送の瞬間、それが「親友」と交わした最後の言葉となった。

・ ・ ・ ・ ・ ・

「ああ……ああッ!あああッ!!」

おれは言葉にもならない悲鳴を上げた。
世界樹が枯れている。その侵食は止められないほどの早さだ。
幹は黒く変貌し、その葉からは生命の力を感じられない。
母の表皮に触れると、冷たく、無機質だ。
寄り添うといつも感じられた温かさは微塵も残っていない。
終わりだ。
もう何もかも終わった。
これが絶望というものか。

「戻ったか、確か……」

その呼び声に、そちらを振り向く。
全ての人が避難したかと思っていたが、そこには一人の男が立っていた。
エルフではない。人間の男、見覚えがある。
いつもゲートキーパーの近くで「彼なりの商売」をしていた。村では珍しい他種族のひとりだ。

「何をしてる。知っているだろう、逃げなければ……」

おれはそう言葉を返したが、状況が上手く理解できない。
村には彼しか残っていないのだ。
誇り高きエルフたちは「枯れゆく世界樹」を見捨て、既に避難した後なのだ。
それなのに人間の彼だけが残っている。痛烈な違和を感じざるを得ない。

「何故、逃げない。人間のあなたは森に未練などないだろう?」
「いいえ、私はこの村が好きです。エルフが、そして世界樹が好きなのです」
「人間であるのに、か?」
「おかしいでしょう。ですが私は、あなたたちエルフを知ってしまった。高潔で、美しい」
「だがもうここにエルフはいないぞ。それに世界樹を慈しむような高潔はエルフなど……もう」

そう言うと、男は微笑んで返す。
「いるではありませんか、今、目の前に。血の気の引いた顔のエルフが」
「おれを待っていた?」
「あなただけではありません。この危機に村へと戻る全てのエルフをです」
男はエルフたちが村を去った後、ここへと駆けつけてくるエルフを導くために残っていた。
「何故、人間であるはずの……」
おれはまた同じ質問をしていた。

「人間だからです。エルフではなく、醜く、貪欲で、人間臭い……人間だからです」
男は話した。
10年ほど前、この村を訪れ、この地で仕事を始められたことは「奇跡」であると。
それはまさに「宝くじ」を当てるかのような奇跡だと、少し笑いながら話した。
彼はおれたちエルフの生き方に魅了されたが、それでも人間だった。

天命の短い人間だからこそ、「生」を重んじる。
そして、「情」や「想い出」などというものを大切にする。
彼は他のどのエルフよりも、この場所を離れられないでいたのだ。
それが彼の言う「人間臭さ」なのかはエルフのおれには理解できなかった。
だが、その彼を見て、確かに解ったこともある。
いつかリオンが言っていたように、もはや「種族」の時代ではない。
エルフであろうと、ドワーフであろうと、人間であろうとも。
いつまでもその「鎖」に縛られていてはならない。エルフの悪いところだ。

おれはアステリオス様の指令を受け、森を出て、どうやら「人間臭く」なってしまったらしい。

また世界樹を見上げる。
ひとつ、ため息をついた。

胞子の海よりの脅威から世界樹を守っていたことが馬鹿馬鹿しくすら思える。
あまりにもあっさり、止められないほどのスピードでそれが訪れたからだ。
おれはがっくりと膝をついて崩れる。
足元には黒く変色した世界樹の葉が散らばっていた。
そのひとつを拾い上げてみるが、それはすぐに粉々になり、形を留められない。

「兄弟たちは、無事に逃げ延びたのだな」

人間の男に問うと、彼は頷いて答えるが、すぐに「ですが」と付け加えた。
「私はその行き先を知りません。話せる島へ行くものと思っていたのですが」
……エルフの悪いところだ。種族の違う彼に「共に行かん」と申し出ることもなかったのだろう。
おれが兄弟たちの行動に呆れていると、男はさらに情報をくれた。
「アステリオス様は事態を予期し、以前より手を打っていたようですから」
「手を打っていた……?」
「ええ。若いエルヴンナイトをどこかへ向かわせたとも。噂ですが」

おれのことだ。
アステリオス様はシーレンの復活を予期し、先手を打っていた。
あの手紙、おれがオーレンへと届けた「手紙」がその行き先を握っている。
オーレンへと赴けば何かが分かるだろうか……
そう考えていたとき、また男が話しかけた。

「ドワーフやオーク、それから魂の島のカマエルたちの話も聞きました」

おれは次の言葉を待つ。
男はまるで、おれに道標を指し示すかのように、迷い無き表情で告げる。

「彼らはシーレンに立ち向かうべく、話せる島へと集結しつつある、と」

・ ・ ・ ・ ・ ・

おれは「話せる島」へと赴くことを決めた。
オーレンへ向かうのはその後だ。
まずは状況を把握したい。エルフだけではなく、人間や、オーク、カマエルたちからも。
その為には「話せる島」へと向かわなければならない。

とは言ったものの……

情けないことに、おれはまだ「世界樹」から離れられなかった。

全ての色が失われるまで、おれは立ち尽くし、己の無力さを、己自身に叩きつけた。