新型コロナ・ファクトチェック

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23Oct
- リマ・ライボウ医師と陰謀論
  Twitterやアメブロでも見かける「リマ・ライボウ医師」(Rima Laibow)。mRNAワクチンについて間違った情報を流したり、デマを拡散するのに動画が使われています。内容は以下の字幕を見てわかる通り、典型的な「陰謀論」です。拡散している動画の中には2009年にアメリカの著名な陰謀論者アレックス・ジョーンズと共同で作成されたものがあります。まもなくエリート層による間引き(密かな人口削減)が行われるという内容が含まれていて、その話を「著名な国家元首から聞いた」主張しています。しかも情報源については「守秘義務があるから話せない」という都合の良い言葉が添えられています。リマ・ライボウ医師はどんな人か「Rima Laibow」（リマ・ライボウ）で検索するといろいろな記事が出てきます。その中には2014年の記事が幾つかヒットします。当時、エボラ危機というのがあり、アフリカで発生したウイルスによって世界的に恐怖心が増大したことがあります。そうした恐怖感が募っている時期にリマ・ライボウ医師はエボラウイルスへの効果が実証されていない薬剤を医薬品として販売していました。ニューヨークタイムズは「公的機関はインチキなエボラ治療への警鐘を鳴らす」として記事にしています。Agencies Issue Warnings Over Bogus Ebola Cures (Published 2014)The World Health Organization and the Food and Drug Administration warn some makers of dietary supplements to stop claiming their products will heal Ebola victims.www.nytimes.com2020年になるとリマ・ライボウ医師は、今度は新型コロナにターゲットを変えます。彼女はコロナワクチンに関して間違った情報を流しますが、一方ではて「エボラ」のときにインチキ治療として警告されていた同類の薬剤を、今度はコロナの予防と治療に効くとして販売します。そして2020年11月には米FDAに「未承認の医薬品の流通」の疑いで告発され警告書が発行されています。Coronavirus (COVID-19) Update: November 13, 2020Coronavirus Updatewww.fda.govリマ・ライボウ医師や、共に陰謀論を広めているアレックス・ジョーンズの主張に対しては多くの若者は冷ややかに見ています。しかし日本のSNSで拡散されている様子を見る限り、彼らの流す陰謀論を真に受けている人たちが一定数います。世の中には陰謀論をビジネスにする人たちがいます。社会的な不安が多くある時、人は陰謀論的な考えに傾きやすきなります。しかし陰謀論ビジネスに乗っかることに何の益もありません。終わり
06Oct
- 「ワクチン接種」によって死亡者増大？
  日本の多くの都市で2021年の4月以降に多くの超過死亡（通常より多くの死亡）が出ました。以下のグラフを見るとわかる通り、特に大阪と兵庫では4月～6月の超過死亡は過去5年のグラフと比較しても際立って大きなものとなっています。この時期がちょうどワクチン接種を進んでいた時期と重なっているため、「ワクチン接種が進められると人々が死ぬ」という主張がSNS上で見受けられます。大阪・兵庫のグラフ本当にワクチン接種と関係して超過死亡が出ているのでしょうか？では続いて「茨城県」のグラフと比較してみましょう。茨城県の超過死亡のグラフ茨城県は大阪・兵庫のような超過死亡が発生していないことがわかります。大阪府は高齢者のワクチン接種率でワースト1位を争っていた場所です。茨城県が大阪府よりワクチン接種率が低いわけではありません。もしワクチンで人々が大量に亡くなっているとしたら、接種量に応じてどの都道府県でも同じように超過死亡が出ないと理屈に合いません。日本の超過死亡の地域差の理由ではなぜ地域によって超過死亡の差がこれほど多く見られるのでしょうか？以下は東京新聞に出されていた表の抜粋です。この表は自宅で新型コロナ陽性者が亡くなった件数を表しています。コロナ感染拡大の第4波（4月～6月）では大阪・兵庫で自宅での死亡が他より多く報告されています。この数字は医療ひっ迫した状態を示すものでもあります。医療ひっ迫が起きると、病院への搬送がスムーズに行われなかったり、医療現場のキャパシティーが救命への対応に追い付かづタイミングを失ってしまう場合があります。しかし同じ時期の「茨城」の欄を見ると自宅での死亡は0件となっており、コロナ感染者の数自体も少なかったこともありますが、医療ひっ迫の度合いも低かったと考えられます。この差は感染拡大時の間接的な超過死亡の数字にも影響していると考えられます。世界と比較するでは日本と同じようにすでに多くの人が接種している国の状況も見てみましょう。下のグラフはアメリカ合衆国の「超過死亡」のグラフです。パンデミックが始まって以来、常にオレンジのラインを越えて超過死亡が見られていますが、多くの人がワクチン接種を受けていた2021年2月から7月では死亡者が急激に減り、期間中最も超過死亡が少ない状態になっているのがわかります。アメリカではこの期間に日本の人口を上回る1億6千万人以上の人が接種を済ませているのです。以下のグラフは英国（イングランド）の超過死亡の推移です。米国と同様にワクチン接種が行われている期間に大きな死亡超過は見られません。むしろコロナ感染拡大の第一波(2020年3月～)と第二波(2020年10月～)の際に大きな超過死亡が見られ、ワクチン接種開始からは超過死亡がかなり抑えられているのがわかります。このように調べていくと、ワクチン接種による大量に人々が亡くなっているという主張は理にかなっていないということがわかります。以上参考URL東京新聞 [コロナ感染の自宅死、全国で119人　医療逼迫の実態浮き彫り]https://www.tokyo-np.co.jp/article/1098792020年 - 年間死亡数11年ぶり減　コロナ対策で感染症激減https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG228660S1A220C2000000/（2021年の死亡者の全体的な増加は2020年の減少分の繰り越しも関係しています）2021年 - 1~5月「超過死亡」17年以降最多　新型コロナ影響かhttps://www.asahi.com/articles/ASP8D4TBMP8DULBJ004.htmlUS Excess Death Dashboardhttps://www.cdc.gov/nchs/nvss/vsrr/covid19/excess_deaths.htm#dashboardExcess Death UK(England)https://www.euromomo.eu/graphs-and-maps
26Sep
- オーストラリア - 集中治療室43名中 42名がワクチン未接種なのに逆の話が拡散される
  Twitterで以下のような投稿を見つけました。日本語訳オーストラリア、シドニーからのとても重要な発表です。リツイートしてください。「一人を除いて全てワクチン接種者だ」動画を見ると途中で切られてはいますが「141名が入院していて」「一人を除いて全てワクチン接種者だ」と言っているように聞こえます。投稿主の「リツイートしてください」に答え応じて多くの人が拡散し、2ヶ月経った今でも拡散し続けています。動画の中のマカノティー博士(Mcanulty)の発言「all but one umm.. vaccinated, one person has just received one dose of vaccine.」これは確かに「一人以外はすべて(all but one)、ワクチン接種者、一人はワクチン1回受けただけです」という意味になり、患者すべてがワクチン接種者で、そのうちの1名がワクチン1回接種、そしてワクチン未接種は一人もいない、という意味にとれます。しかし one(ワン) という言葉が連続して出てくる文章で one umm un- がつながって言い間違えたようにも聞こえます。この記者会見には続きがありました。&amp;amp;amp;lt;br&amp;amp;amp;gt;言い間違いと思える表現について記者側からすぐに確認が求められました。記者：さきほど、集中治療室の人数に関して言い間違いがあったようですがワクチン接種者なのか未接種者なのかハッキリわかるように伝えていただけますか？マカノティー博士は明確な表現で内訳を伝えます。 43名が集中治療室に入っており、 42人がワクチン未接種の人で、 1人はワクチン1回の人です。さきほどの「all but one」の部分は「一人がワクチン接種者で、それ以外は全てワクチン未接種である」という点を言い間違えただけであるということです。「切り取られた動画」を最初に拡散した人は、この事実を知っているはずです。より奇妙になる彼らの主張最近はワクチン未接種の人が多く亡くなっている事が報道されており、その事実を否定することはさらに難しくなっています。それに対抗してか、反ワクチン派の主張はより奇妙なものになっています。例えば先日投稿された動画ではオーストラリアの反ワクチンの看護師がこう主張しています。ワクチン接種された患者はイベルメクチンで治療されています。それから退院して、他の人に「ほらワクチンが私を救った」と言います。彼らを救ったのはワクチンではなくイベルメクチンです。この看護師は、ワクチン接種の人にはイベルメクチンで救われて、ワクチン未接種の人には意図的に「人工呼吸器」が付けられ殺されていると主張しています。ワクチン未接種の患者で「人工呼吸器」を付けられる人が多くいるのは事実でしょうが、それは殺すための治療ではなくて救うための治療です。彼女が見たワクチン接種の人が人工呼吸を付けていなかったのは、たまたま軽症だったからでしょう。オーストラリアではイベルメクチンは寄生虫による感染症にのみ適用されています。Covid-19 に対しては効果を確かめる臨床試験でしか処方されていません。(*1)終わり*1 Fact Check-Australian hospitals are not treating vaccinated COVID-19 patients with ivermectin
17Sep
- ここまでするか反ワクチン。動画改ざん疑惑
  昨晩Twitter検索をしていたら、このような以下のような投稿を見つけました。（編集：日本語のツイートは現在削除されていますが、元の英語の投稿はこちらにありました。9/19現在)投稿者はマスク義務やワクチンに対して否定的なようで、3万人のフォロワーに「海外のコロナ関連の話題を」発信しています。この投稿は、すでに3,000件を超えるリツイートされていました。引用ツイートには「ワクチン打ってる人情弱すぎる。メディア信用しすぎ、調べたんか? 」「俺は間違っていなかった」などの反応と共にリツイートされています。わたしはこの動画を見てすぐに違和感を感じました。ビデオの様子を見る限りイスラエルの大きな病院で重症患者も治療している病棟のようです。わたしはコロナ重症患者に日々対応している医者で新型コロナワクチンの効果に関して間違った情報を発信している医者を見たことがありません。探せばいるかもしれませんが、割合で言うと限りなくゼロに近い印象です。それに対して、医師免許を持っていながらインターネット上で間違ったワクチン情報を発信している人のほとんどが、個人クリニックでコロナ対応などしておらず、標準的な医療とは異なる「〇〇診療」「〇〇医学」例えば「波動医学」など、さらに「サプリメント」を提供しているパターンに当てはまっており、ビデオにある医師とはかけ離れていたからです。それでツイートの元の投稿からインタビューされていた現地イスラエルの医師の連絡先を見つけて、メールで確認することにしました。思いのほかすぐに返信があり、そこにはこの医師が病院のアカウントから発信したツイートを参照するようにとリンクがありました。インタビュー映像にある医師のツイートヘブライ語で書かれた本人の言葉を訳すと次の通りです。コロナ病棟の副所長 Joseph Tchebiner博士から：病棟の患者の半数がワクチン未接種の人で彼らの症状はワクチン接種者と比較して、より重症で長引いています。ワクチンは命を救います。ワクチン接種を受けに行きましょう！ちなみに病床のベッドのワクチン接種とワクチン未接種の割合が半分と述べていますが、高齢者人口の9割以上がワクチン接種者なので、実際にはワクチンを受けていないと10倍の確率で重症化していることを意味します。そして問題は、先ほどの Twitter 投稿で記されていた「字幕」との違いです。Twitterの偽動画の説明医師談「ワクチンを接種していない人の方が病気になっている期間が短く、重症度も低いことが多いのに対し、ワクチンを接種済みの人の方が長期間に渡って感染状態が継続し、重症度が高くなる」実際の医師の説明ワクチン未接種の人の方が重症化しており、症状が長引いています。実際のインタビューの内容とは全く反対の内容で伝えているのがわかります。（ビデオでは主語が逆になるように一部をカットしています）恐ろしいことではないですか？事実とは正反対のことを投稿し、3,000回リツートされています。彼らは誰かが正さない限り、「ワクチンを接種すると重症化しやすく、入院が長引く」と信じ続けてしまうかもしれません。そして「他の日本人は騙されている。真実を知らないだけだ。」と思い続けるかもしれません。ツイッターの中を探すと一人のフランスの人が、この動画のオリジナル（切り張りされていないもの）を投稿してくれていましたので、確認用に再アップしました。テレビプログラムのオリジナル動画改ざんされた動画は画面の一部が映らないに工夫されていましたが、この番組のオリジナルの映像では左下に番組タイトルが映っています。そのヘブライ語を翻訳してみると・・・番組のタイトル「ワクチン未接種の災い | 反ワクチン派の一人、　ハイ・シャウリアン氏がコロナに倒れ、死す」このニュースはイスラエルでは他のメディアでも報道されており「傲慢さの終着。著名な反ワクチン活動家がコロナ死去」というタイトルにもなっています。Defiant to the end, prominent anti-vaxx activist dies of COVIDIn final post, Hai Shoulian rails against vaccination and virus restrictions, claims police tried to poison him: 'This is an attempt to wipe me out'www.timesofisrael.comよりによって、このニュースに関連した動画を反ワクチンのプロパガンダに使われてしまうのはどのような流れがあるのでしょうか？ソースを辿ってみると、反ワクチンの主張に使える過激な動画を掲載している怪しいサイトにたどり着きました。ファクトチェックが一切行われておらず、大手動画サイトでは削除されるであろうコンテンツが掲載されています。恐らく、この手の発信元はごく限られたもので、時には一人だけなのかもしれません。各国のSNSユーザーは、そのコンテンツを鵜呑みにし、自国の言語に翻訳し、SNSでアップします。またたく間にデマ情報は真実であるかのように拡散します。普通に考えれば「怪しい情報」なのに、なぜそれほど早く拡散するのでしょうか？反ワクチンにはまり込んでしまった人は、普段から「国も製薬会社も、大手マスメディアも真実を伝えていない」という意識があり、国や公的機関、大手マスメディアなどが提供している情報から内容が乖離していればいるほど、「やはり国（あるいはディープステート）は何かを隠している。日本人は騙されている」という確信を強めてしまい、素早く拡散するのでしょう。改ざんされた字幕の追加情報追加9/19このニュース番組はヘブライ語の字幕付きで公式FACEBOOK上にアップされていました。כאן חדשות - "הרעילו אותי": אחד ממובילי מחאת מתנגדי החיסונים חלה בקורונה - ומת | Facebookחי שאוליאן, ממובילי מחאת מתנגדי החיסונים, נפטר בבית החולים וולפסון לאחר שחלה בקורונה: "אני איש חזק, הרעילו אותי" Nov Reuvenywww.facebook.com公式の字幕を英語に翻訳すと以下のようになります。日本語に訳すと次のようになります。ワクチンを受けている人は症状がより短い期間で済み、また多くの場合により重度ではありません、ワクチンを受けている人と比べると彼らは当然のことながらより長く病むことになり、継続的でもっと重度になります。意図的に切り取られた動画では字幕が（ワクチン未接種の人は）症状がより短い期間で済み、また多くの場合により重度ではありませんワクチンを受けている人と比べるととなっており、主語の部分に本来は存在しない（ワクチン未接種の人は）という文言が挿入され、かつ次の文につながる部分の「ワクチンを受けている人と比べると」が意図的につなげてられ、そこでカットされています。追加情報　以上
13Sep
- コロナワクチンを接種された方は立ち入り禁止 - モリタツ眼科クリニック
  すごいお医者さんが現れました。新型コロナワクチン接種者はクリニックへの立ち入りができないそうです。院長先生が書いたものと思われる告知によると、ワクチンを打った人の皮膚から shedding（字義：放出）が起き、ワクチン未接種の人に悪影響があるといけないので、当分の間はワクチン接種者は診察しません、立ち入りも禁止とのことです。モリタツ眼科クリニックホームページの告知からこれにより、日本の人口の半分が立ち入り禁止になりますが、一方では日本中の shedding を恐れていたワクチン未接種者を迎え入れることができます。それにしても、どんな根拠でこのような奇抜な思想が生まれたのでしょうか？クリニックのサイト(9月13日)を見ると、まず第一に SNSで出回っている「ファイザー社からの警告文」なるものを信じているからのようです、その主張を見てみましょう。主張１．ファイザー公式文書によると接種者の呼気や皮膚から抗原が放出されている ①ファイザー製薬公式文書（PF-07302048（BNT162RNA-Based COVID-19Vaccines）Protocol C4591001）内に、要約すると、「接種者からの呼気や皮膚接触により未接触者へ抗原が暴露された場合は報告するように。」と記載されています。答え：間違いこの手のデマは海外でも一時期流れていて、多くのニュースメディアで誤読によるデマと否定されています。そしてワクチンによる shedding という主張そのものも間違っていることが証明されています。(英文1、英文2、英文3）日本語の記事では以下の中で取り上げられており、英文で書かれた文書の誤訳から発生したデマについての言及があります。「女性が不妊になる」「脳出血を起こす」新型コロナワクチンの“噂”を医師が解説（週刊女性PRIME） - Yahoo!ニュース　“新型コロナへの切り札”といわれ世界中で接種が進むワクチン。日本でもかなり接種数が増えてきたがそれに伴い、嘘かまことかわからない副反応などの噂も……。ワクチンの専門家が集まり、新型コロナワクチンにnews.yahoo.co.jpここでどのような誤読がされているか見てみます。ファイザーの英語の文章には、ワクチン接種者の「妊娠」について書かれた後に、接種者自身ではなく、医療従事者を含む第三者の「環境的(薬剤の)暴露[environmental exposure]」について書かれている部分があります。そこを誤読して、ワクチン接種者の皮膚接触[skin contact]が危険であるかのように解釈して発生したデマが今回のデマということです。モリタツ眼科クリニックは「接種者からの呼気や皮膚接触により未接触者へ抗原が暴露された場合は報告するように」とファイザーの文書に記載があると主張しています。しかしファイザーの文面は全くそれとは異なり、「（妊娠直前に）医療提供者や関係する家族が治験薬の吸入や皮膚接触によって（治験薬への）暴露があった場合」と書かれています。英文：Below are examples of environmental exposure during pregnancy:• A female family member or healthcare provider reports that she is pregnant afterhaving been exposed to the study intervention by inhalation or skin contact.AP通信の英文記事では以下のように説明しています。ドキュメントの"お決まりの"表現は"偶発的事故も含めてあらゆる可能性の暴露"も包含することを意図している。皮膚の接触による"暴露"は例えば薬剤を充満した注射器が破損した際に近くにいる妊婦の薬剤暴露が起きるような場合もである。また同じ記事では、治験プロトコル文書は多くの個所で、他の薬剤でも適用されるような共通の言い回しが使われており、例えば生のウイルスを含んでいるタイプのワクチンの場合も当てはまるような表現になるとも指摘されています。こうして「接種者からの呼気や皮膚接触」とは全く無関係な文面をとりあげて、”ファイザーはワクチン接種者の呼気や皮膚からの shedding を認知しているのに人々に知らせていない”というデマが作り上げられたわけです。２．平成29年度厚労行政推進調査事業はワクチンの shedding を認めている答え：間違いこの文書は遺伝子組み換え技術を使った「生ワクチン」あるいは「不活化ワクチン」を念頭に置いています。生ワクチンはウイルスそのものを使って生成されているのでウイルスの増殖に注意する必要があります。それに対して mRNAワクチンはウイルスそのものではありません。そしてウイルスやスパイクタンパクがウイルスに感染したかのように、気道で増殖されて出てくることもありません。ましては「皮膚」から飛び出してきません。３．上記１と２の理由でモリタツ眼科クリニックは今回の対応に至った以下がモリタツ眼科クリニックの主張です。 ①、②からファイザー社等に代表されるワクチン群は、治験中でもあり、接種されていない方に接種された方がどのような影響（shedding）が出るのか未だ不明だと言う事です。つまり、あらゆる面からの検証が必要でその結果の評価がまだなされていない、とういう事です。答え：間違いと間違いを二つあわせても正解にはなりません。先生は気持ちは誠実なのかもしれません。それでも間違いは間違いです。以下の主張は院長先生の緊迫感を感じさせます。　最近は正常性バイアス（≒自分は大丈夫と思い込む、脳の危険なメカニズム）の度を遥かに逸脱し、事態は急を要していると考えています。医師たちの中にも「度を遥かに逸脱した」バイアスが見受けられます。しかしデマに惑わされて陰謀論に傾く医者は全体と比較すると極めて少数です。わたしたちは奇抜な内容で「どこどこの医者が言っている」とか「どこどこの名誉教授が言っている」という話を聞くときに、その主張に対してはるかに大多数の「医師」や「名誉教授」が異なる意見を持っているということを念頭に置くべきです。終わり
10Sep
- 「新型コロナワクチンに警鐘を鳴らす医師と議員の会」の中村篤史医師
  「反ワクチン集会」記事の中にナカムラクリニック医院長の中村篤史医師の名前がありました。ここで言う「反ワクチン集会」とは「新型コロナワクチンに警鐘を鳴らす医師と議員の会」の記者会見のことで、彼らは「ワクチン接種に懐疑的な医師と議員の連携を図り」ながら「新型コロナワクチン接種の中止」を政府に求めています。中村医師は会見の中でワクチンについて、「リスクが少ないと言われるが、これだけ亡くなっている」と述べ「（死亡例には）ちゃんと理由があってメカニズムも分かっている」と分析に自信を示した、と上記の記事では述べられています。この医師がどうしてそこまで自信を持っているのか、その主張を調べてみました。検索するとインターネットで中村医師の書き記した「コロナワクチン死亡例集２」というのを見つけました。不安を煽る内容が満載です。どのような内容なのか見てみましょう。中村医師の記事の冒頭には上の「Rachel Haggerty」という人の悲痛な言葉が引用されています。日本語訳が次のように記されていました。「今、ちょうど友人からの電話で痛ましい話を聞きました。モデルナ製コロナワクチンの治験に参加した彼女の姪(2歳)が死亡しました。その小さな体のあちこちに血栓症を起こして。死んだんです。まだほんの２歳でした。私は反ワクチンではありません。決して、反ワクチンではありません。ただ、反人体実験であり、反強制ワクチンであるだけです。 “より大きな善(greater good)”のために無邪気な子供が死んでもいいはずがありません。そんな大義を私に押し付けないでください」とても痛ましい投稿内容です。早速「Rachel Haggerty Moderna vaccine」で検索してみました。するとすぐに「Did a 2-Year-Old in Virginia Die After Getting COVID-19 Vaccination?」（コロナワクチンを受けて2歳のバージニア州の子供が死んだのですか？）という記事を見つけました。そこを見ると、この投稿はなんとデマだと明らかになっているものでした。誰かが「ワクチン有害事象報告システム (VAERS)」にファイザー社製のワクチンでの有害事象の嘘の報告を入力し、後に削除されたものの、ネット上で噂が広がり、最後には上記の投稿に至ってました。元の VAERS に登録されたネタについては、そもそも当時（今でも）、ファイザー社は2歳の子供の治験は開始しておらず、あり得ない事象です。有害事象の嘘については、ファイザー社の12歳～15歳の治験の話題がニュースになると多くの人が 2歳の子供が対象になっていないこと気が付きました。15歳以下の子供たちへの治験は年齢が上の治験が終わってから次の段階の年齢層に下げていくのが普通です。面白いのは、最初は「ファイザーワクチン」に基づいた報告であったはずが、上の投稿からは「モデルナ」バージョンに変わっていることです。年齢を下げる治験について発表はあったものの、まだモデルナでも幼児の治験は開始されていない時期なのに。いずれにしても故意のデマ情報であることは明白で、明らかに反ワクチンの人が投稿しているのですが、なぜか「私は反ワクチンではありません。決して、反ワクチンではありません」と述べられています。アメリカにはワクチンに反対することこそ正義と思いこんでいるグループの人が一定数います。その中には自分たちの主張が優勢になれるなら理性や論理を簡単に超越できてしまう人がいることが、今回のVAERSへの嘘報告やFacebookの投稿から見えてきます。さて、この投稿の紹介の後に中村医師は読者にこう訴えます。まだ気付かないの？ワクチンのデタラメ。しかし、その前にSNSに流れているいい加減な情報を簡単に信じることの危険に気が付いてほしいです。続いて、中村医師はやはり心を揺さぶる内容（と思われる）情報に読者の注意をむけます。 Josh Lekach という人の Twitter の投稿画面のようです。中村医師はこの投稿の日本語訳を載せ、ご自分の感想を添えられます。「すごいニュースだよ！小児科の先生が新たなファイザー製コロナワクチンを僕の2か月の赤ちゃんにテスト試用してくれるんだって！」生後2か月の我が子がワクチン治験に参加することを喜ぶ親。ここまでくると、コロナ脳であるということは、単なる無知というよりも、立派な虐待であり、犯罪であると思う。「コロナ脳」という人たちがいるそうで、その人たちへの怒りの気持ちが伝わります。早速調べてみました。この投稿は Twitter の画面のようです。「Josh Lekach」で検索していましたが、案の定すぐに見つかりました。どうやらこの人は真面目なタイプの人ではないようでアンチゲイの投稿や「女は投票に行くな」と言った投稿が目立ちます。問題の中村医師が引用した「僕の2か月の赤ちゃんに」の投稿を見てみました。どうやら本当の息子の写真のようですが、どう考えても単なる「釣り」なのです。英文の内容そのものからしても釣りというのは想像は付きますが、投稿の流れを見れば一層明らかになります。英語が多少なりとも出来て、自分で調べようとすれば、すぐにでも釣りと判断できそうですが、中村医師は自分の心が揺さぶられたネタに対しては、そういう努力はしない人のようです。そして中村医師は次のように人々を断罪します。子供が犠牲になっている。僕はこれが一番許せないのよ。そういうのに比べると、大人がコロンワクチンで死んだどうのこうのというニュースは、特に何ということはない。その気になれば、ネットで様々な情報が手に入る時代である。大人なのに、そういう情報を自分で調べようとしなかった。それにしても不思議なのは、反ワクチンに傾倒した集まりが自浄作用が著しく欠けていることです。「ワクチン接種に懐疑的な医師と議員の連携を図り」ながら沢山の情報共有を行っているはずなのに、この投稿から5か月経っても「新型コロナワクチンに警鐘を鳴らす医師と議員の会」のメンバーは誰一人として中村医師に間違いを教えてあげないのでしょうか？だとすると何のための「連携」なのでしょうか？終わり参考URL:Did a 2-Year-Old in Virginia Die After Getting COVID-19 Vaccination?The claim is based solely on a dubious report from VAERS, the Vaccine Adverse Events Reporting System, a database that anyone can submit reports to that is frequently abused by ant…www.snopes.comFact check: No evidence that a 2-year-old died after getting Pfizer COVID-19 vaccineThe false claim that a 2-year-old girl died after receiving a second dose of the Pfizer coronavirus vaccine is based on an unverified VAERS report.www.usatoday.comワクチンは人体実験、皆殺し作戦…永田町「反ワクチン集会」彼らの主張とは（週刊SPA!） - Yahoo!ニュース「新型コロナワクチンに警鐘を鳴らす医師と議員の会」による記者会見が6月24日、東京都千代田区の参議院議員会館で行われた。会見前には医師390人、地方議員60人の計450人による「接種中止を求める嘆願news.yahoo.co.jp
09Sep
- ワクチン接種者のほうが感染死亡率（致死率）が高いの嘘
  ワクチン接種者のほうがコロナ致死率が高い英国の公式データを使った表題のデマがSNS上で流れています。中には医師免許を持つ立場の人で、恐らくはそれがデータの読み違いであるということを理解しながら、平然とデマを流し続けていると思える例があります。あるいは本人も本気で信じているのかもしれません。犬房春彦という医師で「ルイ・パストゥール医学研究センター／医師・医学博士」という肩書で抗酸化サプリメントの宣伝をしている人の例を見てみましょう。なお、「抗酸化サプリメント」で検索してこられた方は、厚生労働省の「抗酸化サプリメント」に関する情報をお読みになることをお勧めします。厚生労働省eJIM | 抗酸化物質 | 各種施術・療法 | 一般の方へ | 「統合医療」情報発信サイト「統合医療」情報発信サイトの「海外の情報（一般の方へ）」のページです。「「統合医療」情報発信サイトは、民間療法をはじめとする相補(補完)・代替療法*と、どのように向き合い、利用したらよいのかどうかを考えるために、エビデンス（根拠）に基づいた情報を紹介しています。決して個人の責任で実施するさまざまな療法を制限するものではなく、また特定の療法を勧めるものでもあり…www.ejim.ncgg.go.jpまた、ワクチンに関するデマを流す医師に関しては「ワクチンは人体実験、皆殺し作戦…永田町「反ワクチン集会」彼らの主張とは」をお読みいただくこともお勧めします。話を戻しますと、犬房春彦氏の 9月8日の動画で以下のような主張がなされていました。「英国における変異株調査技術短報21」によるとワクチン接種者のほうが致死率が高いと主張するYOUTUBE動画この動画の主張を要約すると50歳以上ではワクチン未接種者の致死率は 7.03% でワクチン2回接種は 2.05% なのでワクチンは3倍以上の効果が出ているが、これを全年齢層で比較するならば非接種者の死亡率はわずか 0.24% であるのに対し、ワクチン接種者の死亡率は 0.96% になりワクチン接種者のほうが4倍も死亡率が高くなる、というものです。さて、表面上は確かに表の中の数字を使って正しい結論のように見えるかもしれません。しかしこれは単なる数字のトリックで現実は全く異なるのです。数字のトリックを解明するどのようなトリックが隠されているのか、最近の厚生労働省で発表された日本のデータを使って説明します。厚生労働省の「年齢区分別の新型コロナウイルス感染陽性者数と死亡者数-年齢区分別のワクチン接種についても検証- (2021年７月)」のP5からこの表では年齢層毎の「死亡者 / 感染者」の値、つまり致死率がパーセントであらわされています。(*1)赤枠で囲った数字を比較してください。65歳以上の行ではワクチン2回接種者の致死率が未接種者よりも低い数字になっています。ところが「全年齢」のところを目を移すと 0.12% 対 0.58% で、なんとワクチン未接種者のほうが致死率が低いのです（ここがトリック）。では続いて青枠で囲った各年齢層で分けた部分を比較してみましょう。こちらでは全く異なる現実が見えてきます。青枠のそれぞれの致死率を比較すると、ほぼすべての年齢層でワクチン2回接種者のほうが致死率が低くなっていることに気が付くでしょう。例外は「60-64歳」の区分のところだけです。しかしよく見ると「60-64歳」のワクチン2回接種者の中では117名の感染者しかおらず、死者も1名だけであることがわかります。それに対してワクチン未接種者では感染者が3,098人もおり、死亡者も10人います。つまりワクチン2回接種した「60-64歳」は分母自体が117人しかおらず、そこに1名の死亡が出たため、致死率が「0.85%」という高い数字になってしまったのです。では犬房春彦氏が使ったトリックのように、年齢層で分けずに致死率を比較するとなぜワクチン未接種者の致死率が低く算出されるのでしょうか？ヒントは39歳以下の3つの年齢層の感染者の数にあります。数が抜きんでて多いことがわかります。合計すると「22,734+41,375+16,394=80,503」で8万人の感染者になります。未接種者の12万人の感染者のうちの8万人がこれらの若い年齢層に含まれています。この中にはワクチンを打ちたくても打てない人たちが大勢おり、どうしても「ワクチン未接種者」の感染者に入らざるを得ません。この年齢層の死亡率は高齢者に比べ大幅に低いため、ワクチン未接種者全体の致死率を大きく下げるわけです。さて、このようなトリックを理解しながら語っているのか、あるいは単に計算ができないだけなのか、いずれにしてもこのような事実を歪曲する動画を上げ続けるなら「サプリメント」の宣伝効果よりも、自らが語るサプリメントの「エビデンス」のほうに疑問が向けられて結局マイナスになるのではないでしょうか？終わり*1 厚生労働省のグラフの脚注を見ると死亡数は「HER-SYSデータ集計値」とあり集計時点では「7割程度」しか反映されていないとあります。最終的な死亡者数で計算すると致死率はこれより高くなります。参考URL（日本語）シンプソンのパラドックス（Simpson's paradox）とは？用語「シンプソンのパラドックス」について説明。主に層別の分割表において、グループ間に見られる相関関係が「全体でも成り立つだろう」と直感的に推測されるのに対し、場合によっては、全体では異なる結果になる現象を指す。atmarkit.itmedia.co.jp参考URL（英語）Case fatality and Simpson’s paradoxPublic Health England statistics do not show vaccinations increasing risks of Covid death.medium.comロイター：デルタ株によってワクチン接種者が未接種者よりも6倍死ぬ確率がある、はデマhttps://www.reuters.com/article/factcheck-delta-vaccinated-idUSL2N2OD2CJAPニュース：イングランド保健省レポートのデータでワクチンの効果性に誤解を与える投稿https://apnews.com/article/fact-checking-793436231953BBC：コロナ、ワクチン接種者が多く亡くなっているという誤解を与える主張についてhttps://www.bbc.com/news/health-57610998
05Sep
- ワクチン接種者のほうが感染者が多い、死亡率が〇〇倍も高いの嘘。
  mRNAワクチンの高い防御効果がリアルな世界の中でかなり広い範囲で証明されているにも関わらず、いまだに「どこどこの国ではワクチン接種者のほうが死亡率が〇倍も高いというレポートが出た」などの話がSNSなどで散見されます。これらの誤った情報のほとんどはワクチン接種者の比率あるいは年齢層による死亡率の違いなどの数字の背景にあたる部分を無視して表面的な数字だけを切り取って比較するために生じているものです。ワクチン接種率を無視して数字を比較するパターン（イスラエルを例に出す人に多く見られる）一つの例を説明します。現在イスラエルでは70代のグループでワクチン接種率が96.3％(2回以上は93.7%)になります。つまり70代でワクチン未接種の人は全体のうち3.7%しか存在しないということです。この高い接種率で重症者の人数を絶対値で比較するとどうなるでしょうか？ワクチン接種状況別の「重症者の数」を比較したグラフ(*1)水色がワクチン未接種のグループ、そして濃い緑色がワクチン2回接種のグループです。70～79歳のグラフを見てください。ここで高齢者になるほど「ワクチン接種した人のほうが重症者の人数が多い」という表面的な事実に直面します。では「ワクチン接種しても意味がない」という結論になりますか？では次のグラフを見てみましょう。これはさきほどの重症者の人数を「絶対数」ではなく、グループごとの「10万人の比率」で示したものです。重症者数の比率（10万人毎）を表すグラフ(*1)先ほどのグラフの「70～79歳」のグラフとは大きく変わり、水色のワクチン未接種者では10万人中420人の重症者が発生しているのに対し、ワクチン接種者のグループでは10万人中わずか18人という人数になります。優に95％以上の重症化予防効果を示しているのです。これはすべての年齢層で同じことが言えます。例えば40代ではワクチン未接種と2回接種済のグループを見ると10万人あたり重症者がワクチン未接種組は41人でワクチン組は2人です。やはり20倍(95％)の差が出ています（ただし80歳以上のグループでは効果が他のグループより落ちる）。日本の場合日本では2021年8月の40代50代のワクチン接種率は50％前後ですので、今の時点であれば40代50代は単純に重症入院患者の数を比べればワクチンの効果ががそのまま数字に出てくることでしょう。なぜならワクチン未接種と接種済がちょうど半々くらいだからです。ANN NEWSから東京都の8月死者数の内訳(*2)このグラフを見るとワクチン未接種が142人死亡でワクチン2回接種が14人となっています。10倍の違いが出ています。(イスラエルの情報更新 [追記*a参照])ワクチンの効果を否定しようとする人がいたとしても、実際のところいたるところのリアルな世界でワクチンの効果は証明されています。同じ mRNAワクチンであればどの国でもその効果は変わりません。SNS等で拡散される「表面上の数字のトリック」には騙されないようにしましょう。(*1) イスラエル保健省公式ダッシュボード（ヘブライ語）(*2) ANN NEWS 9月2日追記(*a) 9/10 の報道ではワクチン接種後5～6ヶ月で感染予防効果は落ちるものの、60歳以上の未接種者の重症化率は接種者より「9倍」高いとされています。https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-58510853
04Sep
- イスラエル - ブースター接種で死亡率上昇の嘘（犬房春彦氏 Youtube）
  「抗酸化チャンネル・犬房春彦（医師・医学博士）」というYoutubeチャンネルがあります。このチャンネルではしばしば新型コロナワクチンに関連して目を引くようななタイトルの動画がアップされます。多くは海外の文献を引用して何やらセンセーショナルな結論に視聴者が導かれるような内容で、動画の締めには抗酸化サプリメントの宣伝が入ります。この人がアップする動画は海外のレポートを客観的に提示しているだけのように見えます。しかし実際には文献が文脈を無視して引用されていたり、表面的な数字を使って視聴者を誤導しているものが含まれています。イスラエルでブースター接種により死亡率が上昇しているという主張「ワクチン接種と感染拡大。ブースター接種で死亡率上昇か？（イスラエル、モンゴル、インド）／犬房春彦（ルイ・パストゥール医学研究センター／医師」というタイトルの動画では 2:28 のところからイスラエルのブースターショットとコロナ死亡者の増加が関係しているかのように二つのグラフを比較しています。これだけ見ると視聴者はまるでブースター接種によってワクチン接種者の死亡率が上がり、ワクチン接種者の死亡率が以前より高くなったかのように錯覚するでしょう。しかし実際はどうなのでしょうか？以下のグラフは「イスラエル保健省」の公式のデータです。(*1)　2021年8月5日から9月2日の期間の60歳以上の重症者の推移をグラフにしたもので、ワクチン接種状況に応じて3つのグループにわけています。数値は各グループを10万あたりの人数で割って公平に比較できるようになっています。60歳以上の重症者の推移黄緑と濃い緑が「ワクチン1回接種」と「ワクチン2回以上接種」のグループです。そして水色のラインが「ワクチン未接種」のグループです。ワクチン未接種のグループでは8月中の1ヶ月の間に5倍も重症者の数を伸ばしています。それに対してワクチン接種者の重症化率は比較するとそれほど大きく上がっていません。イスラエルでは他の国と同様にデルタ株の置き換わりが起き、7月28日には全体の99％がデルタ株に置き換わりました。それに伴い初期のワクチン接種者で5か月以上経過している年配の人で一部感染者の増加が見られました。しかし、このグラフにはっきり表れているのは全体の感染拡大の中でワクチン未接種者の重症化がデルタ株の拡大に伴って最も増えているということです。しかしブースター接種に参加しているグループ（濃い緑のライン）では8月の2週目から抑制されています(*a)。このデータの動きはワクチン接種によってデルタ株が抑制されているというイスラエルの発表(*2 *3)と一致しています。*1 https://datadashboard.health.gov.il/COVID-19/general*2 コロナワクチン３回目接種で重症化を大幅抑制－イスラエル調査*3 イスラエル「新型コロナワクチンのブースターショット、2回目接種の4倍の予防効果」9月7日更新*a 9月7日現在、参照先1のイスラエル保健省ダッシュボードの参照したグラフは「重症者」ではなく「死者」の値を出すようになっていました。