「反ワクチン集会」記事の中にナカムラクリニック医院長の中村篤史医師の名前がありました。ここで言う「反ワクチン集会」とは「新型コロナワクチンに警鐘を鳴らす医師と議員の会」 の記者会見のことで、彼らは「ワクチン接種に懐疑的な医師と議員の連携を図り」ながら「新型コロナワクチン接種の中止」を政府に求めています。
中村医師は会見の中でワクチンについて、「リスクが少ないと言われるが、これだけ亡くなっている」 と述べ「(死亡例には)ちゃんと理由があってメカニズムも分かっている」と分析に自信を示した、と上記の記事では述べられています。
この医師がどうしてそこまで自信を持っているのか、その主張を調べてみました。
検索するとインターネットで中村医師の書き記した「コロナワクチン死亡例集2」というのを見つけました。不安を煽る内容が満載です。どのような内容なのか見てみましょう。
中村医師の記事の冒頭には上の「Rachel Haggerty」という人の悲痛な言葉が引用されています。日本語訳が次のように記されていました。
「今、ちょうど友人からの電話で痛ましい話を聞きました。モデルナ製コロナワクチンの治験に参加した彼女の姪(2歳)が死亡しました。その小さな体のあちこちに血栓症を起こして。
死んだんです。まだほんの2歳でした。
私は反ワクチンではありません。決して、反ワクチンではありません。
ただ、反人体実験であり、反強制ワクチンであるだけです。
“より大きな善(greater good)”のために無邪気な子供が死んでもいいはずがありません。そんな大義を私に押し付けないでください」
とても痛ましい投稿内容です。早速「Rachel Haggerty Moderna vaccine」で検索してみました。するとすぐに「Did a 2-Year-Old in Virginia Die After Getting COVID-19 Vaccination?」(コロナワクチンを受けて2歳のバージニア州の子供が死んだのですか?)という記事を見つけました。
そこを見ると、この投稿は なんとデマだと明らかになっているものでした。誰かが「ワクチン有害事象報告システム (VAERS)」にファイザー社製のワクチンでの有害事象の嘘の報告を入力し、後に削除されたものの、ネット上で噂が広がり、最後には上記の投稿に至ってました。元の VAERS に登録されたネタについては、そもそも当時(今でも)、ファイザー社は2歳の子供の治験は開始しておらず、あり得ない事象です。
有害事象の嘘については、ファイザー社の12歳~15歳の治験の話題がニュースになると多くの人が 2歳の子供が対象になっていないこと気が付きました。15歳以下の子供たちへの治験は年齢が上の治験が終わってから次の段階の年齢層に下げていくのが普通です。面白いのは、最初は「ファイザーワクチン」に基づいた報告であったはずが、上の投稿からは「モデルナ」バージョンに変わっていることです。年齢を下げる治験について発表はあったものの、まだモデルナでも幼児の治験は開始されていない時期なのに。
いずれにしても故意のデマ情報であることは明白で、明らかに反ワクチンの人が投稿しているのですが、なぜか「私は反ワクチンではありません。決して、反ワクチンではありません」と述べられています。アメリカにはワクチンに反対することこそ正義と思いこんでいるグループの人が一定数います。その中には自分たちの主張が優勢になれるなら理性や論理を簡単に超越できてしまう人がいることが、今回のVAERSへの嘘報告やFacebookの投稿から見えてきます。
まだ気付かないの?ワクチンのデタラメ。
しかし、その前にSNSに流れているいい加減な情報を簡単に信じることの危険に気が付いてほしいです。
続いて、中村医師はやはり心を揺さぶる内容(と思われる)情報に読者の注意をむけます。 Josh Lekach という人の Twitter の投稿画面のようです。
中村医師はこの投稿の日本語訳を載せ、ご自分の感想を添えられます。
「すごいニュースだよ!小児科の先生が新たなファイザー製コロナワクチンを僕の2か月の赤ちゃんにテスト試用してくれるんだって!」
生後2か月の我が子がワクチン治験に参加することを喜ぶ親。
ここまでくると、コロナ脳であるということは、単なる無知というよりも、立派な虐待であり、犯罪であると思う。
「コロナ脳」という人たちがいるそうで、その人たちへの怒りの気持ちが伝わります。
早速調べてみました。この投稿は Twitter の画面のようです。「Josh Lekach」で検索していましたが、案の定すぐに見つかりました。
どうやらこの人は真面目なタイプの人ではないようでアンチゲイの投稿や「女は投票に行くな」と言った投稿が目立ちます。問題の中村医師が引用した「僕の2か月の赤ちゃんに」の投稿を見てみました。どうやら本当の息子の写真のようですが、どう考えても単なる「釣り」なのです。英文の内容そのものからしても釣りというのは想像は付きますが、投稿の流れを見れば一層明らかになります。
英語が多少なりとも出来て、自分で調べようとすれば、すぐにでも釣りと判断できそうですが、中村医師は自分の心が揺さぶられたネタに対しては、そういう努力はしない人のようです。そして中村医師は次のように人々を断罪します。
子供が犠牲になっている。僕はこれが一番許せないのよ。
そういうのに比べると、大人がコロンワクチンで死んだどうのこうのというニュースは、特に何ということはない。
その気になれば、ネットで様々な情報が手に入る時代である。大人なのに、そういう情報を自分で調べようとしなかった。
それにしても不思議なのは、反ワクチンに傾倒した集まりが自浄作用が著しく欠けていることです。「ワクチン接種に懐疑的な医師と議員の連携を図り」ながら沢山の情報共有を行っているはずなのに、この投稿から5か月経っても「新型コロナワクチンに警鐘を鳴らす医師と議員の会」のメンバーは誰一人として中村医師に間違いを教えてあげないのでしょうか?だとすると何のための「連携」なのでしょうか?
終わり
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