「彩葉ちゃんってそんなんやから今まで友達いなかったんじゃないの?」って帰り道で言われた。去年の八月。ガラガラガラ、って寝静まった住宅街に台車が響いてる。「どうすんの?」って聞かれて「人ともっと喋る」って答えたら頷いてたからそれで合ってるんだって思った。自分が「普通」を分かっていないのか、普通を分かってない奴というキャラに無意識で応えてるのか、これってどっちが正しくて間違ってるのか、別にどっちも正しくないのか、黙々と歩いてるうちにだんだんどうでもよくなってぼんやり薄れてく。機嫌が良くなった君の「俺と一緒に頑張ろうね」って笑顔は狂い始めてた。怒鳴った後のお父さんの優しさみたい。あんまり良くないなって、信号変わるまでの間考えてた。


 会うたびに「困らせたい」って言ってくる人がいて、毎回嫌な気持ちになる。それってあなたしか楽しくないじゃん。「嫌です」って言っても曖昧に流しても無視しても真面目に説明してもその場を離れてみても全部ふざけてると思われる。急に肩を掴まれたとき感電したみたいに一瞬でフラッシュバックしたんだ。人のことどうでもいいからそんなこと出来るんだよ。何も知らないのに簡単に近寄らないで。「やめて」って言った私に「ほんとごめん!」と笑ってポンポン叩いた力が強くて痛い。あなたの無神経が全身を這ってきて最悪。


 夏休み中の約束だった短期バイトを途中で辞めた。小学三年生の生徒にこっそり身体を触られる回数が増えた。たかが子どもみたいな割り切り方できなかった。汗が止まらなくなって立ち止まってたらサボらないでと怒られた。キスしてきたり服の下から身体を触ってきたり胸元に突進すること、先生は発達障害だから仕方ないって言った。人生で二回目だ。仕方ない性欲って何だ。悪気がなかったら許さなきゃいけないの。二回目があったら三回目もまたすぐ起こるって思う。占いでよくある「そういう星に生まれたんだよ」みたいな言葉って気持ち悪い。チャリ漕ぎながら泣いたの結構情けなかった。どこ行ってもなんにもできない。子ども嫌いになってないよ。だから余計にさっさと乗り越えなきゃいけない。人の支えになりたいなって思うには全然準備ができてない。なんだかちょっと空回ってる。


 友達になりたい人に限って告白してくる。友達としての私じゃだめなんだって自己嫌悪のループ。誰も知らんような戦争映画の解説をしてるときの君の方がよっぽど面白かった。もうそんな風に喋ってくれないの。

 友達にもどろうよ。それとも最初から友達じゃなかった? 考え直してクレメンス、で合ってるんかな。慣れないくせに早口で捲し立てちゃって。顔色伺った君はもう何考えてるか分からなくなってた。電話越しに流れ星がぴかぴか光って。


 私のこと嫌いな人って見る目がある。乙女ゲームは攻略対象外のキャラほど魅力的なんだ。飲み会で好きなタイプを聞かれたときの答えを用意していて、こじれてるんかなって初めて思った。

 これ以上、他人が自分自身を嫌いになるきっかけになりたくない。なんか今度オセロとかしませんか。自立神経狂ってるからマスの中に上手く置けない。それでも友達でいてほしい。機材車が来るまであと10分。寿司打で培ったキモいタイピング速度で入力完了。