京都の学生マンション、直に西日が差す部屋でフローリングにぐったり伸びていた。みずみずしい左腕の真っ直ぐな傷跡。オレンジ色の光に包まれながら、冴えない一重まぶたを擦って初めて泣いたんだ。

 五年前のこと。死んだ方がいいなんて当たり前すぎて思い飽きていた。ダイソーの二階、人差し指でひとつひとつ鳴らして選んだ風鈴がきらきら揺れてる。じんわりかいた汗が傷に滲みていた。苦しみはいつも遅れてやってくる。すべての人間がただしく苦しむために。


 リスカ跡が治った。ベランダのアロエを何年も塗り続けていたらついに霞んで見えなくなった。癖でぱつんと切ってしまったアロエがお風呂上がりの手のひらで黙ってる。しんと冷え切る十二月の空の下、そうっと齧ったアロエは苦かった。でも君がすごく不味いこと、小学生のころから知ってたよ。リビングに戻ってゴミ箱にそいつをポイと入れる。だっていつもそうしてたから。あんまり見ないようにして部屋に戻る。こういうのに何も感じないようにしないと私は健やかに生きられない。一瞬だけ泣きべそをかく。綺麗な両腕で。苦くて美しい不器用な日々よ安らかに。