何時もご覧頂き有難う御座います。
何度も書いていますが、ギターの調整についてです。
職業上、0.01㎜単位のズレ・誤差が気になります。
一般的な人の最小単位はどれ位でしょうか?
0.1㎜位でしょうか?
そんな私なのでギターの調整に対して凄く大雑把な印象を持っています。
楽器商から「完璧に調整済み」と言うギターを買っても詰めの甘さを感じます。
良い例がフレットです。
弦高を下げて行ってビビリが生じるまで下げます。
完璧に調整されて居ればどのポジションでも同じくビビる筈です。
でも、そんなギターには出会った事が有りません。
そこで色々と試す事になります。
最初は泉温分野じゃないのでプロに任せます。
結果はイマイチです。
PLEKも試します。
0.01㎜の精度で計測仕上げとの謳い文句に期待します。
確かに過去最高の精度ですが、それでもイマイチです。
PLEKはフレットの頂部を平らに切削加工します。
故に、最後は人間の手で丸く仕上げます。
この作業でPLEKを台無しにする可能性が有るし、フレット頂部の仕上げにばらつきも出ます。
それでも計測データを可視化出来るのは興味深いです。
そこではフレット頂部と指板の歪み(曲がり)も計測します。
でも、フレット頂部が揃っていれば問題無いので、過度(不要)の計測とも言えます。
フレット交換なら理解出来ますが、それでもフレットを打ち込めば指板は歪みます。
フレットの無い状態で完璧な指板精度を作ってもフレットを打った時点で狂う訳で、あまり意味は有りません。
平らなフレットは嫌いなの。 | 無駄遣いは楽しいが、それでもやっぱり無駄遣い (ギターとその周辺) (ameblo.jp)
他人の手に委ねても結局満足・納得が出来ないので自分でやる事にしました。
一般的にフレットの擦り合わせは木製の当て板に紙やすりを張り付けて行います。
この時点で間違っています。
木製の当て板の精度に疑問が有ります。
工業界ではそんな精度の低い治具は使いません。
そこで砥石を使う事にします。
砥石は他の砥石と面を合わせて擦り合わせる事で略完璧な精度が実現出来ます。
これで研げば精度の高い仕上げが出来ます。
フレットは曲率が有るので、その具合に合わせるのは難しいです。
レベルは勿論ですが、頂部の丸さも大切です。
どんな高級ギターでも1弦側の端は頭が平らになっています。
これを注意深く綺麗な丸に仕上げると弦高をベタベタに下げた時でもバズが発生しなくなります。
弦高を下げて行くと1弦が真っ先にバズるギターが殆どだと思います。
この原因はこれです。
私は職業上金属の表面加工に熟練しているので可能ですが、一般的な人には不可能だと思います。
凄く優秀なリペアマンを探すしか無いです。
PLEKでもこのレベルは不可能です。
次はブリッジサドルです。
これの切り込みが合っていないと指板との距離(弦高)が揃いません。
専用のヤスリを使って合わせて行きます。
これも0.01㎜単位の仕事になります。
最後にナットの切り込み調整です。
この溝はどんなギターでも吊るしの状態では浅いです。
安いギターほど浅いです。
これも専用ヤスリで切り込みます。
後は誰でもやるネックのトラスロッド調整をしてオクターブを合わせれば完成です。
これらの作業は一回で終わらず、数回繰り返して詰めて行く事も有ります。
フレットは弦を張ると具合が変わるので、最後は弦を張ったまま砥石を当てる事も有ります。
ナットも一気にやらずに少しづつやる事も有ります。
やり過ぎたら秘密の方法で対応すれば問題無いです。
この様にして調整したギターはとても弾き易いです。
弦高はGibson Rで1弦F12:1.0㎜、6弦:1.2㎜位で音詰まり無く一音半チョーキングに対応します。
弦高が高く無いと弾き難いと言う人は別にして、多くの人は低い方が弾き易く感じると思います。
メーカーの推奨弦高は低い仕上げ精度に対応した物だと思います。
平均価格の低いメーカーは高い弦高を推奨しているのでそれと感じます。
フルアコはチョーキングをしないので1弦F12:0.8㎜、6弦:1.0㎜です。
この弦高で全く問題無い精度を達成しています。
調整が良いギターは気持ち良いです。
宜しくお願いします。