先日、懐かしい友人と再会した。「ご無沙汰しておりました」と互いに握手をし、お互いの変わらぬ風体を確認し喜び合った。
彼の行きつけの料理屋は決してミシュランに選ばれるような格式の高い店ではないが質の高い隠れ家的な小料理屋が多い。
その夜はあん肝や白子、焼き牡蠣など山海の珍味を肴に酒を酌み交わした。やはりここの料理も見事な出来栄えであった。
彼は M氏という。三歳年上だが 30年近くの付き合いになる。かみさんに出会う前からの友人で今も付き合っている数少ない存在だ。
M氏はどんな人だと聞かれたら、「ビートたけしのような天才的な話術をもった、安藤忠雄氏のような芸術家だ」と答えるだろう。好き嫌いがはげしく、モノの言い方も感覚的である。判断基準は好きか嫌いか。特に直感に優れている
料理屋の話題になったとき、私がある有名なミシュランがつくった三つ星の料理屋の話をしたら、彼はまったく意に介さず「ボクのナンバーワンは西麻布の○○だね。なぜならば・・・」と自分の基準で○○の魅力を語った。
彼は世間が一流だといってありがたがっているものを鵜呑みにしない。反対に、世間が二流だ、三流だ、と言っているものでも彼にとって素晴らしければそれが一流なのだと考えている。従って、レストラン格付けのホームページや本は決して参考にしないし、ネット書店での書評もまったく気にしないようだ。
以前に、「すごく美味しかった」と彼がすすめるラーメン屋に行こうとした。念のために「食べログ」などでチェックしたところ、全く評価されていなかった。だが、食べてみたら本当に美味しかった。
M氏は世間が一流といっているものを盲目的に一流と思い込んでありがたがるようなことはしない。M氏は空間プロデューサーとして昔から人気だが、そうした独自のスタンスが彼を彼たらしめているのだと思う。彼が全てをプロデュースし、経営をしている会員制レストラン(彼は居酒屋と呼んでいるが)が六本木にあるが、完璧さの中に彼独自の美学や遊び心が備わった「大人の空間」を作り上げている。
毒舌家の私を以って「素晴らしい店」と言わしめた出来栄えであったが・・・悔し紛れでM氏には「田舎娘なら簡単に落とせる店」と言う最高の称号を与えている。
今日はこの辺りでお別れしよう・・・




