昨年11月、当家の法要がありました。
最近は若い住職がみえます。
明るい性格で、世代の違う私とも話しを合わせてくださり、映画の話等を語り合いました。
住職の父親である現在の老僧は、映画について特に興味を持っておられ、お見えになった時はいつも映画の話をお聞きしました。
住職にお願いをしました。
「最近の作品で、老僧がこれはと言う作品を教えて頂けませんか。」
数日後、住職から手紙を頂きました。
そこに記されていた作品は、
「ボルベール<帰郷>」(スペイン)
「パラダイス・ナウ」(パレスチナ)
「善き人のためのソナタ」(ドイツ)
「それでもボクはやってない」(日本・周防正行監督)
でした。
老僧が私に、「この映画はよかった・・・・・・」
と言われた作品は、今まで私の知らない作品ばかりでしたので、私自身がファンでもあり、また話題になった周防監督の作品が書かれていたことに少し驚きました。
先週テレビで「それでもボクはやってない」を見ることができました。
痴漢冤罪の作品であることは知っていたのですが。
周防監督には、やはり良い意味でしっかりと私の想像を裏切られました。
主人公の身に覚えのない被害者からの訴えから始まる目まぐるしい展開。
まさか、まさかと信じられない方向へどんどんと進みます。
主人公がそのあまりの展開に戸惑い、怒りなどを感ずるように、見ている私自身も同じ思いで引き込まれます。
取調べ室、収容所、護送・・・・・友達、家族、そして裁判。
潔白である主人公、また家族を含めそれを信じる多くの人達の期待に反し、彼は懲役3ヶ月の判決を受けます。
このような犯罪をなくすため、現在の法律では確かな証拠の無い限り有罪とのこと。
我々を取り巻く法律は、我々を守る為のものであり、その方向性に異論はありません。
しかしその法律が万能で、また100%完全でしょうか。
法律を作った人。権力を持った人。一市民。誰もが同じ人間です。
鎧のない、組織に属さない一人の人間がどれほど無力なものか。
あらゆる立場の人々が、矛盾を補い合うことが出来たらと。
周防監督に、主人公を演じた加瀬亮君。本当にありがとう。
素晴らしい映画に出会えました。
また、老僧にも感謝です。
老僧が推薦されたその他の作品も、人間を深く追求した作品ばかりです。
是非鑑賞したいと思います。