親の介護を楽しむ極意 | 極上の人生を生きるためのヒント

極上の人生を生きるためのヒント

極上の人生を生きるとは、自己を修めること、夫婦を治めること、家庭を治めること、仕事を修めること、美を極め、精神的にも物質的にも豊かな人生を生きること・・・。
人生をより輝かせるためのヒントがここにあります。

皆さん、こんばんは!椎名です。

いつも読んでいただきありがとうございます。感謝します。


突然ですが、少々考えるところがあり、記事更新を明日で一時休止とさせていただきます。今までお読み下さっていた皆様、大変ありがとうございました。


下重暁子氏(作家)に学ぶ人生を生き抜くためのヒント・・・


NHK文化センタ‐でエッセイ教室を始めて二十年になる。


老若男女、実に様々な人がいる。


それぞれに家族がいて悩みを抱えている。


母親の介護のためにしばらく休む人もいる。


介護の必要がなくなった時、カムバックしてくる。


そんな時に書かれたある女性のエッセイの一つは、まず介護する側の自分がいかに気持ち良くいることが大切かを告げていた。


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庭の紫大根の花の群れに顔を埋め、胸いっぱいに香りを吸い込みながら、私は祈る。


「神様、今日一日、母に優しくいられますように」


認知症の出始めた母の朝食を作りに通っていたが、大腿骨骨折を機に自宅に引き取り、最後まで介護する覚悟を決める。


三度の食事、散歩、話の相手、それ以外のことも含め、ヘルパ‐に助けてもらっても、一日八時間以上を費やすので、仕事を中断せざるを得ない。


母は、最後に面倒を見てくれるのは兄夫婦と信じていたので、裏切られた思いで、彼らへの不満をいい続けていたのに、兄夫婦の前では一変してにこやかになる。


愚痴を聞くのが空しく、自分の人生が失われていくのが怖く、先の見えない暗いトンネルの中で、一、二年は不安で心が押しつぶされそうだった。


自分の時間や行動の範囲が、経験したことのないほど制限されていった。


これでは自分がだめになると思っていたある日、区の広報紙で着物の着つけを学ぶコ‐スの受講生募集を知る。


母が着物好きで、母の着物を譲り受けていたが、日常に着物を着る機会も余裕もなかった。


しかし一人で着物を着られたら別の世界が広がるかなと、小さな灯りが胸に灯る。


それまでは自分の楽しみで外出するなど皆無で、週二時間の講座を月四回、八ヶ月続けるなど無理だと思ったが、通えなくなったらやめればいいと、受講を決心した。


講習の日には母の介護は、ヘルパ‐や友人に頼んで、皆勤で講座を終える。


母の状況に合わせて、一ヶ月四回は自分の習い事で外出するようにした。


着物を着るために、公民館での茶道、香道、さらに講談までやってみた。


すると、自分の生活や心に変化が起きた。


稽古をする時間を生み出しているうちに、悩んだり不安を感じる時が減っていった。


お茶を点てている時の無の境地、心が穏やかで落ち着いている。


どんなに厳しい環境でもこういう心境を保てるのだと気づいた。


自分の気持ちに余裕が生まれ、母親に無理なく優しくなれた頃から、母親にも変化が生まれた。


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自分の心が母親の心に映ったと彼女はいう。


自分がイライラしていると、介護される側も敏感になってしまう。


自分の気持ちを快く整えておくことが大切であり、そのためには楽しみを持って生き生きしていなければいけないことを、彼女は自分の体験で学び、エッセイに書いてくれた。


逆境と思える時も、些細な楽しみが心の灯となることを知ったのだ。


辛い、いやだ、私はどうなるのかと不安を抱いて介護をしていては、負担にしかならない。


母親は晩年、表情も格段に柔らかく優しくなり、彼女への感謝の言葉をいい続けたという。


彼女が自分自身を楽しくしてやらねば、母親も快くはならないことに気づいたからだ。


自分を犠牲にするのではなく、自分をまず生き生きと楽しくするちょっとした工夫を生活に取り入れる、それが自分と介護される人をも救うことになるのだ。


(家族という病2/幻冬舎新書)


人生において幾度となく襲い掛かってくる逆境・・・。


避けて通りたいと思うものの中々そうはいきません。


しかし、その逆境は実は自分が体験したかったことなんだと思いを切ると心に余裕が生まれてきます。


心に余裕が出来ると、問題の奴隷にならずにすみます。


同時に解決策が多く生まれ、また“時間がない”という思考からも解放されます。


人間というものは不思議なもので、厳しい状況に置かれても、そこに楽しみを見い出すことの出来る能力を誰でも持ち合わせています。


しかしながらその厳しい状況を自分以外のもののせいにしてしまうと、問題の奴隷となり、いつまでたっても不安が消えることがありません。


いつもこの今という瞬間が完全であり最善・・・、そして自分が選択し、体験したかったこと・・・、このことを忘れないようにしたいものです。


今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。