Gibson J-160E のリペア | F-ROOTS ギターリペアマン 思いのままに・・

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読んでくれた方に何かが伝わればいいなと・・・

※テーマは全部「突発記事」で書くことにしました。(2011.10.20)

久しぶりの投稿ですみません。
(理由はあるのですが…)
 
Gibson J-160E をリペアした時の話を書いてみます。
詳しい方は御存じかと思いますが
J-45等と違いこちらはボディが合板で作られています。
(初期モデル?は単板でしたが、その後合板に)
 
仕様も独特ですよね
指板の後方にP-90を搭載し…
 
今回のオーナー様の要望点としましては
仕様からして生音が鳴りにくいのはわかっているが
そのうえで少しでも改善できないかな?」
という感じの話でした。
 
先に書いた通り、
ボディは合板で作られており
単板で作られているギターのような
ボディの反応は期待できないのが一般的。
アコースティックギターの場合
ボディはブリッジから受けた振動を増幅する仕組み
まかなっているのですが
その増幅機能は仕様で抑えてあるのがこのギター。
(勿論個体差はあり、また弾き込んで鳴る個体になっている
J-160Eも存在してます)
 
ならば今回のような話であれば
目を向ける点の一つとしては
ブリッジへの信号、振動があげられます。
回りくどい表現を止めましょう。
 
弦の振幅が十分か振幅が生きているか
振幅が減衰されてしまっていないか
そのような事に注意・確認しつつ
トラスロッドを使いネックの状態を理想な感じにし、
ナットを作り直し、
サドルの高さを調整し
ブリッジに到達するまでの弦振動を元気にして行きました。
 
この内容でギターは変化を見せてくれました。
オーナー様もその変化を感じて下さり
喜んでくれていたかと思います。
 
ロッド調整にしても
ナット作成にしても
弦高にしても
良い振幅を描く
ギリギリのところをついて設定しました。
という話になります。
 
 
そして、
今回の話の趣旨とは異なりますが、
今回の話を逆手に取って考えてみると
人によっては興味深い結論になるかもです。
 
例えば、
「弦高をかなり低めに設定したい」とします。
その場合、どんなギターを選ぶべきだと思いますか?
(これは完全なる正解ではなく一つのアイデアです)
ブリッジまでの振幅は小さいことが予想され
にもかかわらず
心地よい響きを求めるのであれば
ボディの反応が良いギターを選ばれてはどうでしょう?
という。
つまり、振幅は少ないのですが
その後の増幅機能で音圧をまかなうというようなイメージです。
(本当はもっと奥が深い話ですがさわりだけ)
 
私がリペアを始めた頃と比べても
求められるギターの設定は多種になった感じがします。
勿論、リペアマンは
出来るだけ実現に向け設定を試みるでしょう…
と同時に
ギター選びの段階からもう一歩踏み込んで考えたら
よりマッチした1本が見つかるのでは?
なんてことを少し寄り道して書いてみました。