マウンティングゴート
高いところに登りたがるのは
ぼくら山羊だけだろうか。
ニンゲンはぼくを「家畜」という。
「畜」には「養う」という意味がある。
ぼくはニンゲンに養われているワケだから
ニンゲンはぼくより
高い位置にいるというワケだ。
立っているニンゲンの目線は
馬よりも低いが
馬にまたがるニンゲンの目線は
馬よりも高くなる。
ぼくはそれを見上げて
ぼくも高い所に登りたくなる。
農場の柵や、水飲み場や
農場の馬の背にぼくは登る。
観光客が携帯を向けてパシャパシャやる。
何をしているのか分からないが
ニンゲンが下に見える。
ニンゲンに餌をやる立場に
なれたとしたら、
ぼくはニンゲンを家畜にできるだろうか。
遠くで雷鳴がとどろいた。
雨になりそうだ。
雷は背の高い方へ落ちる。
果たして、どちらに落ちるのだろう。
ぼくを抱いて納屋へと走るニンゲンは
ぼくがそんなことを考えていることを
たぶん知らない。
ぼくら山羊だけだろうか。
ニンゲンはぼくを「家畜」という。
「畜」には「養う」という意味がある。
ぼくはニンゲンに養われているワケだから
ニンゲンはぼくより
高い位置にいるというワケだ。
立っているニンゲンの目線は
馬よりも低いが
馬にまたがるニンゲンの目線は
馬よりも高くなる。
ぼくはそれを見上げて
ぼくも高い所に登りたくなる。
農場の柵や、水飲み場や
農場の馬の背にぼくは登る。
観光客が携帯を向けてパシャパシャやる。
何をしているのか分からないが
ニンゲンが下に見える。
ニンゲンに餌をやる立場に
なれたとしたら、
ぼくはニンゲンを家畜にできるだろうか。
遠くで雷鳴がとどろいた。
雨になりそうだ。
雷は背の高い方へ落ちる。
果たして、どちらに落ちるのだろう。
ぼくを抱いて納屋へと走るニンゲンは
ぼくがそんなことを考えていることを
たぶん知らない。

しゃれおつな毒針
目覚めてしまった。
もっと派手な模様にしたい。
もっとみんなに注目されたい。
そのエイは
そんなことを思うようになってしまった。
エサに気付かれないように
敵に襲われないように
砂や珊瑚に擬態するエイにとって
目立つことなどナンセンスだけれど
今まで見たことのない模様に擬態できる場所を
そのエイは探しに行った。
赤色。紫色。緑色。青色。
珊瑚は色々あるけれど、なかなか
「これ」というものが見つからない。
更に探し続けると、砂に埋もれた船があった。
船の中には、朽ちかけた骨があった。
複数のニンゲンの骨だ。
試しに擬態してみた。ドクロの模様。悪くない。
船倉のほうに、キラリと光るものがある。
近づいてみると、それは複数の金の板だった。
擬態してみたかったがふと気配を察し、
そのエイは物影に身を潜めた。
酸素ボンベを背負ったニンゲンだ。
どうやらあの金の板を探してるようだ。
そのエイはためらわず、
毒針でニンゲンをぶすりと刺した。
「邪魔するな」と言わんばかりに。
ニンゲンは驚いて、慌てて逃げていった。
毒針に付いた真っ赤な血が
毒と混ざって粘り気を増し
海水の中でゆらゆらと煌めいていた。
もっと派手な模様にしたい。
もっとみんなに注目されたい。
そのエイは
そんなことを思うようになってしまった。
エサに気付かれないように
敵に襲われないように
砂や珊瑚に擬態するエイにとって
目立つことなどナンセンスだけれど
今まで見たことのない模様に擬態できる場所を
そのエイは探しに行った。
赤色。紫色。緑色。青色。
珊瑚は色々あるけれど、なかなか
「これ」というものが見つからない。
更に探し続けると、砂に埋もれた船があった。
船の中には、朽ちかけた骨があった。
複数のニンゲンの骨だ。
試しに擬態してみた。ドクロの模様。悪くない。
船倉のほうに、キラリと光るものがある。
近づいてみると、それは複数の金の板だった。
擬態してみたかったがふと気配を察し、
そのエイは物影に身を潜めた。
酸素ボンベを背負ったニンゲンだ。
どうやらあの金の板を探してるようだ。
そのエイはためらわず、
毒針でニンゲンをぶすりと刺した。
「邪魔するな」と言わんばかりに。
ニンゲンは驚いて、慌てて逃げていった。
毒針に付いた真っ赤な血が
毒と混ざって粘り気を増し
海水の中でゆらゆらと煌めいていた。

一番モモンガ
森で一番背の高い木の
一番上につかまっていたモモンガが
半笑いで言い始めた。
「この木に住んでる俺らが一番アタマいいね。
森全体が見渡せる」
同じ木にいるモモンガたちが言った。
「そうだね。この木が一番」
しかし、
急降下してきたタカに
モモンガの一匹が連れ去られ、
他のモモンガたちは一斉に別の木に飛び移った。
森で一番枝の太い木の
一番太い枝につかまっていたモモンガが
半笑いで言い始めた。
「この木に住んでる俺らが一番賢いね。
枝が密集していて空から狙われにくい」
同じ木にいるモモンガたちが言った。
「そうだね。この木が一番」
しかし、木の洞に住んでいたアオダイショウに
モモンガの一匹が飲み込まれ、
他のモモンガたちは一斉に別の木に飛び移った。
背が低くて丸い木の
一番大きな実につかまっていたモモンガが
半笑いで言い始めた。
「この木に住んでる俺らが一番スマートだね。
大きな実がたくさんなっている」
同じ木にいるモモンガたちが言った。
「そうだね。この木が一番」
同族らが次にどの木に飛び移ったのか
わたしは知らない。
わたしはひとり、地上に降りたから。
モモンガの生き方から外れることは、悪だろうか?
もしわたしが危険な地上で
新しい生き方を見つけたら、同族たちは言うだろう。
「そうだね。地上が一番」と。
一番上につかまっていたモモンガが
半笑いで言い始めた。
「この木に住んでる俺らが一番アタマいいね。
森全体が見渡せる」
同じ木にいるモモンガたちが言った。
「そうだね。この木が一番」
しかし、
急降下してきたタカに
モモンガの一匹が連れ去られ、
他のモモンガたちは一斉に別の木に飛び移った。
森で一番枝の太い木の
一番太い枝につかまっていたモモンガが
半笑いで言い始めた。
「この木に住んでる俺らが一番賢いね。
枝が密集していて空から狙われにくい」
同じ木にいるモモンガたちが言った。
「そうだね。この木が一番」
しかし、木の洞に住んでいたアオダイショウに
モモンガの一匹が飲み込まれ、
他のモモンガたちは一斉に別の木に飛び移った。
背が低くて丸い木の
一番大きな実につかまっていたモモンガが
半笑いで言い始めた。
「この木に住んでる俺らが一番スマートだね。
大きな実がたくさんなっている」
同じ木にいるモモンガたちが言った。
「そうだね。この木が一番」
同族らが次にどの木に飛び移ったのか
わたしは知らない。
わたしはひとり、地上に降りたから。
モモンガの生き方から外れることは、悪だろうか?
もしわたしが危険な地上で
新しい生き方を見つけたら、同族たちは言うだろう。
「そうだね。地上が一番」と。
