仙台市内における道路混雑は東京などの大都市とほとんど変わらない深刻な状況。地下鉄等の公共交通機関の整備が不十分である仙台市においては、他の大都市圏と比較して自動車交通への依存度が高くなっているのかもしれない。
仙台市街部に入るとノロノロ運転を余儀なくされた。やっとのことで、江田の実家に到着すると薬医門造りの門は改修工事をしていた。おそらく、江田の父親が改修工事を依頼したのだろう。
トヨタヴィッツが黒色漆喰塀の前に止まっている。ポルシェをトヨタヴィッツの後ろに止め、車を降りてトヨタヴィッツに近づくと、運転席のドアが開いて、美しい女性が運転席から姿を現した。坂本綾香だった。
「今、着いたばかりなの。新しくトヨタヴィッツハイブリッドを買ったの。新車であなたのマンションに行ったんだけど。留守だった。あ 家に連絡した。怒られたけどね。は。は。は。」坂本綾香は悪びれる様子もない。
「私、車に乗ると衝動的に出かける悪癖があるの。以前、サッカーの中田選手の会いたくて、車で彼が住んでいる韮崎まで行ったことあるのよ。」坂本綾香は付け加えた。
「どうして、僕が宮城県にいるとわかったの?」江田は不思議そうな顔をして言った。
「あなたのfacebook見たの。江田さんの実家に行くんじゃないかと思ってね。」坂本綾香はこともなげに言った。江田は坂本綾香の言葉を聞いて、iphoneで自分のfacebookに被災地の写真をUPしたことを思い出した。
奈緒が二人で話しているところにやって来た。
「あら。綾香さん、どうして?」奈緒は、一瞬、驚いたような顔した。二人の美女が並んでいるのを見て、江田はあたりが一瞬明るくなったように感じた。
早速、江田はiphoneを胸ポケットから取り出して坂本綾香の父親に連絡。
「娘から連絡ありました。やっぱりそうでしたか。仙台に行ったんですね。迷惑かけてすいません。お嬢様育ちなもんですから・・」坂本綾香の父親は申し訳なさそう言った。
「心配なさらないで下さい。それにしても悪癖ですね。」 江田は軽い冗談を言うと、電話を切
った。