10月に見たのは?(なぜか下書き状態で未公開のままでした。失礼しました。)
亜人
あさひなぐ
僕のワンダフルライフ
猿の惑星 聖戦記
アウトレイジ・最終章
アトミック・ブロンド
バリー・シール/アメリカをはめた男
ゲット・アウト
の8作品。
亜人
本広克行監督が人気コミックを実写映画化。私はこの映画がかなり嫌いで、酷いものを見たな…とハッキリ自覚しているので汚く罵る可能性が高いです。Twitterには
大人の観賞には耐えられないツッコミどころの無間地獄。原作の面白さがまったく想像できないクソ脚本。役者の魅力がビタ一文感じられないキャラ演出のグダグダっぷり。「私はセンスのない監督です」とアピールするダサさが満載。これぞ本広克行の真骨頂!アクションも全然ダメ!駄作!
と書きました。他にも
「ゲーマーを悪い奴として描くのが好きな監督だけどおまえの描いてるのは下手なゲームみたいなリセット観だろ」「雑魚キャラの特殊部隊が馬鹿ばかりでアクションつまらなすぎ」「日本語としておかしい表現が多すぎ」「主人公がいきなり強くなるのおかしいだろ」「テロップがダサい」「綾野剛アホすぎ」「死んでも復活するという設定たけならまだしもJOJOのスタンドみたいな概念も上乗せするからボヤけてる」などなどをツイートに書き殴りました。本広克行という人物がまだまだ持ち上げられるようなら日本映画も捨てたもんだなと思います。★★★★★
あさひなぐ
乃木坂46メンバーが多数出演した薙刀映画。『トリガール!』の英勉監督作なので、安心して見に行きました。
漫画原作だけあってストーリーラインはしっかりしてます。ドラマの作り方として真っ当だし、キャラの描き分けも的確で、クライマックスは見ているだけで燃える試合シーン。直球の感動。
それをギャグ多めのハイテンポで描いていくのが英勉監督らしいウマさ。映画が始まってから直ぐに露出狂が登場したのを見て、ギャグへのこだわりの強さを再認識。面白いかどうかは別として。スタンドプレー気味にギャグを連発していた中村倫也さん、この人は明らかに才能ありますね。印象に残りました。
乃木坂46のトップランカーな美女を大画面で楽しむという意味でも英勉監督は良い仕事をしてくれています。ハッとするくらい、女性の美しさを堪能できる瞬間が多々ありました。自宅のテレビじゃなく、映画館で見るべき映画。☆☆☆★★
僕のワンダフルライフ
犬が輪廻転生する話。高くない期待ハードルをちゃんと飛び越えてくれた作品。レイトショーとかメンズデーの価格で見るのに丁度いい映画。
主人公はあくまでも犬。最愛のご主人様と悲しい別れ方をしてしまった犬が、何度かの生まれ変わりを経て、あのご主人様との再会を目指す。
「こういうクライマックスが見れるんだろうな」と予想させておいて、そのまんまのクライマックスを見せてくれた感じ。ただ、途中の展開に「おぉ? おぉ…」という驚きもあって退屈しなかったです。
犬視点のモノローグたっぷりだし、ツッコミたくなる甘い設定もあるんですが、犬視点だから気付かされる人間社会の側面だったりも見応えあり。エモさも十分で、何度か泣かされてしまいました。愛犬家の皆さんなら泣き死にしちゃうのでは…?☆☆☆★★
猿の惑星 聖戦記
2011年、2014年に製作された新生Planet of the Apesシリーズの第三弾にして完結編。アルツハイマー治療薬の副作用で人間並の知能を身に付けた類人猿たち。彼らのリーダーとなったシーザーを中心に描かれた最新型の英雄譚。
2014年の『猿の惑星 新世紀』が大好きなんですよ。現代の物語だった2011年版から作中で10年の時間を経た事により人間の文明社会が崩壊し、エイプが文明の種火を灯す、その度合い(世界観)を表現していく作劇と、エイプの無言コミュニケーション、クライマックスへ向けた流れの作り方が素晴らしかった。
それに比べると今作はあまり面白くなかったです。作劇という意味では西部劇のフォーマットに従っているのですが、結果として展開そのものが魅力を失ってしまったように感じました。
不満点を大きく2つにまとめるなら「メタファーが露骨すぎ」「エイプが逃げるだけのクライマックスにノレない」です。
奴隷労働力によるアメリカ開拓と南北戦争、トランプ大統領への皮肉・揶揄などを思わせる描写が訴えたいテーマ性やメッセージに結び付いていないために「ふーん」という印象しか持ちませんでした。
あとはクライマックス、人間達に収監されていたエイプスをシーザー達が救おうとする展開なんですが…カタルシスが無い! 南軍と北軍が争ってる間に隙を見て逃げ出すエイプス。ボスキャラとして圧倒的な存在感を放っていたウディ・ハレルソンはシーザーとラストバトルする…前に自滅。前作みたいな派手アクションが見たい訳じゃないけど、シーザーが勝った!感が無さすぎて「ふーん」でした。
マット・リーヴス監督の底の浅さを目の当たりにしてしまったような感触。アンディ・サーキスは偉大だけど映画としては残念。☆☆★★★
アウトレイジ・最終章
言わずとしれた北野武のヒットシリーズ。第三弾にして完結編。Planet of the Yakuzasかぁこの野郎! ビートたけし演じる大友の運命や如何に。
前提として私は電気グルーヴ及びピエール瀧が大好きなので、彼がかなり目立つキャラとして出演している今作はとても楽しかったです。瀧という存在を使った遊び、普通の映画人には出来ない事を北野武がやってみせている。
映画自体も存分に面白かったです。コメディとしての演出は抑えているのに、状況や行動、セリフはちゃんと滑稽。殺し合い、だけど笑える。中年、初老、老人による権力争い、だけど笑える。これこそ北野映画ならではのマジック。
北野武作品なら『ソナチネ』が一番好きですけど、あの作品で才能を開花させた大杉漣が、今作でビートたけしと共に描き出した、あの光景。たまらないですね。こういう作品を見てると日本人として日本映画を見る意味というものを実感しますな。☆☆☆☆★
アトミック・ブロンド
シャーリーズ・セロン主演のスパイアクション。ドイツ・ベルリンで暗躍する各国のスパイがあれやこれやと権謀術数をこねくり回しながらアクションする。
俺たちの考えたアクションをとにかく見てくれ!という情熱が詰まったB級アクションかと思ったら、意外にもその枠を飛び越えようとするサスペンス要素が盛り込まれていて、軽く面食らった感はあります。
観客は冒頭の「誰の事も信用するな」というセリフによって主人公的存在のシャーリーズ・セロンの事も信用できなくなります。それによって「誰がどういう意図で行動してるんだっけ?」と若干の混乱、ストーリーラインが一瞬分からなくなった事をこの場で告白しておきます。
アクションシーンは、女性キャラクターが訓練を重ねた屈強な男性キャラにどうやって勝つか、倒すか、殺すか、その問題を突き詰めて出来上がったデザインの洗練度と、それを体現するシャーリーズセロンの凄みが見事に融合しており、圧巻。スカッと勝てる相手は登場せず、戦うたびに疲弊していく姿に女性は何を感じるのか?
ストーリーの面では、韓国製スパイアクション『ベルリン・ファイル』程度のツイストが好きだし、全体的な展開と構成もベルリンファイルの方が好き。とはいえ最後までしっかり面白かったです。☆☆☆☆★
バリー・シール/アメリカをはめた男
トム・クルーズ主演。麻薬王やFBIやCIAやDEAに翻弄された実在のパイロットを主人公に描く。
Twitterのログを見直して観賞済み作品をラインナップした際、この一作を見落としていました。要はそれくらいの印象だったという事です。
バリー・シールはアメリカをはめるどころか、はめられて追い詰められて殺されるのですが、そんなクライマックスとオチに向けて伝達されるべき情報が整理されているとは思えず、テンポが良いように見えてゴチャゴチャした描写を押し付けられてるだけに感じました。
この映画の飲み込みづらさは不可解すぎたので、もしかしたら戸田奈津子先生の日本語字幕が必要な情報を伝えきっていないのでは?と、疑惑を抱いてしまうほど、食べづらかったです。
トムクルーズ個人の見せ場は沢山あるんですけどね。無表情ギャグ。☆☆★★★
ゲット・アウト
脚本監督ジョーダン・ピール、主演ダニエル・カルーヤ…どちらも知らない名前。黒人が主人公のホラー映画らしい。ホラーの域を超えてアカデミー賞に引っかかるかも?というレベルで高く評価されている。アメリカでの公開から8ヶ月遅れで日本公開。
めちゃめちゃ面白かった!と素直に言い切れるタイプの映画でした。見終わった後ですぐに「これが監督デビュー作のジョーダン・ピールって何者!?」と、スマホを高速操作して情報収集。それくらい完成度が高く、なおかつ斬新、奇想天外な物語でした。
黒人男性の主人公が白人彼女の実家へ挨拶しに行く話。まずこのスタートからして映画ではまず見かけない珍しいシチュエーション。彼女は黒人である主人公に対して完璧とも言える配慮と理解を示します。自分同様に家族も黒人に対して敬意を持っている事を強調。主人公は安心して彼女の実家へ。
実家に到着すると、家族は彼女の言葉通りに主人公を歓待。人種差別意識を露呈するどころか、黒人がいかに優秀であるかを熱弁し始める。悪い気がしない主人公だが、メイドや庭師として一家に雇われているのが全員黒人である事に違和感を覚える。しかしそれも「黒人を優先して雇用しているから」という理由でなんとなく納得させられていく。
様々な違和感の積み重ねによってクライマックスとオチを予感させるのが通常のホラーですが、この映画は、真相の正体がまったく予感出来ないから怖い。違和感の積み重ねだけで恐怖のムードを高めていく。最後まで見れば「こんな発想は今までに無かった!」というほど新しいオチでは無いのですが、恐怖の対象が脇役を飲み込んでいきながら主人公に迫っていくスリラーとは明らかに違う話法で描かれたホラーである点が素晴らしい。
アメリカという多人種国家で、人種差別意識は唾棄されるべきものとして広まっているポリティカリー・コレクト精神に対し、ジョーダン・ピール監督が黒人としてどうしても感じてしまう違和感から(インタビュー等で言及。ただしピール監督は白人とのハーフ)一本の完璧なホラー映画を生み出すに至る、この熱意にも感動しました。
それはそれとして、クライマックスで真相が明らかになった時の「うわぁ……」という気持ち悪さ、序盤から描かれてきた数々の小さい描写にこめられた意味を理解した時の気持ち良さは映画体験として極上だし、特に「Get Out」の意味を理解した瞬間はたまらなかったです。
主人公を演じたダニエル・カルーヤは目元の演技力が素晴らしく、今後も色んな作品で見かける事でしょう。プロデューサーのジェイソン・ブラムは近年傑作を連発しているのでこちらも見逃せない名前です。☆☆☆☆☆☆
以上、10月の巻でした。
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