5月に見た映画は
フリーファイア
美女と野獣
ノー・エスケープ 自由への国境
バーフバリ 伝説誕生
ガーディアンズオブギャラクシーVOL.2
トンネル 闇に鎖された男
スプリット
潜入者
マンチェスター・バイ・ザ・シー
ARRIVAL/メッセージ
皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ
夜に生きる
光
オペレーションメコン
の14本でした。
フリーファイア
いい出汁が取れる食材(高い)を揃えてスープを作ったのに、台無しにするようなMOTTAINAI映画。評価してる人もチラホラ見かけますが個人的にはさっぱり。
倉庫で出会ったアウトローたちが誤解と誤解の末に大混乱の銃撃戦にもつれ込む映画。最初の銃撃のきっかけが「昨日の出来事」なところがクソださいし、乱戦が始まってから最後まで話が転がらない(ように感じる)ので、超つまらなかったです。☆★★★★
美女と野獣
元のアニメ版さえも見てないんですが、元はフランスの民話がベースになってる話で、フランス映画としてレア・セドゥとヴァンサン・カッセルの組み合わせでも作られたりしてる古典中の古典みたいです。2017年の日本で最もヒットした映画。
昨今のディズニーらしく、脇役の配置にポリティカリー・コレクトっぷりを感じさせてくれるところがInterestingだったものの、結末を見るとどこか釈然としないものがあるんですね。美女が野獣と恋をした結果、イケメンをゲットして終わるって、良い話なんだろうか?
ゴールデンウィークに満席のTOHO新宿て見たため、隣に座ったカップルが何度もキスしてる姿を視野見してしまったのも苦痛の極みでした。☆☆★★★
ノー・エスケープ 自由への国境
国境侵犯してアメリカ入国したメキシコ人集団がアメリカ人自警団に次々と射殺されていく。主人公は無事に逃げ切れるか? それだけの事を延々と描くド直球映画。
面白くなかった理由は数え切れない。国境の砂漠でロケするからって、撮る側がやりたい事をなぞるように行動する主人公を見ていても面白くない。国境越えしたい動機も薄いし、それを阻止する動機も薄い。なにより砂漠を彷徨うきっかけが単なる不運。萎える…
とTwitterから転載。行動原理を描かず、見たい描写だけを並べたような作劇がさっぱり好きになれませんでした。☆★★★★
バーフバリ 伝説誕生
インドの大作アクション映画がアメリカでもヒットしているらしい…そんな、ぼんやりした情報を元に見に行ってみたら、めちゃめちゃ面白いスーパーヒーロー映画に出会えて大興奮!「見逃さなくて良かったー!」と思った映画ランキング1位です。
とにかく作劇テンポが良く、なおかつ神聖化された主人公について描いていく語り口が新鮮。エピソードがどれも面白すぎるので、物凄い勢いで主人公への愛着が深まっていきます。その辺りの技巧はMARVELのスーパーヒーロー映画のごとし。アイアンマンやスパイダーマン見てるのと同じくらい楽しい。
さらにはアクションシーンのアイディアがフレッシュすぎて驚きの連続!主人公シヴドゥを演じるプラバース氏の鍛え上げられた超マッスルボディが、MARVELにも思いつかなかったような凄いアクションを見せてくれる。そのアクションをどう見せるべきかへの配慮も素晴らしく、作り手の発想力に感心しきり。
映画が一本終わったみたいなタイミングで、主人公の父親について知る人物による超長尺回想シーンに突入。1時間以上続くために回想である事さえ忘れます。この常識はずれなストーリー構成も面白すぎる。
回想の終盤は25,000対100,000の大規模合戦シーンになるのですが、ここでシヴドゥの父であるバーフバリが見せる、偏差値35の策略が豪快すぎて面白すぎるのです。面白くて笑えるんだけど、キャラクターを描くためにやってる事なので素直に楽しめる。
長すぎる回想が終わって間も無く、この映画が終わるのですが、エンドロールが始まった瞬間に「えぇー!!ここで終わるのー!!」と驚愕&興奮。連続ドラマ的な引きを利用した点に脱帽。
年末の12月29日から『バーフバリ 王の凱旋』が公開中なので、是非この映画を見ていただきたいです!超オススメ!!バーフバリ、ジャイホー!!!
p.s. 結局単独で記事を書いてみたので、そちらも読んでいただけると嬉しいです。
『バーフバリ 伝説誕生』偉大なる神話に関する一つの分析
https://ameblo.jp/ez-chill/entry-12347871668.html
☆☆☆☆☆☆
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVOL.2
MARVELユニヴァースの大傑作の続編。リミックスではない。脚本・監督のジェームズ・ガンは続投、期待のハードルが上がりまくった状態で公開された今作は…
楽しい笑える面白い、そこに加えてめちゃエモい感動シークエンスも加えられてさらに隙が無くなった大大傑作となりました、と。ガーディアンズの5人プラス1が葛藤と成長を遂げる重厚なシナリオには文句の付けようがない。
予算拡大によるビジュアル面のパワーアップも楽しかった!サイケデリックとはこういう事か…と思いました。アクションシーンも鮮烈な印象を残す場面が多くて最高。音楽もノリノリで記憶に残りまくり!
これだけ大暴れしてくれたガーディアンズがアベンジャーズに合流するなんてたまりません。GotGは2017年の映画史にもしっかり名を刻んだと思います!!☆☆☆☆☆
トンネル 闇に鎖された男
韓国国内で4週連続の興収1位となったメガヒット作であり、ハ・ジョンウとペ・ドゥナの初共演作(多分)。絶対面白いに決まってる!と思っていたのですが、思ったよりは楽しめませんでした。
興味深いディティールは沢山ある。特に俳優陣の演技は素晴らしい。しかし実際に起きた事故の映画化でないだけに、事象を描く順序は全て作り手の支配下にあるので、感動を生み出すためにもっと気を使って欲しかった。やや雑なところが目に付き、不満に感じる点がいくつか解消されないまま終わってしまった。☆☆☆★★
スプリット
以前ほどの勢いを感じられなくなったM・ナイト・シャマラン監督作にしては話題性が高かった最新作。ジェームズ・マカヴォイが23人分の人格を持った多重人格者を演じる!?
誘拐後に監禁されるアニャ・テイラー=ジョイ他2人が、多重人格の危険人物とコミュニケーションを取りながら脱出を図る。この設定の時点でなかなか新鮮・斬新ではあるけど、その後の展開も手の込んだ事をしていて面白い。
演出がくどかったり、テンポが悪いとしか言いようがない時間帯もあるのですが、この映画が何を描こうとしているのかが分からないまま進む構成に心を奪われていきました。
そしてラスト。オチを見て納得したと言うよりはオチへ至るまでの話法に満足させられたという感じです。デザートと捉えるか、メインディッシュと捉えるかによってフルコース全体の評価も変わる作品なんでしょう。オススメしませんが、私は大好きです。☆☆☆☆☆
潜入者
ブライアン・クランストン主演。CIA捜査官としてコロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルとビジネスを進めて証拠をつかもうとした人物の実話。
バレるかバレないかサスペンスというジャンル、主演の確かな演技力、エスコバルという分かりやすい悪役。これらが揃っているのに話が分かりづらかった。作中で何が進行しているのかが把握しきれなくなった。リアルさを追及したゆえか、作り手の整理力不足か、私の知性不足か。記憶が曖昧なのでよく分かりません。☆☆★★★
マンチェスター・バイ・ザ・シー
ケイシー・アフレック主演のインディーズ映画。アカデミー賞で主演男優賞を獲得。イギリスのマンチェスターでなく、アメリカにあるManchester by the Seaという名前の街が舞台。
ボストンで暮らしていた主人公が兄の死を知らされ、帰りたくなかった故郷の町へ戻る。そこは彼にとって、呼び起こしたくない記憶が待つ場所だった…文学性さえ感じさせるような設定なのですが、オリジナル脚本。
主人公は(遺言により)兄の息子(つまり甥っ子)の後見人になるように請われて拒絶するものの、徐々に軟化。大人が、大人になりきっていない青年の世話をする事になる事で子育て映画の要素が付与されます。カラーは違えど、これもやっぱり『永い良い訳』に近い。子育てにセラピー効果があるのか?
甥の関係だけでなく、主人公と全てのキャラクターの間に化学反応的な面白さを起こす脚本の切れ味、そしてそれを体現しているケイシー・アフレックの卓越した演技とキャラ造形がとにかく素晴らしい。ダウナー展開だけでなくファニー要素もたっぷりなので先入観から敬遠してほしくない作品。低予算ながら傑作間違いなしです!☆☆☆☆☆
ARRIVAL/メッセージ
ドゥニ・ヴィルヌーブ監督がSF小説の傑作を映画化。世界中に突如現れた宇宙船。言語学者の主人公は船内に棲息する地球外生物とコンタクトを図るために政府から指名される。
ストーリー展開とビジュアルの完成度、クライマックスの凄みとオチの美しさ。何から何まで感動させられたので、見た当時にブログエントリを残しましたので、そちらを参照していただけると幸いです。☆☆☆☆☆☆
https://ameblo.jp/ez-chill/entry-12276492617.html
皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ
永井豪原作のロボットアニメが長年愛されてきたイタリアが、国民性とロボ愛を融合させたスーパーヒーロー映画を生み出した。自分の目で確かめずにはいられないでしょうこんなの。
ヒーローになってしまう主人公エンツォは正義感が強いというわけでもなく、アウトローとして犯罪行為を繰り返しているダメ男。能力を手に入れたところで根本的な倫理観が変わるわけでもなく、新たな犯罪に手を染めたりもする。そこにリアリティと誠実さを感じる。
そんな男が何をきっかけに変化し、何を機にヒーロー性を獲得するのか…そういった作劇に、作り手が人間というものをどう捉えているかといったテーマ性を読み取れてとても面白い。よくあるヒーロー映画の流れをイタリアで真似するだけでは何も生み出せない、そんな姿勢が頼もしい。観客の目がそういう深みにも届くであろう事をちゃんと理解している。
清廉潔白な根っからのヒーローでないと感情移入できないという訳でもなく、逆に汚らしい人間味を描けばそこがクリアできるという訳でもない。アプローチが真逆であれ作り手の誠意があれば愛されるキャラクターは作り得る。エンツォ=ジーグは愛すべきヒーローだ!☆☆☆☆★
夜に生きる
地味に公開してた、ベン・アフレック監督作。
しっかりした面白さのアウトロー一代記。序盤はイマイチですが二幕目から急に面白みが増す。主人公の行く末が最後まで分からない構成も上手いし、クライマックスも上質。エル・ファニングがとてもエロティックなのは今作を見た男子の中で一致する見解。
とTwitterに書いてました。上手いし、中盤から最後まで面白さをキープしてるんだけど、時代背景も含めてフレッシュさが乏しいか? オスカー獲った監督の作品だけに、あっけなく見逃すのは惜しい作品だ思います。☆☆☆☆★
光
河瀬直美監督作。主演は水崎綾女、永瀬正敏。
ぐぬぬ…と自分の感情を抑え込んだけど涙が溢れた。視力を失った写真家と、視覚障害者向けの映画音声ガイド台本を作る女性が主人公。弱者へ過度な同情を抱かせず、普遍性から目を逸らさない誠実さに納得。カンヌグランプリを獲ったあの傑作と同じアプローチを日本人が成し得た凄み!
とTwitterに書きました。カンヌグランプリの『サウルの息子』に似たアプローチが見られ、日本人が自分らしい感性で撮った結果あの手法に辿り着い事が凄いなと思いました。水崎綾女さんは違いを作れる素晴らしい女優さん。これからも良いディレクターと出会って良い演技を見せつけてほしい!☆☆☆☆★
オペレーション・メコン
ダンテ・ラム監督作。無法地帯としてドラッグディーラーの天国と成り果てたメコン川流域の通称ゴールデン・トライアングル地域で中国船の船員が皆殺しにされる事件が発生、中国公安はタイ・ラオス・ミャンマーと合同作戦本部を立ち上げドラッグディーラーの殲滅を狙う。
これがなんと2011年に起きた実話!つまりノンフィクション映画。年明けの疾風スプリンターで得た興奮を反芻しつつ期待を膨らませて観賞した結果、
今年ベスト。最高。2時間興奮しっぱなし。シビル・ウォー超えてるわこれ。
とツイート。大大大満足の一本でした。映画館でもう一度見て「甘い・ゆるい部分も無くはないな」と思ったのですが、好きな要素が多すぎてたまらなかったです。
以下Twitterから転載。当時の自分が感じていた興奮を大事にしたい。
バイオレンス描写、チェイスアクション、格闘アクション、ガンアクション、カーチェイス、ボートチェイス、どれも物凄いテンションでレベルが高すぎる。そしてチームものとしてのシナリオも気が効きまくってて最高としか言えない。潜入捜査官エディ・ポンがチームに加わる流れがフリ効きまくり。
最高!と口走るのを自制するために口を手で押さえる場面が10回くらいあった。凄すぎて笑っちゃう場面が10回くらいあった。唖然としたり感動したりとにかく最高の2時間だったけど、それでいて暗闇の中で記したメモが13ページにも及んだ。
アクションの量と濃度、テンポとテンションがどれも最高レベルなのに、公安側もドラッグディーラー側もキャラクターが濃い!その濃さをしっかり描く技巧に酔いしれた。こんなハイレベルな事を香港映画でやられたら世界のどこも太刀打ち出来ないよ。
韓国映画ベテランのような手際の良さでチームメンバーの個性を光らせ、クライマックスのアクションシーンではその個性を全員が発揮して大立ち回り、これはシビル・ウォーに匹敵。なおかつバイオレンスとしてはザ・レイドばりのエクストリーム感。そして潜入捜査もの特有のサスペンス有。完璧です!!
…転載はこれくらいにしておきます。香港映画だからといってなんとなくスルーしてる方にも是非チェックしてほしい!☆☆☆☆☆☆
以上で5月の巻、完結です。次号をお待ちください。
4月の巻はこちらから
https://ameblo.jp/ez-chill/entry-12340931538.html
6月の巻はこちら
https://ameblo.jp/ez-chill/entry-12341200849.html
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