くぅちゃん、プリンや、シュウ君、早いものでお前達の娘さん、もう就活だよ。
就活には証明写真が必須、昨日ね、学校の就活講座に写真屋さんも来てお得価格で証明写真撮れるってので張り切って行ったわけだ。
「前髪、ちょっと目にかかってますねー」
「あ、はい」(パサパサと前髪をはらう)
「左の方、もっと眉出しましょう。こちらで流していいですか?」
「あ、お願いします」
娘は手でササッとやってもらえるのかと思ったら写真屋のおばさま、なにやら後ろの控え室に入って出てこない。
「?」
やっと出てきたおばさまの手には何故かお盆が。
そしてその上には熱々に湯気出してるコテ、そう、女の子が朝、髪型整えるのに使うアレがのっている。
「失礼しまーす」
え、ちょお待って、それ、私に使うの?
流すってそゆこと?
っつか形、前髪の形!!
「じゃあ撮りますねー」
パシャ
呆然としているうちに撮影は終わった。
娘、慌ててトイレに駆け込み鏡をみると、そこには昭和のアイドルかお前は的な髪型の自分が映っていたという。
「どうしようお母さん、私、絶対書類審査で落とされんじゃね?若いのにこんなおばはんいらねぇ、みたいな」
「いや、案外面接で、お、写真はこれだが実物は可愛いじゃないか、的ギャップ効果があるかもしれんぞ。ほれ、不良がちょっと優しいことしたら評価ダダあがるアレ」
「そうだね!ギャップ効果大だわ!それに安くで写真撮れたしいっかー」
常にポジティブな娘さんだ。
出来上がってきた写真をみて再び地に這いつくばるであろうがな…