歩き回ってとても疲れた。
「じゃあ、そろそろ泊まるところに荷物でも置きに行こうか。」
軽く頷いてみせたものの、顔が引きつっているのはきっと彼にも伝わっただろうと思う。
だってスッと目をそらしたから。
考えないようにするために、色々と饒舌にしゃべってはみたものの、
心の底の方にある不安は風船のようにどんどん膨らんでいっていた。
その気概もすでに失なわれて、
宿泊先に向かう電車に乗り込む頃には随分と無口な人になってしまった。
1割の期待と、残りは全部不安のかたまり。
なにせ、27年間、想像でしか考えてこなかったことなのだ。
27年間と言うのは十分すぎるほどに長い。
そして誰にも相談できずにきたので、もう自分で想像するしかなかった。
初めての夜のことを考えると、心がきゅうっとなって、
本当にいいの?と自分で飽きるほど自問自答を繰り返している。
いい大人が自分で決めたこと。
たとえ大きな後悔をすることになっても。