駅についてから、ホテルまではしばらく歩いた。
今日はよく歩く日だな。もう足の痛みも考える余裕もないけど。
右斜め前を早足で歩く彼を追いかける。
気持ちがはやっているのが背中から感じられる。
前へ前へ進む彼の気持ちと、
後ろを向いて全力で逃げ出したい自分の気持ちが反発しあって不協和音を奏でているような。
フロントでは手続きする背中を遠くから見つめた。
まるで一緒に泊まる人ではないんだよ、と言うような風情で、
ソファーから他人のように見つめていた。
「行こうか。」
手続が終わった彼はまた足早にエレベーターに向かう。
私の気が変わらないうちに。そう思っているように感じた。