「ネアンデルタール人とコロナ」(第370号2020年11月号) | 仙台市青葉区八幡2丁目・小田眼科ニュース

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第370号2020年11月号「ネアンデルタール人とコロナ」の話





 今年も残り、60日余になりました。アメリカ大統領選挙とCOVID-19流行が最近の話題の中心です。どちらも大きな波乱含みのようです。
 自由の国、民主主義の国と信じてきたアメリカ大統領選挙の泥仕合ともいえる戦いの有様、あれがアメリカ社会の本当の姿、自由主義と民主主義の行きつく先なのかと考えてしまいます。大統領戦に勝つためのトランプさんのなりふり構わない行動を見ますと、大統領には、我々が知らない大きなメリットがあるのではないかと疑いたくなります。
 翻って戦後、アメリカをお手本にして自由主義、民主主義を国是としてきた日本の現在の政治や社会の有りようをみますと根は同じという危機感を覚えます。
 都合の悪いことには、一切、言い訳も、説明もせず、記録さえも抹消し「その問題は解決済み」と木で鼻をくくったような答弁をする最近の日本の政治家が、次ぎにはこのアメリカの選挙戦を真似るようなことにならないかと危惧します。
 最近、ヨーロッパでコロナウイルス流行が再燃しています。いまや、第一波を超える感染者と死亡者を記録し、外出禁止と移動の制限が宣言され、さらなる経済への影響が危惧されています。
 日本を始め東洋の国では割合穏やかな流行ですが、なぜヨーロッパの国々で大きな流行になるのかについて、ウイルスの種が違うからではないかと言われてきましたが、最近、イギリスの総合科学雑誌『Nature』に人種的な問題が疑われるという論文が掲載されました。

 
 それで、今月は、「ネアンデルタールとコロナ」の話です。


 ネアンデルタールとは化石人類の一つで、二万数千年前に絶滅したとされていた種で、その絶滅原因はクロマニヨンによって亡ぼされたとか、クロマニヨンが持って来た感染症に罹って絶滅したとか諸説ありました。
 もともとネアンデルタールと現在の人類(ホモ・サピエンス)とは、遺伝子上、大きな差異があり、その差は動物で言えば別種とされる程であるために、ネアンデルタールはホモ・サピエンスの祖先ではないと考えられて来ました。
 しかし、近年になって広い範囲でネアンデルタールの化石が見付かり、その分析と研究方法が進むと共に、ホモ・サピエンスとの共通性が指摘されるようになり、ネアンデルタールとホモ・サピエンスとの混血もあったと考えられるようになりました。ネアンデルタールの特徴は「白い肌、赤い髪、青い眼」で、いわゆるコーカシアン(コーカソイド)と共通性があるそうです。
 コーカソイドとは、カスピ海と黒海の間にある「コーカサス地方」から来た人を意味する言葉ですが、ヨーロッパ人とアラブ人がそれにあたるとされています。
 COVID-19が大流行する地域とそれほどの流行が見られない地域があることは以前から知られており、それがマスク・手洗いなどの予防をしているかしていないかのみで起きる差とは考えられ無いために、異なるウイルスによるのではないかという疑問が持たれていましたが、その原因がウイルスにでは無く人にあるのではないかという内容だということです。
 6月には一時終息に向かっていた世界、特にヨーロッパでコロナの流行が再燃しています。10月末には、世界の感染者数は4億人を超え、死者は110万人を超えました。フランスでは10月15日の新規感染が前日より2万人以上多い3万人を超し、マクロン大統領はロックダウンを再度実施しました。
 ヨーロッパに於ける大流行再発の原因がゲノム配列が異なるという人種的な問題にあるとすれば、日本とは規模の異なる流行の差に納得がいきまが、詳細な報告と共に有効なワクチンや薬剤の開発が待たれます。




小田眼科医院理事長 小田泰子
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