「高齢者が被害者となる詐欺事件」(第369号2020年10月号) | 仙台市青葉区八幡2丁目・小田眼科ニュース

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第369号2020年10月号「高齢者が被害者となる詐欺事件」の話





 暑い夏、酷暑の夏が終わり、ほっとしましたら、夕暮れが早くなっていました。9月22日は「秋分の日」でした。これからは12月21日の冬至まで、少しずつ昼が短くなっていきます。
 安倍晋三前首相の体調不良による辞任を受けて、長年内閣官房長官として安倍政権を支えてこられた菅 義偉氏が9月14日に自民党総裁となり、21日には第99代内閣総理大臣に選ばれ、22日には組閣を終え皇居で認証式が執り行われました。あっという間の早変わり劇でした。
 その少し前に、立憲民主党と国民民主党などでつくる合流新党が誕生しました。合流新党に参加したのは149名の国会議員で、9月10日に代表選が行われ、枝野幸男氏が代表に選出され、党名は立憲民主党に決まりました。
 このように、9月に入ってから、与党、野党共に大きな変化がありましたが、できあがった姿には余り新鮮味はないように感じられます。コロナ禍の中で政治の空白は許されないということで、ソソクサと物事が進んだようです。
 コロナ流行も少し下火になり、政府もステイ・ホームから Go To トラベル・キャンペーン、スポーツイベントも無観客から一般客観戦へと動き始め、催し物も一か所当たりの人数制限が緩和されつつあります。
 現在はコロナ流行の第2波にあると考えられますが、国立感染症研究所が第一波(5月)の死亡率は7.2%であったのに対して、第二波(8月)は0.9%と低下したと発表しました。ウイルスの毒性が低下したのではなく、無症状や軽症の感染者が多かったのが一つの原因と分析しています。
 

 それで、話は変わりますが、今月は、「高齢者が被害者となる詐欺事件」の話です。


 最近、高齢者が被害者となる特殊詐欺事件が増加しています。特殊詐欺とは、犯人が電話などで親族や公共機関の職員等を名乗って被害者を信じ込ませ、現金やキャッシュカードをだまし取るオレオレ詐欺や、医療費の還付金が受け取れるなどと言ってATMを操作させ、犯人の口座に送金させる還付金詐欺などのことです。
 いずれもニュースなどで見聞きしており自分が被害者になるとは、全く考えられないのですが、実際には多くの高齢者が騙されて、多額の被害を受けています。
 日本では65歳以上世帯の保有する貯蓄残高は総世帯の貯蓄残高の1/3を占めると推計されています。このような状況の中、高齢者の資産を狙う悪質商法や詐欺被害は、今後しばらくは増加し続けると予測されています。
 特殊詐欺全体における被害者の年齢構成は、70歳以上が約5割、60歳以上では約8割を占め、性別構成については、女性が約7割を占めています。女性が詐欺にあう割合が多いのは、日中女性が一人で家にいることが多いために電話による詐欺に遭うことが多いためと考えられています。
 また、振り込め詐欺の中でも融資保証金詐欺の被害は経営者が多い40、50代の男性被害者が目立ち、架空請求詐欺については幅広い年齢層が被害にあっていることからも、「誰もが詐欺の被害者となりうる」という認識を持つことが重要です。
 内閣府の「特殊詐欺に関する世論調査」によれば、「自分は(特殊詐欺の)被害にあわないと思う」と答えた人の割合は年齢を重ねるごとに高くなり、実際の被害の状況とは逆の傾向を示しています。自分は被害にあわないと思う理由を聞いたところ、約半数が「だまされない自信がある」と回答しており、この傾向は男性が女性より強く、高齢になるほど強まることも明らかになりました 実際、高齢被害者になった人の92%は「自分は大丈夫だと思った」「考えたこともなかった」と回答しているそうです。この「自分はだまされない」といった、自分自身の能力や性格に対する過剰な自信や楽観主義が被害者となる大きな危険因子です。気をつけましょう。




小田眼科医院理事長 小田泰子
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