ロウ引き | 蝋画塾 Atelier Berankat のブログ

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第二次大戦中に開発された、「蝋画」という描画技法を紹介するブログです。

かがわ・山なみ芸術祭で展示する葉の一部を、
いろいろ考えてロウ引きにすることにした。

水の中に葉を入れた状態で、
展示期間と同じ3週間観察すると、
3枚の葉の内、2枚は沈んでしまった。
その2枚の内1枚は組織の分解が進み
像が見えづらくなってしまう。

最初の状態
3週間後


蝋引きにした葉は浮いた状態を保ちやすくなり、
沈んだとしても、組織の分解は遅らせる事ができる。
葉から出る成分による、水の濁りの軽減も期待できる。

反面デメリットは、葉のしなやかさが失われ、
冬のパリッとした枯れ葉のように形状が固定される。
そして表面にややテカリがでる。

デメリットを少なくするため、
可能な限り蝋を少なくする。
何も表面全体を完全に覆う必要はない。
葉の裏側だけでも効果はあるのではないかと思う。

一緒に入れる予定の蔓日日草は強い植物で、
ちぎった蔓を水に投げ入れただけで、
そのまま成長を続け、蔓を伸ばす。

分解していく葉との対比も面白いため、
展示の段階ではロウ引きしていない葉も混在させる。


ロウ引きの作業そのものは、紙に施す場合と手順は同じ。
アイロン台にいらない布を厚めに敷き、
その上にクッキングシートを広げる。



クッキングシートを二つ折りにして間に蝋を入れ、
クッキングシートの上からアイロンで溶かす。
蝋は天然蝋カルナバを使用。


クッキングシートをめくり、葉を入れる。
クッキングシートを戻し上からアイロンをかける。



温度は、高・中・低の3段階で低に設定、
撫でるように軽く2,3回のアイロンがけで十分。
(これは、アイロンによって様々だと思う)



カルナバ蝋は薄茶色をしているが、
葉の色が同系の茶色であることと、
かなり薄くコーティングされているだけなので
色味は気にならない。


香川・山なみ芸術祭、まんのう町エリアは、
今週土曜17日からスタ-ト。
エリアテーマは「共棲空間」。

「共棲空間」Symbiotic Space

まんのう町には、里山や池、田畑、市街地などがバランスよく配備されています。人は人だけで生きてゆけません。棲み処や食べ物、生活環境を、他の生き物たちとうまく分け合いながら生きているのです。

キュレーター
松永 康
会場
国営讃岐まんのう公園、旧琴南中学校、中通集落、中通八幡神社、妙覚寺、エピアみかど、西内花月堂、琴参バス





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簡単なものですが、蝋画技法の初歩を図解したPDFファイルを以下から配布しています。


:これは実習を伴う教室や講座の受講者に配布している資料ですので、
この資料を見ただけで蝋画が描けるようになる保障はありません。