例えばひとつの | 詩人:Writer 上杉浩司

 

例えばひとつの

 

 

 

 

 

 

静かな

静かな

朝の

空気の中で

見えない

あなたの心の陰に

私は

うずくまる花を見ました

 

多分

誰にも

見られることなく

枯れて行く花の類ではなく

一度は枯れて

いつの間にか

再生したような

似姿をした花

 

それは多分私の気持ちであり

私自身の傲慢な論理の中で

いつまでも

いつまでも

咲くこともなく

それでも

花の形を取ってしまった

 

例えば

ひとつの

蕾とでも

呼びましょうか

 

誰一人知ることもなく

いつの間にか

消えてしまっているような

そんな